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  • 東京の美しいドボク鑑賞術 北河+小野田+紅林+高柳 2023

    東京都内にある全部で62の土木遺産の鑑賞術。新しそうなのはビルになっちゃった宮下公園(2020)、恐竜橋こと東京ゲートブリッジ(2012)、大橋ジャンクション(2010)など。古いものでは羽村のまいまいず井戸(鎌倉時代)、江戸城石垣(江戸時代)、玉川上水(1653)など。明治から昭和にかけてのものが最も多そうだ。東京ゲートブリッジのトラスボックス複合構造という世界唯一の形は、航路のため橋桁を50m以上の高さにすることと、羽田空港に近く空域制限のため100m以上の塔は建設できないという制約のため。東京スカイツリー(2012)は用地の狭さゆえ東京タワーのような4本脚の基礎を構築できなかったため、3つの柱で支えられ、地上は五重塔の技術を応用した「心柱」を中央部に配置し、地震による揺れを抑制している。大橋ジャンク...東京の美しいドボク鑑賞術北河+小野田+紅林+高柳2023

  • ずばり東京2020 武田徹 2020

    1964東京五輪直前の東京を活写した開高健『ずばり東京』にならい、2020五輪前夜の狂騒から感染症不安へ急転回した東京を取材・記録した本。私はむしろ、今の東京をつくった1960年代の都市開発のスケッチとして、この本を読んだ。空路で羽田に着いた人たちや選手の移動を素早く確実にするために、首都高速道路は、公有地(川、道路、公園)の上の空間を選んで建設された。人呼んで「空中作戦」。その日本橋上空を覆う道路を地下に付け替える事業が、2014年の首都高速更新計画に盛り込まれた。その準備である困難な調整作業が2020年を目途に進められている。今では想像しにくい話だが、東海道新幹線計画は極めて不人気であり、国鉄内部でも島技師長直系を除けば反対派が多数だった。それが東京五輪成功のためという大義とセットで誰にも支持されるよ...ずばり東京2020武田徹2020

  • 自滅する大都市—制度を紐解き解法を示す 織山和久2021

    この著者のことは知らなかった。この本には経済学部⇒外資コンサル出身らしいところと、らしくないところの両方がある。らしいところは、数字で示していること。虎麻メインタワー325mがもたらす周囲への圧迫感を地価下落効果で示し、268億円と算定している。らしくないところは、都市再生以来の自民党政権下での都市政策にかなり批判的であること。オリンピックはコミケと同じ私的事業であり国や都が財政負担する意義はない。大会施設は負の遺産となる。風致地区として景観保全されてきた外苑地区が新国立競技場の費用捻出のため規制緩和され高層ビルが建つ。1.戦後木造戸建てが主流になった理由は?戦災と人口急増による住宅不足。鉄やセメントは産業用に配分し木材を住宅建築に。財産税と持ち家政策。都市計画の不在。2.なぜ木造住宅密集地域が広がったま...自滅する大都市—制度を紐解き解法を示す織山和久2021

  • アフリカを学ぶ人のために 松田素二〔編〕2023

    アフリカに関する情報が凝縮された本。印象に残ったことをノートする。1980~90年代、アフリカは「絶望」の大陸だった。人口は倍増したのに経済成長はゼロ%、貧困化、戦乱、エイズ。だが2000年代からアフリカは「希望」の大陸になった。しかしそれは資源と市場に惹きつけられているのであり、その点では植民地時代と変わらない。本書はアフリカの潜在力からアフリカをとらえ返す。広大なアフリカの固有言語は、ニジェールコンゴ、ナイルサハラ、アフロアジア(アラビア語など)、コイサン、オーストロネシア(マダガスカル)の5語族しかない。実質的には旧宗主国の言語でしか高等教育を受けることができず、ヨーロッパの言語で一部エリートが国を支配する構造が続いている。植民地支配の際、白人は現地の伝統的権威者等を首長にとりたて、彼らの権威を保護...アフリカを学ぶ人のために松田素二〔編〕2023

