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2012/02/11

  • <奈良公園> ホルンの響きで鹿寄せ!

    【飛火野→萬葉植物園→国宝殿→東大寺】久しぶりにホルンによる鹿寄せの場面に遭遇した。4月13日午前10時ごろ、春日大社参道前でバスを降りて程なく、奈良公園飛火野園地の大クスノキのそばからホルンの音が聞こえてきた。吹くのは鹿愛護会の法被を着た若い男性。ホルンを吹き続けるうち、西側から十数頭が列を成して駆け寄ってきた。次いで東側の森の中からも20~30頭。鹿たちはあっという間に男性の周りに群がった。見物客もホルンの響きに吸い寄せられるように次第に増えて数十人に。大半は欧米からの旅行客らしく、歓声を上げながら鹿せんべいをやったり、写真を撮ったりしていた。ホルンの男性は大きな籠からドングリを撒いて、観光客の求めに応じ一緒に記念写真にも収まっていた。広大な芝生が広がるこの飛火野では約115年前の1908年(明治41...<奈良公園>ホルンの響きで鹿寄せ!

  • <日野町・日枝神社> 4年ぶりに「ホイノボリ」奉納!

    【シダレザクラを模した幟の下で町内ごとに花見の宴】滋賀県日野町大窪の日枝神社で4月4日、春の例祭「南山王祭」が開かれ、4年ぶりに日野特有の華やかな「ホイノボリ」が奉納された。ホイは竹を細長く割ったヒゴのこと。ホイノボリはその竹ヒゴに和紙で造った白やピンクの無数の花びらを取り付けたもので、まるで満開のシダレザクラのように放射状に広がる。そのホイノボリが境内の広場を埋め尽くし、その下で氏子の町民たちが飲食しながら楽しげに談笑。まさに春爛漫の光景が繰り広げられた。日野町は日野城主、蒲生家の城下町。全国有数の漆器「日野椀」や漢方薬の販売で近江日野商人としても名を馳せた。往時の繁栄を象徴するのが長い歴史を誇る湖東最大の祭り「日野祭」。5月の連休中、各町内から十数基の豪華な曳山が繰り出す。十数年前、その祭り見物のため...<日野町・日枝神社>4年ぶりに「ホイノボリ」奉納!

  • <秋篠川源流の桜並木> 河畔1.3kmに150本余!

    【市民が守り育てて四半世紀、今年も見ごろに】奈良市の北西部を秋篠川(佐保川支流)の源流が西から東に流れる。住宅街が広がる学園前からも程近い距離。25年前の1998年、その堤防沿い1.3kmにわたってソメイヨシノ約150本が植樹された。大切に育てられた桜は順調に生育し、今では市内有数の花見スポットに。例年3月下旬から4月初旬にかけ見ごろを迎える。今年もそろそろその時期に。27日訪ねてみると、期待通りにほぼ満開の桜が出迎えてくれた。この桜並木は奈良市の市制100周年記念事業の一つとして生まれた。秋篠川沿いを走っていたジョギング仲間の「秋篠川に千本の桜を!」というアイデアが採用され、桜の“里親”を募ったのがきっかけだ。市民でつくる「秋篠川源流を愛し育てる会」(代表青島行男さん)が“川をふれあい・いこい・ときめき...<秋篠川源流の桜並木>河畔1.3kmに150本余!

