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手紙(4/5)
2021/09/30 21:24
手紙(3/5)
<1→2> 夏休みに入って最初の週末、聖也は家族と一緒に北海道へ旅立った。 約束通り毎日連絡をくれる。俺が「聞かせて」と言えば律儀に「好きだよ」と言ってくれる。 会いたい。会いたい。会いたい。 声だけじゃ足りない。会って顔を見たい。抱きしめたい。キスしたい。直接好きだよと言って欲しい。 電話のたびに「あと何日で帰って来る?」と質問した。答えが一日ずつ減っていく。残り5日くらいからもどかしくてたまら...
2021/09/29 21:36
手紙(2/5)
<1> 今日は聖也とデートの日。少し早めに待ち合わせの駅についた。聖也の地元の駅と言うだけで俺には特別な場所になる。券売機の横にある掲示板の前で待っていたら明るい日差しのなか駆けて来る聖也を見つけた。「遅れてごめん!」「ばか、走るなっ」 聖也を制止しつつ俺の方も駆け寄った。近くに来てイメージのかわった聖也に気付いた。「髪……」「切ったんだ」 下を向くたび目にかかった前髪は眉の上まで短くなっている。...
2021/09/28 21:06
手紙(1/5)
※死ネタ、嫌な予感がしたらそっ閉じ推奨。(初出2014年) 明日は休みだと酒をがぶ飲みした。毎年この時期がくると気持ちが沈む。ハイペースで飲んであっという間に酔いつぶれた。 俺を気にかけてくれる同僚の腕を「一人で平気だ」と振り切り、ふらふら歩いていたらすれ違い様肩がぶつかっただのと因縁吹っかけられて気が付いたら路地裏で大の字になっていた。 立ち上がるとあちこち痛んで電車で帰るのは諦めてタクシーをつかま...
2021/09/27 21:45
ぼくら(4/4)
<1→2→3> 緊張のせいで僕の顔色は真っ白になっていた。それを見て他のみんなが苦笑する。リラックスさせようと色々言葉をかけてくれるがそのどれもが僕の耳をすり抜け頭に残らない。上の空の会話は噛み合わなくて、みんなの苦笑は心配顔にかわっていった。 本番直前、不安になる僕の背中を遠藤さんが思い切り叩いてきた。「ド素人が力むな。誰もお前に期待してないから安心しな」 ニヤッと笑い舞台へと出て行く。そうだ、誰...
2021/09/26 20:56
公開終了のお知らせ
お疲れさまです、いつもお世話になっております!突然ではありますが、「君が笑った、明日は晴れ」を9月25日で公開終了することにいたしました。長くなったので以下折りたたみます。...
2021/09/25 22:09
ぼくら(3/4)
<1→2> 翌日、僕はまた早めにオペラ座館に入り、姿を見せないファントムの個人指導を受けた。その日の通し稽古は失敗せずに撮影出来た。井出さんが「上出来、上出来」と褒めてくれるのは心苦しかった。「これくらい出来て当然」遠藤さんのツッコミがむしろ有難い。 映像を見ながら最終チェック。本番までもう時間がない。みんなの顔も真剣そのもの。稽古に余念がない。出番のない僕は裏方として小道具チェックに勤しんだ。 ...
2021/09/25 21:14
ぼくら(2/4)
<1> 飲食店のバイトを終え、家に戻ってシャワーを浴びてからオペラ座館へ急いだ。今日の練習開始は21時から。まだ二時間弱ある。管理のおじさんに「早いね」といわれながら中に入れてもらう。鞄を床に放り投げ舞台に立った。せっかくシャワーを浴びたのに走ってきたせいで汗をかいていた。 人の気配がまったくない。物音一つ聞こえない。ファントムはまだ来ていないのだろうか。それとも僕をからかっただけで本気じゃなかった...
2021/09/24 20:42
ぼくら(1/4)
※挿入ってない(初出2009年?) ここは劇団「ぼくら」の稽古場。看板俳優の遠藤理久が、次回公演の見せ場である長台詞を完璧に言い終わり、台本上、暗転となったところで休憩に入った。「おい、雑用! 俺のドリンク持って来い!」 一番下っ端の僕は慌てて長テーブルの上から遠藤さんのドリンクを探し出し持って行った。受け取った遠藤さんは、「気がつかねえ新人だな。先輩の一挙手一投足を見逃すんじゃねえよ、バカ。言われる...
