枕草子を読んできて(99)その2
八六頭中将のそぞろなるそら言にて(99)その22018.10.28「あやしく、いつのまに何事のあるぞ」と問はすれば、主殿寮なり。「ただここもとに人づてならで申すべき事なむ」と言へば、さし出でて問ふに、「これ頭中将殿の奉らせたまふ。御返りとく」と言ふに、いみじくにくみたまふを、いかなる御文ならむと思へど、ただいまいそぎ見るべきにあらねば、「いま聞こえむ」とて、ふところに引き入れて、ふと入りぬ。◆◆たったいま参上したばかりなのに、いつの間に何の用事が出来たのか」と聞かせると、それは主殿寮の男である。「ただ私の方で、人づてではなく直接に申し上げるべきことが…」と言うので、出て行って尋ねると、「これは頭中将殿があなたにお差しあげさせになります。お返事を早く」と言うけれど、ひどくお憎みになっているのに、いったいどうのよう...枕草子を読んできて(99)その2
2018/10/28 09:48