ねじまき鳥クロニクルⅢ
―鳥刺し男編―村上春樹/新潮文庫1997年10月1日初版、2003年10月5日第14刷。最後まで読んで判ることは、以外にも主人公の生きることの目的探し、心象風景、その変遷描写はあるものの、もう一つ「汚れ」という問題があることが判る。この「汚れ」の問題は、皮剥ぎボリス、元・中尉の間宮、妻のクミコ、加納クレタ、秘書の牛河それぞれの「汚れ」がある。これに対し笠原メイの透明な汚れの無さ、赤坂シナモンの清潔さが際立つ。そんな中に主人公の立ち位置がある。「穢れ(ケガレ)」、「瀆れ(ケガレ)」或いは「汚れ(ヨゴレ)」ではなく、何故「汚れ(ケガレ)」なのだろうか。この場合の「汚れ」とは何なんだろう。一見、透明で「汚れ」とは縁のなさそうな笠原メイでさえ、実はその「汚れ」を抱え込んでいる。そして例え元・中尉のように「抜け殻」のよう...ねじまき鳥クロニクルⅢ
2019/08/30 13:14