有閑マダムと本の日々

田舎のポルシェ

著者 篠田 節子出版社 文藝春秋 車は単なる移動手段ではない不思議な乗り物だ。仕事帰りに乗ればすぐに自宅気分が味わえるし、災害時には家代わりにもなる。長年乗った車には同志のような愛着がわく。軽トラック、ボルボ、そしてロケバス。本書に収められた3作品

2022/02/26 11:01

心淋し川

著者 西條 奈加出版社 集英社  千駄木町の一角にある心町長屋に住む人々の物語である本書は、第164回直木賞受賞作だ。心町を横切る心川には塵芥が溜まり、川は止まったままに見える。それは木戸すらない長屋住まいの人々の心象風景となっている。生まれ育ったこ

2022/02/19 10:59

リングサイド

著者 林 育德 (三浦 裕子 訳)出版社 小学館  海を隔てた台湾で、ケーブルテレビの草創期から日本のプロレスが放映されていたとは、本書を読むまで知らなかった。今では日本でも観られない試合が繰り返し放映され、日本占領下時代に日本語を習った老人たちが

2022/02/12 10:30

パラソルでパラシュート

著者 一穂 ミチ出版社 講談社  30歳になったらクビというのが暗黙の了解の契約社員として、美雨は会社の受付嬢をしている。同僚たちはそのときまでに結婚相手を探し、資格を取得してキャリアアップを目指す。でも美雨はそういう気になれないまま、29歳になった

2022/02/05 11:21