桜・娘の遺稿
毎年この時期になると,人々は桜・サクラと騒ぎ出す。そして薄桃色の小さな花が開き始めると、決まって皆が言う。「桜って本当に綺麗ね。桜はやっぱりいいよね」と。その様子は、まるで日本桜の桜の嫌いな人はいないかのようで、何か不自然なものを感じる。だって現に私は、どうして桜だけが皆にそんなに好かれるのか分からない。確かに、あの薄桃色は控えめだし、群れて咲いている桜の花々を遠くから眺めれば、まるで絵画のようだと感心する。でも、それだけだ。私の大好きなトルコキキョウを手にした時のようにワクワクもしないし、ハッピーな気分になることもない。ああ、こんなことをこっそり思っている私って、日本人的ではないのかな。他の人は、桜のどこがそんなに好きなんだろう。小さくて華奢な薄い花火と、淡い色合い、そして散り際の良さ、といったところだ...桜・娘の遺稿
2024/04/16 07:02