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Beyond Imagination http://katsuragi-phd-consulutant.blog.jp

米国イェール大学の生物学ポスドク。日本の博士課程を修了後、3年間の経営コンサルティング会社勤務を経て渡米。新卒内定者時代、コンサルタント時代、アカデミアへの回帰を模索する時代、そして今の海外ポスドク生活を綴るブログ。

細胞生物学、生化学分野の研究で博士号を取得後、「視野を広げたい」という理由だけで、外資系の経営コンサルティング会社に入社。紆余曲折ありつつも3年ほど勤めた後、アメリカに渡って、イェール大学のポスドクとして再びアカデミアの道へ。 このブログでは、学生時代の終盤に会社に内定した頃から始まり、コンサルタント時代、その後の紆余曲折時代、そして現在のポスドク生活を綴っています。

桂城尚道
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アメリカ
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埼玉県
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2015/06/05

1件〜100件

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  • 神様からの授かりもの

    先月、息子が生まれた。産声を聞いた瞬間に、涙が止まらなくなった。あんなに美しい泣き声は聞いたことがない。漫画「ドラえもん」の中で、しずかちゃんのお父さんが、娘の産声を「天使のラッパのようだった」と表現していたが、それは本当だったのだと知った。よく、赤ん坊

  • AI型の思考の蔓延

    最近、怒りぽくなったなと思う。自分も、世間も。特に、他人の「発言」に対する怒りの沸点低下が、顕著であるように思う。そうした、自分や他人の怒りが、どのように起きているのかを冷静になった後に振り返ると、自分の脳がまるでGoogleやYahooのような「検索エンジン」化し

  • 混沌を乗り越えろ

    前の会社でよく言われていた「合言葉」の中に、"Conquer complexity"という言葉があった。直訳すれば「複雑さを制せよ」ないしは「混沌を乗り越えろ」とでもなろうか。噛み砕いて言えば、「複雑な、混沌とした状況にうろたえてはいけない。理知と冷静さを以て、混沌の背後や

  • (長い長い)就活スタート

    論文がなんとか通りそうだ(今の雑誌なのか、また別の雑誌かは不透明だが)ということで、今のポスドク後のことを考え始めた、すなわち就活を始めた。就活と言っても、ポスドクの就活は、日本の新卒のようにエントリー期間があって一斉採用される訳でもなく、企業から企業へ

  • 査読の結果が返ってきた

    投稿中の論文の、査読の結果が返ってきた。査読とは、科学雑誌(有名どこではNatureやScienceなど)に投稿された論文がその雑誌への掲載にふさわしいかどうかを、専門家が判断する審査のことである。少なくとも生命科学の分野では、投稿時の状態で「ふさわしい、ちょっと修正

  • もう一つのアメリカ:共和党と白人の州

    アメリカの共和党支持州を旅行してきて、「トランプ支持層」に対する考えが少しだけ変わった。先週までの10日間、アメリカの北中部に位置する、ワイオミング、サウスダコタ、ノースダコタの3州を旅行してきた。そこで驚いたのは、目にする人たち、出会う人たちのほぼ全員が

  • 論文の投稿

    今日、ポスドクとしては初めての論文を雑誌に投稿した。アメリカに来てほぼ3年。その3年の集大成、そう言って大袈裟であれば、一つの目の一里塚の記念である。感情的、あるいは感傷的なことは以前に点(ドット)はいつか繋がるに書いたので、もうそれほど残っていない。しか

  • 超一流たちの開かれた心

    先日、うちのボスが、とある「ビッグラボ」向けに研究発表を行った。そこで、彼らの「オープンさ」に感銘を受けた。そのビッグラボは、細胞生物学界にその名をとどろかせている超大御所のラボである。僕は、まだコンサルにいた頃に、ポスドクとして雇ってもらえないかと打診

  • ドット(点)はいつか繋がる

    スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名な演説で、"Connecting dots"(点が繋がっていく)ことについて述べていて、それは僕のいくつかの座右の銘の一つであるのだが、最近、それがいい形で自分に起きていると感じている。1. コンサル時代の数値解析