  • <大和文華館> 壮観!「三春滝桜」見ごろに

    【親木は国の天然記念物、約40年前に植樹】奈良市学園南にある東洋美術の殿堂「大和文華館」で、本館玄関前の「三春滝桜」が見ごろを迎えた。蛙股池を望む高台にある同館は自然の景観を生かした庭園「文華苑」の中にある。いつ訪ねても四季折々の花木が目を楽しませてくれるが、中でも春の庭園を明るく彩って人気を集めるのがこの滝桜。まさにその名の通り、無数の薄紅色の花が滝のように流れ落ちて、息をのむほどの美しさ。来館者の多くが感嘆の声を上げてカメラに収めていた。「三春滝桜」はエドヒガン系のベニシダレザクラ。福島県三春町にある親木は約100年前に国の天然記念物に指定され、根尾谷の淡墨桜(岐阜)、山高神代桜(山梨)とともに“日本三大桜”とも呼ばれる。その桜の子孫が大和文華館にやって来たのは約40年前。1983年に三春町歴史民俗資...<大和文華館>壮観!「三春滝桜」見ごろに

  • <カラミザクラ(唐実桜)> ソメイヨシノより一足早く満開に

    【別名に「中国桜桃」「暖地桜桃」など】今年の桜前線は東京からのスタートとなった。平年より10日も早く、3月14日にソメイヨシノ(染井吉野)の標準木で開花が確認された。そのソメイヨシノより一足早く満開を迎えるのがこの「カラミザクラ(唐実桜)」。原産地は中国で、日本には明治時代の初めに渡来した。「シナミザクラ」「中国桜桃」などの別名を持つ。園芸業界では「暖地桜桃」の名前でも流通している。樹高は3~6m。3月に葉が出る前に直径2㎝ほどの白または淡い紅色を帯びた小輪の5弁花を平開する。雄しべが1輪に30~40本もあり長いのが特徴。5月になると直径1~1.5㎝ほどのサクランボ(桜坊)が赤く熟す。日本でサクランボといえば一般的に山形などで栽培されている「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」を指す。果実は食用にもなるが、「佐...<カラミザクラ(唐実桜)>ソメイヨシノより一足早く満開に

  • <せいぶ大和学講座> 「『赤田横穴墓群』の謎」

    【奈良市埋蔵文化財調査センターの鐘方正樹所長が講演】「赤田横穴墓群」(奈良市西大寺赤田町)は大和西大寺駅の西北約1.2キロに位置する。これまでに直近の8基も含め24基の横穴墓が確認され、大小様々な陶棺や木棺、副葬品、埴輪などが出土した。赤田の北側に位置する秋篠町でも4年前に飛鳥時代の横穴墓4基が見つかり「秋篠阿弥陀谷横穴墓群」と名付けられた。奈良盆地北西部で横穴墓が多く出土するのはなぜか。陶棺や埴輪はどこで造られたのか。そんな疑問に答える講演会(せいぶ大和学講座)が3月10日奈良市学園南の西部公民館で開かれた。講師は奈良市文化財埋蔵調査センター所長の鐘方正樹氏、演題は「『赤田横穴墓群』の謎―佐紀古墳群と土師氏と陶棺」。同センターでは「春季発掘調査速報展」で新たに見つかった横穴墓8基の陶棺や埋葬品などを公開...<せいぶ大和学講座>「『赤田横穴墓群』の謎」

  • <奈良市埋蔵文化財センター> 赤田横穴墓群で新たに8基!

    【合計24基に、速報展で陶棺や副葬品を公開】奈良盆地北西部では古墳時代後期から飛鳥時代にかけ、南側斜面に横穴を掘って遺体を埋葬する横穴墓が多く築造された。代表的な遺跡が奈良市西大寺赤田町にある「赤田横穴墓群」。これまでに16基が確認されていたが、2021年の発掘調査で新たに8基が見つかった。奈良市埋蔵文化財調査センター(大安寺西2丁目)は開催中の「令和4年度春季発掘調査速報展」で、接合・復元作業を完了した陶棺や副葬品などの出土品を公開している。3月31日まで。発掘調査は大和中央道建設に伴って実施したもの。新たに見つかった8基(17~24号墓)は従来の16基から西側に続く場所で見つかった。大和中央道建設に伴う発掘調査では2019年に赤田横穴墓群の北側に位置する秋篠町で、飛鳥時代の横穴墓4基が出土している。こ...<奈良市埋蔵文化財センター>赤田横穴墓群で新たに8基!

