『ミケル・アルテタ アーセナルの革新と挑戦』/チャールズ・ワッツ
ミケル・アルテタがアーセナルの監督に就任してから22-23シーズンの終わりまでの歩みと、その背景について描いた一冊。ヴェンゲル→エメリ→アルテタという監督の変遷のなかで発生していた組織内部の混乱、パンデミック対応、エジル問題,オーバメヤン問題を経てのスカッドの若返り、ジャカの復活、22-23シーズンの大躍進と後半での失速…といった、グーナーにとってはおなじみの、ほんの少しだけ懐かしいトピックが取り扱われている。アマプラの『オール・オア・ナッシング』の期間とも被っているので、合わせて見るとより楽しめるだろう。(まあわざわざ本書を手に取るような人は、AONはとっくに視聴済みという人がほとんどだろうけれど。) ワッツによれば、アルテタのいちばんの強みは、その信念にあるという。たしかに本書を読んでいると、組織を強くするためにはリーダーがブレないでいることが何より肝要なのだ、ということがよくわかる。まず妥協できないライン、これという価値観をしっかりと明示し、その基準、規律をメンバー全員に守らせる。そしてそのようなリーダーのあり方をメンバーが信じ、各自が自分自身の責任を全うしていく。それこそがマネジメントの根幹であり、それができて初めて組織というのは本当に団結できる、ということがアーセナルの混乱から復活までのどたばたを通して感じられるようになっているのだ。
2024/09/29 17:52