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  • 交通崩壊 市川嘉一 2023

    元日経新聞記者が書いたとは思えない本。地域交通に関し、大きな政府、大胆な公的補助、鉄道ネットワークの維持、EVシフトを主張・提案している。日経記者が書いたとは思えない理由は、この本には公共交通、特に地方の鉄道事業の利用者数、収支などのデータの記述がほとんどないことだ。第1章日本の地域公共交通の多くはこれまで民間事業者により運営され、生き延びてきた。だがモータリゼーションや人口減少・高齢化などを背景に利用客の減少が続き、路線廃止が広がるなど状況は厳しくなっている。地域公共交通活性化法が制定、改正されたが、バス路線共同化には公取・独禁法が立ちはだかる。一方、欧州では、例えばドイツでは都市圏の各種交通機関の共通運賃やダイヤ調整などサービス一本化を目的とした「運輸連合」という制度がある。交通事業者に対しては多額の...交通崩壊市川嘉一2023

  • 世界自然遺産見て歩き―成り立ちが分かれば「風景」が変わる 古儀君男2020

    世界の26か所の世界自然遺産の成り立ちの説明と著者自身による訪問記。著者は地質学、火山学を専門とする元高校教師であり、本書は火山や断層、滝や峡谷、石灰岩や花崗岩の特異な地形など、自然遺産の特徴ある地形や景観がどのように生成されたのかについて、詳しく説明している。中国・黄山は白亜紀の花崗岩が隆起し、割れ目に沿って氷河や風雨が浸食を繰り返したことにより奇岩怪石の多い独特の景観ができた。さらに岩の割れ目に黄山松が育ち、奇岩、青松、雲海、それに温泉を加えた「四絶」が黄山の魅力となっている。鉄道黄山駅からバス50分、乗り継ぎ15分でホテル、徒歩15分で慈光閣、ロープウェイ15分で玉屏(標高1600)、階段遊歩道を歩き、蓮花峰は閉鎖のため3時間弱で標高1840の光明頂。ヴィクトリアの滝は、広大な大地を流れる大河ザンベ...世界自然遺産見て歩き―成り立ちが分かれば「風景」が変わる古儀君男2020

  • 東京駅・駅前広場のデザイン 篠原修・内藤廣 編著 2023

    東京駅のデザインはドイツ人のバルツァーが原案をつくり、辰野金吾が後を継ぎ、完成したのは1914年だ。大名屋敷群が空き地になっていた丸の内に、皇室専用口を中央に造られ、日本橋や銀座に近い八重洲側には出入り口はなかった。駅舎の構造は鉄骨レンガ造りで、関東大震災でもほとんど被害を受けなかった。1945年空襲により屋根は落ち鉄骨も損傷したが駅舎は残り、3階建てを2階建てに修復して長く使われた。関東大震災後の帝都復興事業で駅前からの行幸道路が江戸城の石垣を抜いて皇居前まで延伸され、幅員72mに拡幅された。鉄道の大ターミナルが歴史ある首都の都心にあり、かつ四方八方に繋がっているのは世界でも少ない。1888東京市区改正設計で決定された(東京~上野間が繋がったのは1925年)。東京駅丸の内駅舎は当初の3階建てに復原され2...東京駅・駅前広場のデザイン篠原修・内藤廣編著2023

  • 「2030年の日本」のストーリー 牧原出[編著] 2023

    第5章饗庭伸退場する都市空間と国土の身体化よりノート大半の未来都市は、現代の都市の空間のあちこちから少しずつ人が退場し、空いた空間があちこちに散在するという姿をしている。空いた空間のそれぞれは小さく、バラバラのタイミングで空いていく。…都市のスポンジ化人口が増え都市が拡大していた時代は、人々の未来への欲望を読み取り空間が開発されてきた。しかし人口が減少する時代は、空間が読み取られ、呼び覚まされた欲望が空間を通して再構成されていく。ところが若い学生は経験の檻に閉じ込められて、空き地空き家にシェアハウスやカフェばかりを提案することしかできない。1960年代から70年万博までは、政府の所得倍増計画や全総計画、丹下健三の東京1960と、もっともらしくあてずっぽうな展望を描く「パノラマ」の全盛期だった。70年代は現...「2030年の日本」のストーリー牧原出[編著]2023

  • 地球の歩き方 中央アジア サマルカンドとシルクロードの国々

    中央アジア5か国を対象。各国別記述のページ数はウズベキスタン98p、カザフスタン28p、キルギス24p。トルクメニスタン8p、タジキスタン10p。中央アジアの観光と言えば、サマルカンドやブハラのあるウズベキスタンがピカ一なのだ。天山山脈の麓にあるキルギス。キルギスには多くの民族が暮らすが、キルギス人はトルコ系モンゴロイド人種の民族で日本人とよく似た顔つき。男性は白いフェルト帽をかぶり、女性は刺繍で飾った帽子に白い布地を巻きつけたかぶり物。キルギスの現地の発音はクルグスに近い。首都ビシュケクは人口92万人、ソ連時代の都市計画によって造られた碁盤の目状の道路網を持ち、5階建ての建物が整然と並ぶ。外務省の渡航情報(2019年4月によると、キルギスのうちレベル3,レベル2の地域は国境地帯にあり、首都ビシュケク市を...地球の歩き方中央アジアサマルカンドとシルクロードの国々

  • 日本の川西日本編 北中康文編 斎藤眞-小松原純子監修

    全国109の一級河川のうち西日本の51河川を対象。地質学の専門家が監修しているためか、岩石や地質年代の説明が詳しい。カラー写真が豊富なのはありがたいが、ほぼ新書本サイズなので一つ一つの写真が小さいのが残念。江の川が日本一遠回りして流れるのは、浸食に強い白亜紀の溶結凝灰岩、白亜紀以降隆起量が乏しい、北東-南西方向の断層による弱線を使った流路の発達などが原因。流域南西部は浸食に弱い花崗岩が露出し流域が瀬戸内海側に奪われつつある。約300万年前までは讃岐山地がなく、吉野川は北上し瀬戸内海に注いでいた。四万十川が窪川付近で土佐湾に迫りつつ反転西流するのはフィリピン海プレートの沈み込みによる土佐湾側の隆起が原因。筑後川中流の山田堰は国内唯一の傾斜堰床式石張堰。ここで分流する堀川用水に三連水車がある。川がつくる地形3...日本の川西日本編北中康文編斎藤眞-小松原純子監修

  • 宮本常一の旅学―観文研の旅人たち 福田晴子著・宮本千晴監修 2022

    旅する民俗学者・宮本常一の本に私は50年前頃高校の図書館で出会い、大学生時代も近所の図書館の書庫でよく読んでいた。日本中の農村漁村山村を旅してそれぞれの土地の人々の中に入り込み、人々の日常生活、田畑の作物、村の歴史や祭りや信仰その他ありとあらゆることを書き記した本がシリーズとなって書庫にならんでいた。宮本にあこがれつつも、私は旅よりも家に比重を置き、定職を持ち、ローンでマイホームを得て、妻と共に子育てしながら生きてきた。それでも50年前の気持ちを心の片隅にとどめていて、幾分自由となった今、少しだけでも宮本の旅する人生の真似事をしてみたいとひそかに願っている。さて、この本自体は、近畿日本ツーリストがスポンサーとなり宮本常一が若者たちを育てた日本観光文化研究所ゆかりの人々へのインタビューをもとに考察した「旅学...宮本常一の旅学―観文研の旅人たち福田晴子著・宮本千晴監修2022

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