1665年の山里境界裁判

1665年の山里境界裁判

NHK『英雄たちの選択』を見た。愛媛県松野町に、江戸時代初期に作られた精緻な山形(ジオラマ)が現存する。諍いを起こして苦しむ2つの村が、江戸幕府に裁定願うために、力を合わせて3ケ月かけて、コツコツ測量して正確に作り上げた模型だ。測量技術の確かさと、木彫り表現の見事さにまず度肝を抜かれる。そしてそこに込められた、農民たちの真剣さ。幕府の裁定も、これ以上なく最高なものだった。片方の村に総取りさせるのではなく、双方の農民たちが減らずに永住できるよう、双方が納得するよう、公平に新たな境界線を幕府の責任で作ること。360年前に生きた人々の方が、現代人よりも頭も心も優れているのだろうと思った――1665年の山里境界裁判