  • 農家はもっと減っていい—農業の「常識」はウソだらけ 久松達央 2022

    販売農家107万戸のうち、8割の零細農家(売上げ500万円以下)の総売り上げは全農業産出額の13%、1割強の上位層(売上げ1000万円以上が8割弱を稼いでいる。うち3000万円以上の層が産出額の53%を占める。プロ農家が経営規模を拡大し、食っていけない層が市場から退出している。これまでの日本農業は、基盤整備と機械化の進行によって必然的に起こるはずの淘汰と規模拡大が遅々として進まなかった。農業を聖域視し農業保護をつづけてきたこと、兼業化が集約を妨げたことなどが原因だ。しかし、ここに来て「農業大淘汰時代」に突入した。農家が減って日本農業が危機に瀕しているわけではない。日本の人口は減る。農家も農地も減って良い。残す農地、あきらめる地域を今すぐ検討べきだ。「先祖代々」、「棚田の原風景」など幻想に酔っている余裕はな...農家はもっと減っていい—農業の「常識」はウソだらけ久松達央2022

  • 教育は遺伝に勝てるか 安藤寿康 2023

    この本で目立つのは、5組の一卵性双生児へのインタビュー。性格、学業成績、人間関係、好きなもの、あらゆることが大変良く似ている。結果、同じ大学に進み、同じような職業に就いている。遺伝の影響の大きさを測定するには、同じ家庭で育った遺伝子の等しい一卵性と、遺伝的には一卵性の半分しか共有しないが同じ家庭で育った二卵性の類似性を比較するという方法がある。知能や学業成績は、遺伝要因が20%から多い場合は50%を超える。年齢が上がるに連れ、本来の遺伝的資質が顕在化する。パーソナリティ(性格)や精神障害は、二卵性の相関が一卵性の相関の半分以下であり、類似性が遺伝だけでほとんど説明できてしまう。「おわりに」で著者はこう記している。行動遺伝学者として言いたかったことは、遺伝が教育に負けるほど弱くないということ。ただし、「遺伝...教育は遺伝に勝てるか安藤寿康2023

  • 郊外住宅地の再生とエリア・マネジメント 編著:洋光台エリア会議、監修:小林重敬 2022

    横浜市の洋光台は昭和40年代に生まれたニュータウン。URと行政が連携しながら居住者とともにエリアマネジメントに10年取り組んできた。年月を経た郊外住宅地を活気づけ、将来にわたり持続させることを目的とするプロジェクト”ルネッサンスin洋光台”を進めるためにこれまでのエリマネはほとんど商業業務地区で行われた。既成の住宅地ではまず動機づけが課題となる。エリア会議はまず既存の高齢者支援等を行う地域ケアプラザからキーとなりそうな個人や団体を紹介してもらい、ワークショップを何回も開催し課題や思いを把握した。商店街の一角にCCラボを設置しサークルやお教室に貸し出した。行政・URのリードを軽減し、地域住民主体の体制に移行することが必要になった。2019年、スタッフが常駐する「まちまど」が発足、CCラボの運営を受託。まちま...郊外住宅地の再生とエリア・マネジメント編著:洋光台エリア会議、監修:小林重敬2022

  • 格差の起源—なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか オデット・ガロー2022

    第1部何が「成長」をもたらしたのか多少の地域差はあるものの、労働者の1日の収入は3000年前のバビロンから産業革命前の西欧まで、ごく狭い範囲で上下していた。石器時代の遺跡で発見された人骨の平均年齢は30年弱、農業革命によって目立った変化はなく、産業革命前の西欧でも30~40年だった。技術進歩によって生産力が高まると人口が増え、豊かさの水準は生存ぎりぎりの水準まで逆戻りするからだ。マルサスの均衡(=貧困の罠)だ。そのマルサスの均衡は、産業革命から100年近くたった時点で消滅し、驚異的な成長がそれに続いた。世界全体で1人当たり所得は14倍に上昇し、平均寿命は2倍以上になった。先進国と途上国の経済格差は縮まらず、生活水準の格差は過去2世紀の間大きく広がってきた。グローバル化と植民地化は国の豊かさの差を広げた。工...格差の起源—なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのかオデット・ガロー2022

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