  • 中学受験の効用:山を越える体験

    最近、知り合いから「中学受験したんだよね?息子/娘に中学受験をさせようか迷ってるんだけど、かつらぎさんは中学受験してよかったと思う?」と聞かれることが増えた。「中学受験してよかったか」と問われれば、答えは「よかった」で間違いがない。ただ、その理由は、中学

  • I really like your science

    先週の水曜日、Yale Nucleus Clubでの3回目の研究発表をした。前回が去年の4月だったので、ほぼ1年ぶりだった。あれから大きく進展はあった一方で、より分からないことも増え(1つ分かると新たに2つ分からないことが現れるのは科学の性質である)、何となくモヤモヤした中で

  • 2021年の振り返り

    2020年は濃密だったが、2021年もまた濃かった。1月中旬に、初の "Yale Nucleus Club" 内での発表を控え、その準備に追われる。ボスの助言もあり、上々の評判。自分の研究成果を対外的に、かつ詳細に話すのはこれが初めてだった。ようやく、アメリカの研究者コミュニティの一

  • 英会話学習とプログラミング学習は似ている

    日本語話者にとって英会話学習が困難であることは言うまでもないが、実験科学者、特に生化学などの伝統的な生物学を生業としている研究者にとっては、プログラミング言語というもう一つの言語を学ぶこともまた、生易しいものではない。しかし、ここ1年半くらいでプログラミン

  • 頭脳が流出すると取るか、頭脳の海外拠点ができると取るか

    「頭脳流出」という言葉が少しトレンドになっているらしい。日本から海外に出た研究者が、以降に日本に戻って来ないと。あるいは、日本の優秀な研究者が、海外に「引き抜かれる」と。僕はあまりこの言葉にピンと来ない。僕から見ると、日本で起きていることは頭脳流出ではな

  • 世界は海の向こうの連中が作っている

    先日、少し恐ろしい経験をした。僕が属するラボは、イェール内の他の3つのラボと、定期的に合同セミナーを行なっている。みな、細胞核について研究しているので、Yale Nucleus Clubと呼んでいる。そこでは、基本的に「最新のデータ」を担当者が発表することになっている。「

  • NPOという道

    PI (Principal Investigator. ラボの主宰者。教授や独立准教授など)になるか、企業の研究職として勤めるかという二項対立も極端が、もっと広くいうと、アカデミアかインダストリー(営利企業)か、という二択も極端というか視野狭窄なのだなと、今週気付かされた。アメリカ

  • 日本に帰るくらいなら、

    ...アメリカで就職するのもありかもしれないと、最近思っている。日本の研究環境の厳しさは深刻である。「アカデミアを離れてみたら」(岩波書店)という本に書いてあったが、いわゆる地方国立大学である山形大学では、財政難ゆえの電気代節約のため、事務室は昼休みに消灯、

  • 常に、前よりもちょっとだけ難しいことを

    自分が所属するデパートメント(日本でいう学部や研究科のようなもの)の全体集会(リトリート)での、口頭発表を終えた。去年はオンラインで、今年こそは集まって、ということだったのだが、デルタ株の急激な広がりにより、最終的にオンライン開催になった。去年は、このリ

  • ネイティブのようにしゃべりたい/しゃべるべきという幻想

    常々頭にあるのは、「どれくらい英語を話せる、使えるようになればいいのか」という疑問である。日本には、「英語をペラペラに話す」ことを過剰に奨励、崇拝しすぎの嫌いがあるように思う。しかしだからと言って、「英語なんて通じればいいのさ」と開き直るのも、またなかな

  • 可能性と限界

    前の記事に書いた、Computational Biophysicsのワークショップに参加してきた。4日間、自分の研究を離れて、ひたすら異分野の研究者たちと異分野の研究の話をした時間は、まるで海外旅行のような、普段の現実を離れて異邦人となった感覚に似ていた。Biophysicsというタイトル

  • 新しいフィールドへ

    来週月曜から木曜まで4日間行われる、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が主催するComputational Biophysicsのワークショップに参加することになった。Computational Biophysicsと言われてもピンと来ないと思うが、要は種々の生命現象を、物理法則に基づいてコンピューター上で

