その男、不遜につき 29

その男、不遜につき 29

かなり強引ともいえる態度で連行されたヨンファは、自動的にライトが点った玄関に押し込まれた。パタンとドアが閉まったのとほぼ同時に施錠する音が聞こえ、これはすぐには帰れないだろうなと結論づける。できるだけ波風を立てずに、どのようにしてジョンシンを宥めればいいか――。知らぬ間に配慮している自分に対し、なんでこっちが折れなきゃいけないんだと思わないでもないが、大人げない気がしてぐっと言葉を吞み込んだ。そうだ...