  • <春庭点景> うちの庭にも春が来た!

    【白梅・侘助・クリスマスローズ・姫立金花】枝垂れの白梅が見ごろを迎えた。我が家のいわばシンボルツリー。20年近く前、園芸店で購入した。傘を開いたような枝ぶりとS字形にくねった幹の姿が気に入った。店から借りた小型トラックに載せ一路自宅へ。ところが、その後が大変だった。縄で土ごとくるんだ根巻きの植木のなんと重いことか。一人で車から下ろし、庭まで運ぶのに四苦八苦。さらに大きな穴を掘って地植えするのにも難儀した。枝垂れ梅も花色や花の大きさは様々。一重咲きも八重咲きもある。枝垂れの白梅の品種も「白滝」「緑萼(りょくがく)」「満月」など数多い。庭には2本の白梅があるが、この枝垂れは純白で、花びらの多い八重咲き。さて、品種は?買ったとき聞いたかもしれないが失念してしまった。多分「白滝枝垂れ」か。「実梅」と違って花を愛で...<春庭点景>うちの庭にも春が来た!

  • <中丸三千繪> 「マリア・カラスコンクール」優勝から33年!

    【感涙「化粧が流れ落ちパンダになったかもと目元を拭った」】33年前のこの日、1990年3月3日「第4回マリア・カラス国際声楽コンクール」のファイナル(最終選考)がイタリア・ヴェネチアで行われた。約400人の応募者から第1次、第2次選考を勝ち抜いたのは12人。そのファイナリストの中で最難関のソプラノ部門(応募280人)で優勝を飾ったのが、なんと日本人の中丸三千繪(当時29歳)だった。新聞やテレビが大きく報道し、週刊誌も特集記事を掲載していたのが、つい先日のことのように思い出される。マリア・カラス(1923~77)といえば20世紀最高のソプラノ歌手として名高い。その名を冠したこのコンクールは世界最高峰の声楽コンクールといわれ、3年に1度開かれていた。コンクールの模様は中丸が自ら綴った『スカラ座への道マリア・カ...<中丸三千繪>「マリア・カラスコンクール」優勝から33年!

  • <奈良公園> 猿沢池→荒池→鷺池・浮見堂→片岡梅林

    【梅林見ごろに、池の水質改善事業本格化!】2月最終日の28日は前日までの冷え込みがうそのような暖かい一日に。そんな春の陽気に誘われて奈良公園の散策に出かけた。まず向かったのは国宝の興福寺五重塔が水面に映える猿沢池。五重塔は藤原不比等の娘、光明皇后の発願で約1300年前に建てられた。現在の塔は室町時代の1426年の再建。傷みが激しいため昨年から約120年ぶりという大規模な保存修理工事が始まった。まもなく塔全体が素屋根で覆われる。工事完了は7年後の2030年の予定。これが見納めになるかもしれない。そんな思いから、猿沢池からの眺めを目に焼き付けている。五重塔は高さ約50mで、木造の塔としては京都の東寺に次いで2番目に高い。しかも小高い所に建っているため、遠くからでも望むことができる。下の写真は奈良公園の南端に位...<奈良公園>猿沢池→荒池→鷺池・浮見堂→片岡梅林

  • <松伯美術館> 「未来につなぐ日本画展」

    【公募展優秀賞受賞作家の現在(いま)Ⅰ】松伯美術館(奈良市登美が丘2丁目)で「未来につなぐ日本画展」が開かれている。副題に「公募展優秀賞受賞作家の現在(いま)Ⅰ」。この美術館では日本画の普及と若手作家の育成を目的に、開館以来ジャンルを花鳥画に絞った公募展「花鳥画展」を23回にわたって開催してきた。さらに2016年からは隔年でジャンルを問わない「松伯日本画展」も開いてきた。ところが新型コロナ感染症の拡大で、今年度も含め3年連続公募展の中止を余儀なくされた。そんな中で企画したのがこの「未来につなぐ日本画展」。公募展の歩みを振り返りながら受賞者の制作を支援しようという試みだ。昨年度の大賞受賞作家の作品展に続いて、今年度と来年度は優秀賞受賞作家を取り上げ2回に分けて近年の作品を紹介する。今展の会期は3月12日まで...<松伯美術館>「未来につなぐ日本画展」

  • <アンビリバボー> なに、これ? 巨大ナメクジ?

