鬼の章(51)
「清河に斬られた傷は、もう良いのかね」 「幸い、既に癒えております」 服部は、右手を左肩から胸の辺りにあてた。ちょうど、清河に斬られた傷をなぞった形だ。 「それで、今宵はどんな用事かな。こんな夜更けに、男2人で密会でもあるまい」 多分に挑発を含んだ言葉だったが、服部は答えなかった。その代わり、服部の右手が下がっていく。まだ刀は抜いていない。一見すると無造作医に立ち尽くしているだけにも見える。しか…
2020/12/21 22:51
2020年12月 (1件〜100件)
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