枕草子を読んできて(119)
一〇六中納言殿まゐらせたまひて(119)2019.4.30中納言殿まゐらせたまひて、御扇奉らせたまふに、「隆家こそいみじき骨を得てはべれ。それを、張らせてまゐらせむとするを、おぼろげの紙は張るまじければ、もとめはべるなり」と申したまふ。「いかやうなるにかある」と問ひきこえさせたまへば、「すべていみじく侍る。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり』となむ人々申す。まことにかばかりのは見ざりつ」と、こと高く申したまへば、「さては扇のにはあらで、くらげのなり」と聞こゆれば、「これは隆家がことにしてむ」とて、笑ひたまふ。◆◆(藤原隆家)中納言殿が参上あそばして、御扇を中宮様にお差し上げあそばすのに、「この隆家こそ、すばらしい骨を手に入れましてございます。それを、紙に張らして差し上げようと思うのですが、いい加減な紙を張るわけにはま...枕草子を読んできて(119)
2019/04/30 17:14