2021/09/23 20:38
worn out(2/2)
<1> 冬休みになった。 親は田舎に帰る予定を立てていたが、俺は一人家に残ると言い張った。もちろん児嶋を呼んで二人きりで思う存分イチャイチャするためだ。 無駄遣いするなと三日分の生活費を渡すと両親は田舎へ向かった。俺がそのことを伝えると児嶋はすぐにやってきた。俺たちはさっそくいやらしい行為を始めた。終わったあとはふたりで風呂に入った。 湯船につかる児嶋に見せつけるように肛門にシャワーを当てた。「...
2021/09/21 20:14
worn out(1/2)
※性的しごき、アンハピエン 俺と児嶋のいかがわしい関係は、高校一年、野球部の夏合宿がきっかけで始まった。 ※ ※ ※ 練習が終わった夜、俺たちは先輩たちの命令で強制的にマスをかかされた。先輩曰く、それは野球部に代々伝わる伝統なのだそうだ。 初日はまず二年の先輩が一人、俺たちの目の前で下半身を露出させ、お手本としてセンズリをかいた。別の人がタイムウォッチでそのタイムを計る。そしてお手本の人が射精までにか...
2021/09/21 20:13
確信
【大学生編】→目次※出会ってすぐの頃次の講義までの空き時間を、校庭のベンチで友達の賀来と喋って時間を潰していたら「五代くん!」と弾んだ声がした。見て確かめるまでもなく、五代には声の主が誰だかかわかった。ここ最近、図書室でよく会う先輩。大学内ではその整った容姿で有名な人。「こんにちは、駿河さん」満面の笑みで近づいて来る秋邑に五代は会釈した。「今日は教授に会いに来たんだ。卒論のことで。そのあとちょっと調...
2021/09/19 20:04
相思幻影2
【大学生編】→目次※小ネタ「インフルエンザ」のちょっと不思議ネタ、秋邑Ver.中学/校から帰ってきた秋邑は制服を着替えてソファに寝転がった。今日はこのあとクラスの仲間たちと遊びにいく予定だ。その中にはいま秋邑がいいなと思っている女の子もいる。彼女のほうからも好意的な笑顔や眼差しを向けられている気がする。付き合いたいだとか、友達を抜け出したいとは、いまはまだ思わない。もう少し、このくすぐったい関係を楽しん...
2021/09/18 22:08
after
【大学生編】→目次※五代と出会ったあと五代と離れている間、自分は半分死んでいるも同然だ、と大げさでもなんでもなく、秋邑は本気でそう思う。常に視界に入れていたい。体に触れていたい。五代を感じていたい。誰かに対し、ここまで強く依存したことも、独占欲を持ったこともない。五代だけが特別だった。だからかなりの自制心を持って過度な連絡は控えている。本当は毎分メールしたいし、毎時電話で声を聞きたい。講義も一週間に...
2021/09/17 20:54
before
【大学生編】→目次※五代に出会う前あまり密な交流は避けて、広く浅い付き合いを心がける秋邑は男女問わずよく遊びに誘われる。今日も飲みに行こうと誘われて男女数人で居酒屋へ向かった。秋邑としては特定の誰かと親しくなりすぎないよう、男女関係なく全員と会話して良い関係を築こうとしていたが、秋邑の隣は女子が入れ代わり立ち代わりしてしかも質問攻めにしてくるから落ち着いて話しもできない。逃げるようにトイレに立ち、そ...
2021/09/16 20:30
完全敗北
【大学生編】→目次※「横恋慕」隼人視点バイトが終わった夜、隼人はコンビニで酒を買いこんだ。今日は金曜日。きっと駿河は五代のアパートにいるはずだ。駿河の顔を見たい。2人きりの時間を邪魔してやりたい。そんな動機で五代のアパートへ原付を走らせた。ボロいアパートの古めかしい呼び鈴をジリリを押すと五代が顔を出し、隼人だとわかるとため息をついた。「何時だと思ってるんだ」「飲もうぜ、一緒に」どうせ断られるに決まっ...
