喫煙のけむり
煙草の煙【1966(昭和41)年11月11日朝日新聞朝刊掲載】何やら偉そうな訪問客をサザエさんが迎え入れる。サザエさんの接待にも終始無言で、あろうことかテーブルに置いた灰皿には目もくれず、床の上に灰をまき散らす。怒り心頭、サザエさんは客がかぶってきた帽子を灰皿代わりに床に置いて、姿を消す。傍若無人な喫煙者に対するささやかで、しかも怒りの鉄槌だったのでしょう。昭和24(1949)~25年ごろだったと思う。東映の時代劇・笛吹童子だったり、紅孔雀が劇場をにぎわし、嵐寛寿郎の鞍馬天狗などが一世を風靡していた。小学生が一人で映画を見に行くことは禁じられていたが、わたしは一週間の小遣いをためて日曜日にはいつも映画を見に行っていた。当時は3本立で、映画が終わるとブザーがなり、場内が明るくなる。小学生が一人で映画を見に行...喫煙のけむり
2024/03/31 06:30