村田新八と仏罰——滴水和尚の予言
明治10年、山岡鉄舟は天龍寺に参詣し、禅の師匠でもあった滴水和尚と語り合った。話題は鹿児島のことに及び、「薩摩の陣中には村田新八殿が居るそうじゃな」と和尚が言った。 鉄舟は感慨深げに「左様、桐野、篠原等と一緒に西郷先生の片腕でございましょう」と答えた。 戊辰戦争のとき鉄舟が駿府の大総督府へ向かって官軍の陣営を駈け抜けたとき、桐野利秋とともに追いかけて鉄舟を斬殺しようとした一人が村田新八であった。後日、村田は「あなた(鉄舟)がとっとと西郷のところへ行って面会してしまったので斬り損じてしまった」と打ち明けている。(「慶應戊辰三月駿府大総督府ニ於テ西郷隆盛氏ト談判筆記」の現代語訳——『最後のサムライ…
2015/11/29 07:30