2021/09/15 20:59
隣人S
【大学生編】→目次※隣人目線今日もまた、隣の部屋に来訪者。無趣味だった佐藤にできた密かな愉しみ。※ ※ ※引っ越してきたとき、律儀に挨拶をしてきた青年。顔にはまだ幼さが残っていて、おそらく進学のため一人暮らしを始めたばかりの大学生。のしの巻かれた洗剤をこちらへ渡しながら「五代です」と名乗った。ボロいアパートの戸口を塞ぐ大柄な体。軽く癖のある髪、黒縁の眼鏡、彫りは深いが表情はないに等しい。不愛想な学生、...
2021/09/14 20:45
同棲したい
【大学生編】→目次大学を卒業し、単純に五代と会う時間が減った。深刻な五代不足に陥ったある夜、連絡なしに五代の家を訪ね泊まったこともあった。慣れない仕事、新しく築かなくてはいけない人間関係、そのなかですり減る神経。思っていたより疲弊していたようで、五代の迷惑を省みない行動だった。いきなりやってきた秋邑を家に招き入れ、「お疲れのようですね。今日は泊まっていきますか?」と自分から言ってくれた五代には感謝...
2021/09/13 20:32
雷の夜に
【社会人編】→目次雷の音で五代は目を覚ました。瞼を閉じる前に隣へ手を伸ばすが、あるはずの温もりを見つけられずに体を起こした。秋邑がいた場所はすでに冷たくなっていた。五代は寝室を出た。真っ暗なリビングに雷光が射し込む。カーテンが開かれた場所で秋邑が膝を抱えていた。隙間から空を見上げて少し遅れてやってきた雷鳴を聞いている。間隔は短くて近いとわかる。「なにしてるんですか」言いながら秋邑に覆いかぶさるよう...
2021/09/12 20:20
留守番
【大学生編】→目次せっかくの日曜だというのに、秋邑は一人、五代のアパートで留守番をしていた。五代は今日、大学の仲間たちと遊びに出かけているのだ。きっと帰りは遅くて午前様になるだろう。五代の交友関係を狭めることはしたくない。だから快く笑顔で送り出した。五代も同じようにしてくれるからだ。それが少し寂しいなんて、贅沢な悩みというやつだ。朝から洗濯機をまわし、部屋に掃除機をかける。ベランダはないので他の部...
2021/09/11 20:32
相思幻影
【大学生編】→目次(小ネタ「インフルエンザ」のちょっと不思議ネタ)インフルエンザにかかるなんて小/学生以来だった。大学で流行っているらしいと聞いていたから、熱が出てもしやと思い、そのあとすぐ毎日顔を合わせる秋邑の身を案じた。朝一で近くの病院に行き、そこでインフルエンザだと診断された。病院を出てすぐ五代は秋邑にメールを入れた。インフルエンザになってしまったこと、うつしてしまったかもしれないことを詫びつ...
2021/09/10 21:11
雨の日、部屋の中で
【社会人編】→目次五代を誘ったのは自分からだったが、まさかこんな風に抱かれるなんて思ってもみなかった。窓ガラスに押し付けられた顔。荒い呼吸に合わせて白く曇る。視線を少し動かせば、眼下に住宅が立ち並んでいるのが見える。その一つの窓に人影がよぎった。「どうしました?」驚いて五代を強く締め付けてしまい、背後から秋邑を侵す五代が声をかけてきた。「まっ、窓に……誰かが……見えた、からぁっ…ぁ…」「見られるかもって...
2021/09/09 20:29
醍醐味
<利害の一致→凹の懊悩→メリクリあけおめ→利害関係の終了>※ほぼ健全 今年配属された新入社員と一緒に先輩が横一列に並んで、「名古屋から戻って参りました。心機一転頑張りますのでご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します」と誰よりも新入社員らしい挨拶をしてかつての同僚たちから失笑を買っていた。 そんな先輩を呆れて眺めながら、以前と変わらない様子が嬉しくて、やっと帰ってきてくれたんだと実感したらむずむずする...
2021/09/05 20:31
2021年9月 (1件〜100件)
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