  • 我慢強さと教育者と

    とある日の午後、実験をしていると、実験の待ち時間で暇を持て余していた学生のJが話しかけてきた。"K(僕のこと)はさ、ポスドクの後はどうしたいと思っているの?"僕) " 独立したいと思っている。別に大学教授でなくてもいいんだけど。今よりももう少し独立性が欲しいと思

  • あなたは何の研究者なのか

    と問われた時に、1文で(1行で)答えられるかが、独立した研究者すなわちラボのボスになれるかどうかを左右するという話を、8つ上の先輩から聞いた。何の研究者なのかって、そんなの聞くまでもないんじゃないの?と思われるかもしれない。確かに、私は「細胞生物学者です」「

  • 2度目のYale Nucleus Club

    での発表を終えた。通常は半年に1回の発表なのだが、元々去年の10月に発表するはずだったものを1月に延期してもらい、その後のスケジュールは変わっていないので、今回は間隔が短くなった。注)Yale Nucleus Clubとは、イェール内で細胞核について研究している4つのラボが合

  • トンネルの出口

    この4ヶ月ほど、ある問題を抱えてきていたのだが、今週、トンネルの出口が見え始めて来た。それは、以前の記事にも書いた、A -> X -> Bの因果関係の問題。Aの条件下でBが起きるのは、Xが機能不全だからではないかと考え、「Aに依存しないX」を入れればBが起きなくなるかを調

  • 一度立ち止まり、So what?を考える

    ちょっと速く走りすぎだろうか。データが出ていることは、いいことである。しかし以前にも書いた通り、自分は「データが出ていればそれでいい」という時代をとうに終えている。その上の次元にいなければならない。前職の言葉を借りるのならば、"So what?"(それってどういう

  • シフト制からの解放

    パンデミック後のラボの再開以来、うちのラボで敷いて来た「シフト制」が、今日をもって解除された。これまでは、コロナウイルスの感染を防ぐため、「ラボの中に同時にいる人数は、ラボ所属人数の半数以下でなければならない」という制約があり、それを守るためにラボメンバ

  • 他人のスマホいじりを見なくていい日々

    アメリカに来て良かったと思うことの一つは、電車内でスマホをいじる集団の光景を見なくてよくなったことだろう。日本では、それが苦痛だった。ホームに電車が来る。ドアが開き、電車に乗る。周りを見渡す。お客はみな、首を30度ほど下に傾かせ、スマホを見ている。微動だに

  • 論文が読めない地方国立大学

    先日、とある地方国立大学で講師をしている、大学院時代の先輩から連絡があった。「Developmental Cellに載った〜〜という論文を送ってほしい。うちの大学ではこの雑誌の論文が読めない」びっくりした。Developmental Cellとは、生命科学の世界では世界最高の科学雑誌Cell誌

  • 研究者コミュニティの一員に

    先週の水曜日、初めて、「4ラボ合同セミナー」で自分の研究の発表をした。この4ラボ合同セミナーは、イェールの中で、「細胞核」という共通の研究対象を主戦場としている4つのラボが、2週間に1度、自分たちの最新の研究成果を発表する場である。細胞核がテーマなので、"Yale

  • サイエンスを大事にする国

    次期副大統領のカマラ・ハリスの話を聞いて、アメリカという国が心底うらやましくなった。動画がこちら(ツイッターに飛びます)以下、彼女の言葉の抜粋:"私の母はサイエンティストでした。(中略)サイエンティストとして、母は私に大切なことを教えてくれました。それは、

  • Keep the faith! - 「信じない」が蔓延する時代に

    2021年のアメリカは、衝撃的な出来事で幕を開けた。アメリカの民主主義が進行される、その中心的な場所である議事堂(Capitol)が、トランプ支持者たちの暴動によって破壊されてしまった。今のアメリカが危機的な状況にあることを世界に知らしめるには十分すぎただろう。民主

  • 2020年はいい1年だったと思う - 感情とプライベート編

    2020年をいい1年だったなんてことが言えるのは、そもそも、自分や自分の身内に、コロナウイルスによる不幸がなかったからである。それは全く運がよかったとしかいいようがない。ただ、自分や自分の身内に不幸がなかったのであれば、この人類史に残る災禍の中、なんとか1年を

