★ 「はねてゆく小娘」 H・ホイヴェルス随筆集「時間の流れに」より -(3)
~~~~~~~~はねてゆく小娘~~~~~~~~H・ホイヴェルス随筆集「時間の流れに」より-(3)都会の屋根の上は春の空です。朝6時、夜の雨で清らかに洗われた小路を、私は歩いてゆきました。向こうから一人の小娘が飛んできます。一足一足飛び上がり、ぴょんぴょんはねはねくるのです。飛び上がるごとに、髪の毛も、左右にさしのべた可愛いい手も、春風のなかに快げに、ふり動いています。ほんとに巣立ったばかりの小鳥のよう――黒い髪、明るい顔、生き生きした真顔で飛んでくるのです。五歩ばかりに近づいたとき、小娘は急に私を見つめました。と、子供の顔に美しい朝のほおえみが浮かびました。はねながらのご挨拶です。とても愛らしくひらひらする顔をさげて、はねながら通り過ぎました。私も急いでお辞儀をしてほおえみました。このお辞儀もほおえみも子供が受...★「はねてゆく小娘」H・ホイヴェルス随筆集「時間の流れに」より-(3)
2022/03/29 00:00