    【ヤンバルヤマナメクジか6年前に沖縄で】2月24日の日経新聞朝刊「絶景で神頼み」に沖縄の斎場御嶽(せーふぁうたき)が掲載されていた。参道奥の巨岩がもたれかかった三庫理(さんぐーい)の大きな写真とともに。6年前に訪ねた懐かしい場所だ。久しぶりにパソコンで当時の写真を見返すうち、撮ったのもすっかり忘れていたこの巨大ナメクジのような画面が目に飛び込んできた。撮ったのは2016年10月6日、沖縄島中部の亜熱帯の森「ビオスの丘」(うるま市)を訪ねたとき。同伴の3人の仲間と共に「湖水観賞舟」に乗ってジャングルクルーズを楽しんだ。水辺の草花や野鳥のさえずり、水浴びする水牛など亜熱帯の雰囲気を堪能して船着場で下船。その直後、木製ベンチの端にこれまで見たことのない物体が張り付いていることに気づいた。胴体が薄茶色で太く、背中...<アンビリバボー>なに、これ?巨大ナメクジ?

  • <大和郡山盆梅展> 丹精込めた花梅約120鉢

    【七分咲き、3月12日まで】春の訪れを一足早く告げる盆梅展が各地で開かれている。関西で最も有名なのが滋賀県長浜市の盆梅展。訪ねたのは随分前だが、今でも初めて盆梅を目にしたときの情景、見事な古木の枝ぶりが目に浮かぶ。奈良県大和郡山市の盆梅展は長浜が今年で72回目なのに対し、まだ20回目と歴史は浅い。だけど今ではすっかり大和路の春の風物詩として定着、連日多くの見物客でにぎわっている。大和郡山盆梅展の会場は郡山城跡の追手門・追手向櫓・多聞櫓(写真)。郡山城跡は「続日本100名城」の一つで、昨年11月には国の史跡にも指定された。主催は大和郡山盆梅展実行委員会(速見俊雄会長)。会場には愛好者が丹精込めて育てた花梅約120鉢がずらりと並ぶ。靴を脱いで櫓の建物内に入ると、花の甘い香りがマスク越しでも分かるほど漂っていた...<大和郡山盆梅展>丹精込めた花梅約120鉢

  • <奈良市写真美術館> 「入江泰吉 万葉大和路とみほとけ」展

    【没後30年記念、未発表の仏像写真を含む81点】奈良市写真美術館(高畑町)で「没後30年記念入江泰吉万葉大和路とみほとけ」展が始まった(3月26日まで)。写真家入江泰吉は戦後ほぼ半世紀にわたって奈良の風物を撮り続けた。この美術館はその入江の作品を広く紹介するため1992年4月に開館した。そのため正式名にも奈良市の前に「入江泰吉記念」と付く。ところが美術館が開館する直前、入江は92年1月16日86年の生涯を閉じた。(写真は晩年の入江泰吉)今展での展示作品は大和路の風景や万葉集に詠まれた草花、仏像など合わせて81点。そのうち仏像写真は28点で、戦後まもない1940年代から50年代にかけガラス乾板で撮った未発表作品も多く含まれる。<みほとけ>の展示会場には入江が愛用したカメラ「リンホフスーパーテヒニカ4×5in...<奈良市写真美術館>「入江泰吉万葉大和路とみほとけ」展