  • 2020年はいい1年だったと思う - 時系列的振り返り編

    2020年が終わろうとしている。新型コロナウイルスに翻弄され続けた1年だったが、「自分個人としては」いい1年だったと思う。ここでは、この1年を時系列的に振り返りたい。1月:日本での休暇を終え、アメリカに戻る。早々にラボ内の発表があるため、その準備で図書館にこもる

  • 2021年はいい1年だったと思う

    2020年が終わろうとしている。新型コロナウイルスに翻弄され続けた1年だったが、「自分個人としては」いい1年だったと思う。ここでは、この1年を時系列的に振り返りたい。1月:日本での休暇を終え、アメリカに戻る。早々にラボ内の発表があるため、その準備で図書

  • 研究に「着想」なんて要らない

    先生のご研究は独創性にあふれていますが、その着想はどのように得ているのですか?とある大御所(といってもまだ40代の方だが)の先生のキャリア講演で、上記のような質問が出た。先生の答えは明快だった。着想なんて、していないと思います。その先生が言うには、自然科学

  • モチベーションは何か?

    少し前のボスとの会話(対話)。ボス「あなたの研究のモチベーションは何?」自分(少し考えて)「目の前にあるものを知りたい、メカニズムを解き明かしたい、という気持ちだと思います」ボス「他には?」自分「その結果を、科学コミュニティーに共有して、皆がどう考えるか

  • 「何々が私の人生の全て」の思考からいかに抜け出すか

    ポスドクという期間を「成功裏に」終えたいのであれば、とにかく論文を出さねばならないと言われる。それも、いい論文をである。"Publish or Perish" (論文を出すか、さもなくば死ぬか)という言葉は、それを端的に表現している。しかし、他の研究分野ならいざ知らず、現代

  • ニューヘイブンの街を見下ろしながら

    今日は自分が住んでいる町、ニューヘイブンの名物である「イーストロック」の「山頂」に登った。イーストロックとは「ロック(岩)」というその名の通り、見た目は巨大な岩石のような風貌の丘である(地質学的には丘ではないかもしれないが)。ニューヘイブンの街の北側にあ

  • 自分の音楽はデビューしてから奏でればいい

    ボスと自分とで、研究における「音楽性」が少しずつ違って来ているのを感じている。いや正確に言うと、音楽性が違うことが顕在化してきている。いま自分はNIH(National Institute of Health)という、日本でいう厚労省のような機関(正確にはだいぶ違うが)の拠出する研究費

  • 1日に1本の論文を

    科学雑誌ネイチャーの記事で、1日に必ず1本の論文を読むことを自分に課している教授がいるということを知った。こちらの記事:This scientist read a paper every day for 899 days. Here’s what she learned実は自分も、3月のコロナシャットダウン以来、「なるべく毎日論文

  • デビュー戦:初の対外発表

    昨日、うちのデパートメント(日本の大学の学部のようなもの)の全体集会があり、そこで初めて自分のラボ以外の人向けに発表をした。全体集会は、例年は1泊2日の泊まり込みでやるのだが、今年はそれは無理なので、例のごとくZoom開催である。去年参加したときに、「来年はこ

  • ミシェル・オバマの演説:民主党大会

    一昨日から、こちらアメリカでは民主党大会が開かれている。大会といってももちろんバーチャルなのだが、そのおかげで、登壇者がテレビ画面いっぱいに映し出されてこちらを見ながら語りかけてくる様は迫るものがある。一昨日の第一日目の目玉の登壇者は、何といってもオバマ

  • 5回目のラボ内発表を終えて

    昨日、このラボに来て5回目のラボ内発表をした。うちのラボは小さいので(ボス以外で8人)、発表は2ヶ月に一度回ってくる。学生時代のラボは大きかったので(学生だけで25人くらい)、発表は3ヶ月に一度くらいしか回ってこなかった。さすがに5回も発表していると、慣れてはく

  • 生命科学研究はミルクボーイの漫才に似ている

    自分の研究の日々の「あーでもない、こーでもない」の試行錯誤や議論を見ていると、どうも昨年M-1王者のミルクボーイの漫才に似ているなと思うことがある。研究のはじめに何かふと面白い現象を見つける。と同時に仮説が湧く。(その特徴は完全にコーンフレークや!)↓検証1

