雪の章(7)
胸がざわついた。詩織が何を言おうとしているのか、服部には予感があった。 暫しの沈黙が流れた。間が開いたのは、詩織にも躊躇があることの証だった。 「もう、会えません。ここには来ないで下さいませ」 真剣で斬り付けられたような痛みが胸に走った。服部には言葉がなかった。苦しい程に高鳴る鼓動を抑えるのに必死だった。 「店は、近い内に閉めます。ですから、もう……」 顔を上げた服部が見たのは必死で気丈に振る舞…
2020/07/29 23:24
2020年7月 (1件〜100件)
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