『若い人のための10冊の本』/小林康夫
タイトルの通り、小林が10代の若い人に向けて10冊の本を紹介する、という一冊。それだけではものすごくありきたりで退屈な本――いわゆる教養ガイド本的な――になりそうなものだけれど、そこは小林、自身の若いころの読書体験を引きながら、本を読むとはどういうことなのか、つまり、ある本を見つけ、出会い、向き合い、かんがえるとはどういうことなのか、を解き明かしていくように語ってくれており、読みものとしてなかなかにおもしろいものになっている。 小林の主張のベースにあるのは、本というメディアへの信仰にも似た信頼と愛情であり、できるだけわかりやすい言葉でそれを次の世代に受け渡していきたい、という純粋な想いであると…
2020/05/18 20:53