  • 質の高い論文とは:ピラミッドの石を積むように

    質の高い、あるいは価値の高い研究論文とは何かという議論は昔からある。大雑把に言えば、「皆が関心のある大きな研究課題に答えを提示していて、その答えの出し方(研究手法)が洗練されていて、データに説得力がある論文」ということになるだろうし、その考え方には反論す

  • 人種差別問題に当事者意識を持つのは難しい

    10日ほど前に、日本からアメリカに戻ってきた。戻ってきてすぐに目の当たりにしたのは、コロナウイルスによって冷え込んだ街ではなく、黒人差別問題に関する運動と、それがもたらす街や国全体の緊張感である。今月に入り、他の大学の例に漏れずイェールでも、この長らく続く

  • 知らないことを「知らない」と認めること

    うちのボスから学ぶことはたくさんあるが、その中で一つ大きなことは「知らないことは知らないと認めて周りに聞く姿勢」だと思っている。ボスは、とにかくよく質問をする。セミナーに参加すると、学生よりも誰よりも一番質問している。それも、偉そうに質問をするのではなく

  • コロナは世界にニュートンを生むか

    コロナウイルスが世界中で強いている「研究者の自宅勤務」は、第二、第三、のアイザック・ニュートンを生むだろうか。そして、自分はその中の一人(っぽい人)になれるだろうか。ニュートンは、英国で大規模な疫病が蔓延し大学が閉鎖に追い込まれたため、やむを得ず故郷に帰

  • こんなときだからこその行動指針

    こんなときだからこそ、今大切にすべきこと。小さな目標と行動指針。1. 健康でい続けること。自分も、家族も。三食、屋外での運動、笑い2. 目の前の引越しと、ビザ更新を無事に終わらせること3. ボスとの密なコミュニケーションを続けること。週一のZoomコールを続けること4.

  • ネイティブにも英語の論文執筆は難しい

    最近、ボスと一緒に小さな論文解説記事を書いた。論文解説記事は、英語ではCommentaryとかPerspectiveとか、掲載される雑誌によって様々な呼び方をされる。要は、最近出た大きな論文について、その論文の著者とは無関係の第三者の研究者が「最近、こんな論文が〜雑誌に掲載さ

  • 限りある(研究者)生命

    明日、日本に一時帰国するので、なんとなく、部屋を片付け、ゴミを捨て、一つの「区切り」を付けた。空になったゴミ箱を床に置き、ふと窓の外を見ると、いつも通りの、しかし今日はなぜだかすごく愛おしい、夕空の景色があった。ふと、「自分がイェールを辞め、このニューヘ

  • 賢者との一問一答

    賢者「久々だな。実に3年ぶりじゃないか」自分「そうですね」「前回話をしたときは、ずいぶんと病んでいたが、あれから本当にいろんなことがあったみたいだのう」「はい、前回話をしたときはまだコンサルタントでした。あれから3年の間に、コンサルタントを辞め、結婚し、医

  • アメリカの混乱と混迷

    「研究なんてしている場合じゃないよな」3.11の震災の直後、当時自分が所属していた研究室の助教の先生が口にした一言が、今でも忘れられない。彼は非常にストイックで厳しい人として通っていて、それこそ朝から夜までを研究に費やすことを是とし、それを学生に暗に強いるよ

  • アメリカでも結局ハードワークするやつが生き残る

    日本人は働きすぎだ、欧米人はオンとオフを切り替えてやっていて、それでも結果を出している。誰もが一度は聞いたことのある言説だと思う。本当だろうか?今日、日本で博士号取得後、ポスドクとしてアメリカに来て、その後業績を積んで今はイェールでラボを持っている日本人

  • コンサルで学んだことがアカデミアで活きるとき

    日々ラボに来て、実験をしたり論文を読んだりして、結果をラボ内でディスカションするという生活のリズム自体は、学生時代と殆ど変わるものではなく、そういった意味では学生生活に戻ったようではある。しかし、3年間のコンサル生活を経て(うちコンサルタントとしての勤務は