  • <奈良大学博物館> 「古写真のなかの奈良」展

    【北村信昭コレクションのガラス乾板写真】奈良大学博物館で「古写真のなかの奈良」展が開かれている(3月20日まで)。副題に「奈良大学図書館所蔵北村信昭コレクションのガラス乾板写真」。北村信昭(1906~99)は明治時代に奈良市の猿沢池畔で「北村写真館」を開業した北村太一(1856~1911年)の孫に当たり、写真や文筆、民俗学など多方面で活躍した。太一は近代写真の草分け的存在といわれる。長州(山口)に生まれ、東京で写真技術を学んで写真撮影のため訪れた古都奈良の情景に魅せられ永住した。この写真展は明治~昭和初期の寺社や奈良公園周辺の風景など23枚の写真パネルで構成する。太一が撮影したものが18枚を占め、そのうち12枚は大型ガラス乾板で撮影されデジタル処理して引き伸ばした。これに信昭撮影分3枚と撮影者不明2枚が加...<奈良大学博物館>「古写真のなかの奈良」展

  • <橿考研付属博物館> 特別陳列「豪族と渡来人―高取の古墳文化」

    【薩摩遺跡から市尾墓山・宮塚、与楽、束明神古墳まで】奈良県立橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)で、特別陳列「豪族と渡来人―高取の古墳文化」が始まった。奈良盆地の東南部に位置する高取町には約800基の古墳があり、〝古墳密度〟は隣の明日香村を凌ぎ県内1位といわれる。昨秋、高取を代表する2つの前方後円墳、市尾墓山古墳と市尾宮塚古墳を初めて訪ねた。このブログでも取り上げた(10月11日)が、その4カ月後にまさか高取の古墳に焦点を当てた特別展が開かれようとは……。会期は3月21日まで。館内に入ると、展示会場入り口手前で市尾墓山古墳、与楽(ようらく)カンジョ古墳など4カ所の横穴式石室・石槨の360度回転映像が流れていた。会場では弥生時代後期~古墳時代前期(2-3世紀)の薩摩遺跡から始まって、古墳時代終末期(7世紀末...<橿考研付属博物館>特別陳列「豪族と渡来人―高取の古墳文化」

  • <なら歴史芸術文化村㊦> 地域展「物部氏の古墳 石上・豊田古墳群と別所古墳群」

    【「発掘された日本列島2022」展と同時開催中】奈良県天理市の布留遺跡は古代の有力氏族、物部氏の拠点だった可能性が高いといわれる。その遺跡の北側に広がるのが石上(いそのかみ)・豊田古墳群と別所古墳群。それらの古墳群のこれまでの発掘調査の成果を一堂に紹介する地域展「物部氏の古墳石上・豊田古墳群と別所古墳群」が、「発掘された日本列島2022」展開催中の「なら歴史芸術文化村」で同時に開かれている。文化村と天理市教育委員会の共催。石上・豊田古墳群と別所古墳群は合わせて270基を超える古墳を擁する群集墳。6世紀を中心に大型の前方後円墳や中小規模の円墳が相次いで築かれた。そのうち石上大塚古墳やウワナリ塚古墳、別所大塚古墳は全長が100mを超える。6世紀末に前方後円墳の造営が終わった後も、ハミ塚古墳や豊田トンド山古墳と...<なら歴史芸術文化村㊦>地域展「物部氏の古墳石上・豊田古墳群と別所古墳群」

  • <なら歴史芸術文化村㊤> 「発掘された日本列島2022」展

    【全国各地の33遺跡約520点の出土品を展示】国内でこれまでに確認された遺跡は約47万カ所に上り、毎年約8000件の発掘調査が行われているという。文化庁は発掘の成果を公開するため1995年度から「発掘された日本列島」展を開いてきた。今年度の「発掘された日本列島2022」展は昨年6月の埼玉県さいたま市を皮切りに北海道伊達市、宮城県石巻市、宮崎市と巡回し、現在は最終地の奈良県天理市「なら歴史芸術文化村」で開催中(2月12日まで)。「新発見考古速報」と昨年度から始まった「我がまちが誇る遺跡」の2本立てで、合わせて33遺跡約520点の出土品を展示している。「新発見考古速報」で取り上げた遺跡は旧石器時代から縄文・弥生・古墳時代、さらに古代・中世・近代まで全国の14遺跡。「史跡取掛西(とりかけにし)貝塚」(千葉県船橋...<なら歴史芸術文化村㊤>「発掘された日本列島2022」展

