地理の教科書も執筆している阪大の先生が、新しく高校の必修科目となった地理総合の解説書として書いた本。地理総合は系統地理を柱としてつくられており、それは「世界の成り立ちをロジカルに理解する」地理的思考力を重視することの表れだ。受験では地理総合とその土台の上の地理探求をあわせた科目選択になるだろう、とのこと。著者は文化地理が専門らしく、そのためか食文化や農業の話が比較的多く、なるほどと思わせる箇所も多い。自然地理や経済地理の話は比較的少なく、わりと一般的、常識的な記述にとどまっている印象。もちろんこれは高校生の予習復習、試験対策のための本だから、奇をてらわないのは当然だ。乾燥帯の農業は乾燥と戦い、湿潤地帯の農業は雑草と戦う。北緯35度線を境に、高緯度帯では食べ物を干したり塩漬けにしたりして備蓄する文化が育つ。...大学の先生の学ぶ初めての地理総合佐藤廉也