「モノクロームキッス」(推敲中)
「モノクロームキッス」薄桃の花びらがはらはらと舞い降り風は空っぽの心の細道を吹き抜ける少年はちっちゃな手指を差し出して白灰色に沈積した路上の塵芥を拭った道端に咲く花が揺れてダンスダンスダンス限りなく白に近い薄桃に誰かが色を付ける少年が開け放った扉の向こうにはモノクロームの日常が群れをなして待つ視線の遥か先にある空に泳ぐ虹が黒から白へ七色のグラデーションを描くもはや涙も涸れ果てた老人は黒ずんだ自らの躯を抱きしめるほかないそしてただひたすら祈るのだ少年が流す涙の一粒一粒にあらゆる黒が封じ込められるよう涙は真実でできていると信じたあの日から誰かがついてきた優しい嘘をすべて許そうそしてすべての罪と罰に色をつけよう、春色を口づけのようなやわらかなタッチで「モノクロームキッス」(推敲中)
2020/03/29 13:10