  • <なら工芸館> 「黒川和江 御所人形六十年の軌跡」展

    【裸姿の愛らしい人形や和紙の衣裳をまとった雛人形など60点】人形作家として関西を中心に長く活躍した黒川和江さんの作品展が「なら工芸館」(奈良市阿字万字町)で始まった。「黒川和江御所人形六十年の軌跡」展(2月26日まで)。黒川さんは20代後半から人形作りに没頭し、日本伝統工芸展などで受賞を重ねた。後に同展の鑑査委員や日本工芸会近畿支部人形部会長、奈良県美術展覧会審査員なども務め、伝統工芸の継承・発展に尽くしてきた。今展は奈良県下で開く初の個展。ところが残念なことに2022年10月に逝去されたということで、生前を偲ぶ回顧展となった。黒川さんは1932年広島県生まれ。60年に京都の人形作家、面屋庄三氏(十三世面庄)に師事し、その後、人間国宝(重要無形文化財保持者)の桐塑人形師、林駒夫氏に入門して技を磨いた。19...<なら工芸館>「黒川和江御所人形六十年の軌跡」展

  • <キャット> 庭を訪ねてくれたネコたち

    【飼い猫?野良猫?黒・白・茶トラ・キジトラ…】新型コロナ騒ぎもあって在宅時間が長くなったせいか、庭を眺める時間も長くなった。すると、野鳥たちとともに庭にやって来る猫も多いことに気づいた。全身真っ黒のネコは最初「シャー」と威嚇してきたが、次第に懐いていつの間にかじゃれ付くように。茶トラ模様の猫もたびたび庭に姿を見せた。が、やがて2匹とも突然姿を消した。飼い猫だったのか?猫にはそれまであまり関心がなかった。しかし最近「ペットロス」という喪失感が少し分かるような気がしてきた。黒猫は最初にやって来たとき、まだ生後半年か1年だったかもしれない。体が少し小さめだったような気がする。2週間ほどは近づくと「シャー」と怖い顔を向けてきた。だがペットフードをあげるうち敵じゃないと分かってくれたようだ。そのうち庭にいる時間も長...<キャット>庭を訪ねてくれたネコたち

  • <富雄丸山古墳> 類例のない盾形銅鏡と蛇行剣が出土!

    【国内最大の円墳の発掘現場を一般公開】国内最大の4世紀後半の円墳、奈良市の「富雄丸山古墳」(直径109m)から、これまで出土例がない盾形銅鏡1面と長大な蛇行剣1本が見つかった。発掘調査に当たっている奈良市教育委員会は1月28~29日、発掘現場を一般公開した。出土した銅鏡と剣は奈良県立橿原考古学研究所で保存処理中のため非公開。だが考古学史に刻まれるに違いない一大発見に、多くの考古学ファンが発掘現場を一目見ようと殺到、最寄りの近鉄の駅からは臨時のシャトルバスも運行された。銅鏡と蛇行剣が見つかったのは円墳の造り出し部にあった長さ約6.4m、幅約1.2mの粘土槨の上部から。この粘土槨は木棺を粘土で覆った埋葬施設で、粘土槨内部にはコウヤマキで作られた割竹形木棺がまだ土の中に残されたまま。その棺蓋を乗せる位置の約30...<富雄丸山古墳>類例のない盾形銅鏡と蛇行剣が出土!

  • <ブログく~にゃん雑記帳> 訪問者累計200万人に!