  • 生命科学における細胞株の問題

    現代の生命科学では、いわゆる「培養細胞株」を使って研究を行うことが多い。培養細胞株(単に細胞株とも。英語ではCell line)とは、元々人間や動物などの体の一部だったものを、手術/解剖で取り出した上で、培養液の中で無限に増えるように「飼いならされた」細胞たちのこ

  • 探しものは何ですか

    ここのところの過剰労働が少し体に来ているようなので、今日は平日だが思い切って休むことにした。ラボに来て以来、丸一日休むのは初めてだ。自分では学生のときか、それ以下のペースでやっているつもりなのだが、どうも20代中盤のような体力はないらしい。量ではなく質で勝

  • 新しいボス候補の公開面接

    現在自分がいるDepartmentでは、新しいラボのボスを公募しており、その選考の最終段階にある。新しいボスを、と言っても、今すでにいるボスが辞める/辞めさせられるということではなく、新しいビルに移ってスペースが余っているので、そこに新しいラボを立ち上げさせる、と

  • サイエンスを知らない大物サイエンティスト

    先日、日本人の集まる新年会があり、そこで面白い話を聞いた。その中の一人のポスドクが、自分のボスのことを話していた。彼曰く、ボスは「サイエンスを知らない」らしい。ボス、つまり医学のプロフェッサーが、サイエンスを知らないなんてことがあるかと思ったが、彼は本当

  • 変化する人間関係と、後に残る仲間の存在

    人生も30年経つと、人間関係の有様も多様化し、かつ生成と消滅と再生を露骨に繰り返すようになる。かつて大学にいた頃には「友達」だと思っていた人たちが、大学卒業と同時に急激に疎遠になり、一切の連絡を取らなくなったりする。たまに連絡を取って会ってみても、首をかし

  • アメリカで浸透している「パワポのアニメーション機能」の功罪

    アメリカに来て以来こちらの人たちの研究発表プレゼンを見ていて、驚き、かつ違和感を未だに拭えないことが、みなPowerpoint(パワポ)のアニメーション機能を多用することだ。パワポのアニメーション機能とは、プレゼン中に、スライド上にある文字や図や絵などを、ワンクリ

  • 自分が日本に捨てて来たもの

    日本に戻って来た。久々、という感じが全くしなかった。自分には人生が2つあり、片方の人生から、もう一つの別の人生に戻って来たような感覚である。日本を出発した、7月16日の続きとして。太平洋によって分かたれている空間同様に、アメリカでの自分と日本での自分は不連続

  • データ製造者のその上の次元へ

    アメリカに来て5ヶ月。いったん実験を休止し、明後日に一度日本に帰る。束の間のオフである。5ヶ月間、本当にいろいろなことがあった。5ヶ月前、キャンパス内の土地勘もなく、街のどこに何があるかも分からず、全てが未知の状態で飛び込んで来た。今は、当初ボスに車で案内さ

  • 日本で習った変な英語と習わなかった正しい英語

    こちらに来て、日々アメリカ人たちと接していて痛感するのが(幸い今のラボはボスを含めてアメリカ人だらけでネイティブの用例に困らない)、自分が日本の学校教育でいかに変な英語を習って来たか、そして実際に使われている英語をいかに習って来なかったかということである

  • アメリカのラボ間の垣根の低さ

    アメリカに来て驚いたことはたくさんあるが、その中の最大のものの一つは、ラボ間の垣根の低さである。特に、以前にこちらの記事にも書いたが(日本の学会と欧米の学会との違い(仮説))、未発表データをお互いにガンガンと見せ合う姿勢はすごいなと思った。イェールは非常

  • 細胞が分裂する様子

    昨晩から今朝にかけて、一晩中、生きた細胞を動画で撮影する実験を行った。一晩中と言っても、夜に細胞をセットして撮影の設定をすれば、後はコンピューターが自動で撮り続けてくれるので、自分はそこにい続ける必要はない。そんなことをしたら体力が持たない。実験の目的は

  • 寒すぎる町における「室温」実験の問題

    科学の実験においては、実験を行う温度がしばしば問題になる。試験管内の化学反応や、動物や細胞の飼育・培養において、「何℃で行うか」は結果を大きく左右することが多い。「25℃ならいいけど、26℃だとダメ」な実験があったりする。しかし、そんな温度に敏感な科学(特に

