季節はずれの男心

季節はずれの男心

時折廊下を通り過ぎる風が、もう間もなく春の訪れを感じさせる。暖かで、どこか懐かしい匂い。階段の踊り場あたりで友達の笑い声が聞こえる。いつもの、聞きなれているはずの声。でも今日は、ちょっとよそ行きみたいだ。生徒会室のドアは開け放されていて、さっきの風が通り過ぎる。部屋の中には清四郎と魅録、そして1年先輩の志太泉薫子さん。志太泉先輩は今年度までの生徒会の副会長。キリっとした顔立ちと性格も体型もスマート...