心地いいばかりではない「森の生活」
『限りなく繊細でワイルドな森の生活』内藤里永子(KADOKAWA)「森の生活」といえば、真っ先にヘンリー・D・ソローを思い浮かべるけれども、先ごろKADOKAWAより詩人で翻訳家の内藤里永子著『森の生活』が刊行された。ソローは森の思索家として20代から森の生活を志向し実践しているが、内藤さんはといえば、若い頃から登山を趣味として自然に親しんでいたものの、実際に「森の生活」を営んだのは60代に入ってから。なぜ60代になって突然か。勝手な推測ではあるが、「メメント・モリ」(死を思え、つまりは今を楽しめ)に目覚めたからなのではないのか。50代で周囲の親しい人たちが鬼籍に入ったことが影響している。内藤さんは独身者であり、独身者にとって親しい人がいなくなることは大きな衝撃になることは容易に想像がつく。この本の中で、若い頃...心地いいばかりではない「森の生活」
2021/07/25 12:04