    【開設から11年、総閲覧数は約579万PV】このブログ「く~にゃん雑記帳」にアクセスしてくれた訪問者がトータルで200万人に達した。2012年1月の開設から11年。これまでに投稿した記事は2000件弱に上る。この間のトータル訪問者数は1月21日現在で200万427人、総閲覧数は579万1957PV(ページビュー)になっている。(写真は「く~にゃん」)最近の1日当たりの訪問者は600~700人台、閲覧数は1700~2100PVで推移している。過去3日間では19日=670人(1843PV)、20日=649人(2074PV)、21日=666人(1773PV)。「gooブログ」の訪問者ランキングでは約314万ブログ中、それぞれ512位、542位、529位となっている。過去1年では昨年8月から9月にかけ訪問者がたび...<ブログく~にゃん雑記帳>訪問者累計200万人に!

  • <橿考研付属博物館> 特別陳列「迎春の祝事―酒と宴」

    【出土した土器の形や木簡などから辿る】奈良県立橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)で年末年始に合わせた特別陳列「迎春の祝事(ほぎごと)」展が開かれている。テーマは「酒と宴」。縄文・弥生時代から古墳・飛鳥・奈良時代の出土品を中心に、酒と宴にまつわる遺物を選んで紹介している。会期は1月15日まで。縄文時代の出土土器は煮炊きに用いられたとみられる口が大きい深鉢や浅鉢形が一般的だが、中期後半以降、様々な形状のものが現れる。その中には細い円筒状の注ぎ口が付いた「注口(ちゅうこう)土器」もある。器面に文様が施され、丁寧な仕上げなものが多い。大和三山の一つ、畝傍山の東南に位置する橿原遺跡(橿原市)から出土した縄文晩期の注口土器(写真㊤)は重要文化財に指定されている。細い口から注がれていたのはさて?弥生時代の主要な器種は...<橿考研付属博物館>特別陳列「迎春の祝事―酒と宴」

  • <初夢?> ピアニスト反田恭平と小林愛実が結婚!

    【ショパンコンクール2位と4位】世界的なピアニスト反田恭平さん(28)と小林愛実さん(27)がツイッターで結婚を発表した。反田さんは元日の夜、オーストリア・ウィーンからのNHK生放送「ウィーン・フィルニューイヤーコンサート」にゲスト出演していた。約3時間にわたるライブ中継を堪能して就寝、翌2日早朝の4時半ごろ目覚めた。いつもの習慣でニュース速報を携帯でチェック。すると、このサプライズニュースが。「これっ、初夢?」。年明け早々、こんな嬉しいお年玉があるとは!ツイッターには2人の連名で「いつも応援してくださっている皆様へ」に続いて、こんな文面が綴られていた。「この度、私たち反田恭平と小林愛実は結婚いたしました。そして新しい命を授かりました事をご報告いたします。小林は、今後体調を見ながらお仕事をさせていただき、...<初夢?>ピアニスト反田恭平と小林愛実が結婚!

  • <漢国神社> 3年ぶりに獅子神楽を奉納

    【兵庫県立西宮高校邦楽部と西宮神社獅子舞保存会も出演】奈良市の古社、漢国(かんごう)神社(593年創建)で12月29日、この1年の厄を祓って新年の福を招く「大祓・獅子神楽」の奉納が行われた。2008年に太神楽曲芸師の豊来家玉之助さんが獅子舞を奉納したのが始まり。以来年末恒例の祭事として人気を集めてきたが、過去2年は新型コロナの影響で祭礼のみに。3年ぶりの本格開催に境内は楽しみに待っていた観客で埋め尽くされた。神楽奉納の中心となるのは豊来家さんに「桃俣獅子舞保存会」(奈良県御杖村)などが加わって結成された「漢国神社韓園講(からそのこう)」。今年は兵庫県立西宮高校邦楽部(和太鼓班)のメンバーと「西宮神社獅子舞保存会」も加わって演舞を披露した。西宮神社は全国に約3500社あるえびす神社の総本社。「西宮えびす」と...<漢国神社>3年ぶりに獅子神楽を奉納

