染井 為人『悪い夏』
◇『悪い夏』著者:染井為人2017.9KADOKAWA刊大37回横溝正史ミステリー大賞(優秀賞)受賞作。作者のデビュー作品である。生活保護費の不正受給や育児ネグレクト、薬物売買、など現代社会のダークな世界をドラマチックに描き出した傑作。映画・ドラマ化でヒット疑いなしの作品と思うが…まだ?毎度のことながらこの作家は多彩な登場人物と絶妙な筋運びで、軽快なテンポのためつい一気読みしてしまう。中心人物といえば千葉県船岡市という仮想都市の社会福祉事務所の生真面目で好人物の担当者(ケースワーカー)佐々木守と思うが、対極にいる同僚の悪徳担当者高野洋司が相当なワルで、宮田有子も結構不可解な言動でストーリーを盛り上げる。一方生活保護不正受給者では山田吉男が筆頭で、育児放棄・ネグレクト母親の林野愛実も捉えどころがなく手に負えない。...染井為人『悪い夏』
2021/07/29 11:26