地霊を訪ねる—もう一つの日本近代史 猪木武徳2023
経済学者による鉱山の旅。筑摩書房の『ちくま』に連載した27回の旅の文書をまとめたもの。7佐渡を例にその構成を見てみる。書き出しは承久の変で敗れ佐渡に島流しになった順徳上皇をはじめ、世阿弥、日蓮など中世以前に佐渡流刑となった人物。次いで近世以降金銀山が発見され、相川が栄華を極めたことが記される。佐渡汽船で両津港に着いた著者は、名物のカキフライ定食を食し、北一輝の寺を訪れ、次に佐渡に密度高くある寺社のうち、日蓮ゆかりの妙宣寺で日蓮の宗教的情熱を考える。徳川幕府創業期には大久保長安が佐渡奉行として鉱山を管理し幕府の財政と地方産業振興に功績を残した。世阿弥が佐渡に流された証拠となる歴史書を引用したり、金銀山の研究文献『佐渡金銀山の史的研究』から採掘の歴史や精錬技術を取り出し記している。佐渡への同行者がいたのか、佐...地霊を訪ねる—もう一つの日本近代史猪木武徳2023
2023/10/28 16:28