有閑マダムと本の日々

卍どもえ

著者 辻原 登出版社 中央公論新社  都内に広告デザイン事務所を構える瓜生とその妻、ちづる、フィリピンで日本人専用ランゲージ・スクールを経営する中子と近畿日本ツーリストのシニア・プランナーとして活躍する妻の毬子。二組の夫婦と彼らを取り巻く人間模様

2021/02/24 15:22

逃亡者

著者 中村 文則出版社 幻冬舎  第二次世界大戦中、日本の軍楽隊に天才トランペッターと呼ばれる男がいた。彼が奏でる音色に兵たちは酔いしれ、士気を鼓舞され、劣勢をもろともせず敵陣に襲いかかったという。彼のトランペットは”熱狂(ファナティシズム)”と呼

2021/02/17 20:56

百年と一日

著者 柴崎 友香出版社 筑摩書房  昨年の冬至の夜空には、木星と土星の最接近が400年ぶりに見られた。次にふたつの星が接近するのは60年後というから、なんと気の遠くなるような話かと思う。だが、それはわたしたち人間の感懐であって、当の木星と土星からしたら

2021/02/10 14:37

水を縫う

著者 寺地 はるな出版社 集英社  祖母と母、姉の水青と4人暮らしの清澄は、裁縫のうまい祖母の影響で刺繍が趣味だ。男が刺繍ばかりしていたら友だちができないよと母は言うが、本音は離婚した父の血を強く引いているのではないかと思っているようだった。デザイ

2021/02/03 11:05