  • 4ヶ月の振り返りと、生産性に関する考察

    アメリカに来て、間も無く4ヶ月になる。自分自身の現在地を見直し、鼓舞と反省の材料のするためにも、この4ヶ月を時系列に沿って振り返ってみる。と同時に、「果たして自分はここまで生産的に働けているだろうか」という問いにも答えてみたい。7月中旬、アメリカに到着。最初

  • 検証実験の結果

    前の記事で、素晴らしく希望が持てる実験結果が出たと書いたが、先週、その実験結果の正しさを検証する実験を行った。すなわち、分子Xを見るためのツールが、「本当に」分子Xを見ているのか否かを、2種類の方法で確認しに行った。結果としては、片方の実験は「分子Xを見てい

  • 勝負どころは突然に

    今週、凄まじくいい実験データが出た。以前の記事で、「ちょっとびっくりする結果」が出たと書いたが、今回のデータはその比ではない。(以前の記事で書いたデータは、その後の再検証の結果、少し怪しいことが分かったので、いったん脇に措いている)今自分がやっているプロ

  • 初のラボ内セミナー発表を終えて

    昨日、初めてこのラボ内で自分の研究結果のセミナー発表を行った。ラボによって言い方が異なり、Lab meetingと言ったり、日本では単に「セミナー」と呼んだりといろいろだ。たいてい、2、3ヶ月に一度、自分に担当が回ってきて、自分が担当のときに、過去2、3ヶ月の実験結果を

  • ちょっとびっくりする実験結果

    昨日やった実験で、ちょっとびっくりする結果が出た。そもそもの目的は、過去の論文の結果を再現しつつ、「その結果が正しいなら、こういう方法でも同じ結果になるはず」ということを仮説して確かめるものだった。その「こういう方法でも」がうまくいけば、今後の自分の研究

  • 日本の学会と欧米の学会との違い(仮説)

    先週のことであるが、小さな学会に参加した。参加、と言ってもまだ発表できるような成果があるはずもないので、聴きに行っただけである。ラボメンバーも全員一緒で、うち学生の一人は口頭で発表した。その学会と、さらに先日ボスがスコットランドの学会で発表してきたのだが

  • 「労働の日」のランニング大会

    今日はアメリカは「労働の日」の祝日だった。そして、僕は、ここニューヘーブンで開催されたランニング大会に、ラボメンバーたちと共に参加した。ランニング距離はハーフマラソンと5キロがあったのだが、ちょっと自信がなかったので今回は5キロにした。かつてフルマラソンを

  • スーパースターポスドクとの夕食

    イェールのメディカルスクールの、とある「スーパースター」ポスドクと2人で夕食に行ってきた。彼はセルビア人だが、ドイツでPhDを取った後、イェールのメディカルスクールの某超巨大ラボで4年ほどポスドクをしている。昨年その研究成果が、世界最高の科学雑誌の一つのScienc

  • ボスとラボの印象

    ラボの生活を1ヶ月進めて、だいぶボスとラボの印象がはっきりしてきた。ボスについて1. 人間性とにかく明るい。まさに南カリフォルニア育ちという感じ(偏見)。そしてよく褒める。学生の小さなデータでも、"Cool!" "Awesome!"と言って盛り上がる。非常にいいことだと思う。

  • 1ヶ月:経過報告

    アメリカに来て1ヶ月が経った。新しい家での生活も落ち着き始め、実験も少しずつではあるが回るようになり、まあまあ最初の1ヶ月としては上々ではなかろうか。8月中に終わればいいかなと思っていたことが2週早く終わったような感覚である。今後自分が取り組んでいく研究プロ

  • アメリカに来て約2週間が経った

    アメリカに来て、今日で12日が経った。到着したその日はラボへの挨拶と、一時滞在することになるボスの家への移動で終わったが、その翌日から実にめまぐるしい日々を過ごした。自分への励ましも兼ねて、その経過を記す:16日:到着、ボス家へ移動17日:朝から大学による「外

  • 先の見えない人生をいつまでも

    先月末をもって、会社を退職した。2週間後のアメリカへの出発まで、しばらくニート生活である。退職にあたり、多くの方から激励のお言葉、あるいはブックレットの形で、メッセージを頂いた。日本オフィスの方々からは口頭で、海外オフィスの方々からは「メッセージ集」の形で

