卍屋龍次地獄旅
鳴海丈/徳間文庫1999年11月15日初版。「股旅・ハードボイルド」とは、いかにも本作品らしい呼称である。実は、これは官能小説でもあり、時代小説でもあり、そしてハードボイルドでもある。幼い頃、運命を共にしていた相方の「おゆう」を探しながら、卍屋として街道筋を旅する主人公である。「おゆう」の面影を探しながら、しかし訪れる先々でおかしな事件が身に降りかかる。街道筋、宿場町と背景を替えながらの旅は「股旅」であろう。そして、事件毎に対峙する敵との戦いに火花を散らすのが主人公の「無楽流石橋派脇差居合術」だ。時代モノとしてはこれもまた欠かせない殺陣の場面、ハードボイルドである。その合間を接着するように必ず女が登場し、官能場面が描かれる。読者はこの三つを楽しみながら読み進む訳だ。個人的には、総じて股旅部分をもう少し史実に基づ...卍屋龍次地獄旅
2020/06/27 22:41