『ひとり日和』
読書。『ひとり日和』青山七恵を読んだ。読み始めて面白くなるまでが早いです。作家が20代前半で書いた芥川賞受賞作ですが、技術が巧みです。高校を卒業しても進学を拒み、就職するわけでもない主人公。親に依存して生きてきた子ども時代からいきなり社会に放り出されるように自立するのではなく、親戚のおばあさんの家に居候しながら自然と自立へと、誰に促されることもなく自分自身でその道をたどっていく。そういう物語です。はっきりと端的に明文化できるような成長ではない部分を描いた、自立の入り口までの成長物語。以下、ネタバレありますので、ご注意を。こういう物語を読むと、自立にはある種の慎重さや段階を踏んでいく過程がほんとうならば必要なんだろうなあと思えてきます。大きな段差のある階段の一段を、「ふんっ」と力を込めながら踏みあがっていく...『ひとり日和』
2023/06/30 10:44