  • イェール初訪問とボスとの顔合わせ

    1ヶ月ほど前、7月からポスドクとして働き始めるイェール大学のラボを、初めて訪問した。そして、ボスを始め、ラボメンバーとの初顔合わせを果たした。(いつも更新が遅くてすみません)行って、良かった。やはり会って初めてわかることが多い。ボスは、いかにも南カリフォル

  • ご報告が遅くなりましたが

    4月2日に、イェール大学の先生(前回の記事参照)から、「うちに来てくれないか」と口頭でオファーをもらい、4月6日にメールでオファーを承諾した。全く予想していなかったタイミングでのオファーだったので、「ちょっと考えさせて欲しい」と間を頂いた。そして、「できるこ

  • 初のビデオ面接を終えて:イェール大学

    昨晩、イェール大学のY3先生(前の記事を参照)と、そのラボのメンバー全員との面接が、ビデオ通話形式で行われた。最初に簡単な自己紹介の後、すぐに、僕の博士課程時代の研究内容のプレゼンをした。今は便利な時代で、Zoomというアプリを使うと、僕のパソコン上で写したス

  • トントン拍子に面接へ

    前々回の記事にあったように、Maryland大学のM1先生に返事を書いた翌日の土曜日、「今日も時間あるしメール一本くらい書かなきゃな」と思いつつ、なんだか疲れていたので、寝そびりながらスマホで思いつくままに細胞分裂と膜脂質の関係に関してググっていた。すると、グーグ

  • 3年ぶりの実験(細胞免疫染色)

    先週末から今週にかけて、久々に実験をした。博士修了以来、実に3年ぶりの実験である。実験の内容は、非常にシンプルで、「細胞染色」と言われる、培養細胞内の特定の分子に蛍光色素をつけて観察するというものである。特に、今回の方法は「細胞免疫染色」と行って、我々の体

  • 一つの返事、一つの前進

    前回の記事にも書いたように、少しずつではあるが興味のあるラボにポスドク応募メールを出している。ここまでようやく8つのラボに出し、3つのラボから、「残念ながら今は空いているポジションがない」という返事があった。うち2つはYale大学のラボ(Y1, Y2とする)、一つはCo

  • ラボへのボスへの応募開始

    結婚式などの昨年中の行事が全て終わり、年も開けたということで、ポスドクとして行きたいラボへの応募を開始した。「応募」といっても、事業会社への就活のようにエントリーシートのようなものがあるわけではない。基本的には、「あなたのラボでポスドクとして働くことに興

  • アメリカにて:L先生との面談

    (一部更新:11月6日)先週まで、2週間半ほど、アメリカとカナダに行って来た。最初の1週間は仕事のための訪米だったのだが、後の1週間は、せっかく社費で太平洋を渡ったのだから、他の街も見たい(何より当方アメリカは初訪問である)ということで、いくつかの都市を回って

  • 元指導教授と面談:復帰へ

    「今の会社を辞めたらアカデミアに戻ろうと決めました、つきましてはご相談に伺わせてください」と、自分の大学院時代のラボの教授D先生に連絡し、昨日実際に会ってきた。いったいどんな反応をされるだろうと緊張してラボに着いたら、D先生は秘書さんと二人でお酒の準備をし

  • 次のキャリア:結局顕微鏡か

    以前の記事で、アカデミアの研究者に戻る道を探索していると書いたが、約8ヶ月ぶりに、また少し、しかし以前よりもはっきりと、前に進んだ。大学院時代にお世話になった、別大学のY先生にコンタクトを取り、1対1で相談に乗って頂いた。Y先生は僕が1ヶ月間短期国内留学した際

  • 加速するコミュニケーションの嵐の中で

    地球上の生き物で、かつてこれほど苛烈なコミュケーションと情報共有に巻き込まれたことがあったのだろうか。Email, Skype, LINE, Facebook, LinkedIn, Twitter...挙げれば枚挙に暇がないほどに、たかだか10〜20年前に存在しなかったであろうコミュニケーションツールによっ

  • 友人というKPIについて

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