  • <アオジ(青鵐、蒿雀)> ホオジロの仲間、中部以南で越冬

    【黄色い胸~腹部に黒の縞模様】庭でスズメサイズの小鳥が地面に下りて皿の水を飲んでいた。よく見ると胸から腹にかけて黄色く、そこに黒い縦縞の模様。「あっ、アオジだ」。野鳥図鑑ではよく目にしていたが、実際に間近で見るのは今回が初めて。これまでも庭にやって来た小鳥たちの写真を撮ってはこのブログにアップしてきた。メジロやヤマガラ、シジュウカラ、ツグミ、シメ、コゲラ、シロハラ、カワラヒワ、ジョウビタキ……。猫の額のような小さな庭をわざわざ訪れてくれた小鳥たちには「ありがとう」と「ご苦労さま(冬鳥の長旅に対して)」の声を掛けてあげたい。アオジはホオジロ科ホオジロ属の野鳥、学名は「Emberizaspodocephala(エンベリザ・スポドケファラ)」。3亜種が確認されており、生息地域で色や紋様などが微妙に異なる。日本で...<アオジ(青鵐、蒿雀)>ホオジロの仲間、中部以南で越冬

  • <イラン> 女優アリドゥスティさん逮捕記事が!

    【アカデミー受賞作に主演、デモ巡る投稿で】12月19日、朝刊の国際面を開いて、小さな記事に目が釘付けになった。「イラン、デモ巡り著名女優逮捕」という十数行の記事。かつて観たイラン映画の主演女優の顔写真が添えられていた。その女性は2017年に米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『セールスマン』に出演したタラネ・アリドゥスティさん。記事は反スカーフデモに参加し処刑された男性を巡って、アリドゥスティさんが交流サイト(SNS)に「流血を傍観し、何も行動しない国際組織は人類の恥だ」と投稿していた、と記されていた。『セールスマン』はイランを代表する映画監督アスガル・ファルハディーの作品。引っ越した新しいアパートで夫の留守中、妻が突然侵入してきた男に襲われる。犯人を必死に捜す夫に、性被害を表沙汰にしたくない妻は多くを語...<イラン>女優アリドゥスティさん逮捕記事が!

  • <京都・山科義士まつり> 四十七士3年ぶり勇壮に!

    【芝居「松の廊下」や踊り「大石音頭」も】12月14日(旧暦)は赤穂浪士による吉良邸討ち入りの日。1702年(元禄15年)のことだから、ちょうど320年前に当たる。この日、ゆかりの地の京都市山科区で「第46回山科義士まつり」が開かれた。地元の自治連合会や地域女性連合会などでつくる実行委員会の主催で、開催は3年ぶり。勇壮な討ち入り装束に身を包んだ区民たちが毘沙門堂から大石神社まで約6キロを練り歩いた。途中の文化施設では「忠臣蔵」の芝居や踊りも披露、まつりに華を添えていた。行列の出発点毘沙門堂は山科盆地を見下ろす山麓に位置する。出発予定は午前10時。その20分ほど前に着くと、本堂前に四十七士が整列し「エイエイオー」と勝どきの練習中だった。「元気がない。もう一度」と司会者。「エイエイオー」。「最初が50点、今のは...<京都・山科義士まつり>四十七士3年ぶり勇壮に!

  • <大和文華館> 特別企画展「明清の美―15~20世紀中国の美術」

    【中国に留学した山口宗季や師・孫億の作品も】奈良市学園南の大和文華館で特別企画展「明清の美―15~20世紀中国の美術」が開かれている。今年は日中国交正常化50周年・沖縄復帰50周年。その節目に合わせて、多彩で華やかな文化芸術が花開いた中国・明朝(1368~1644)と清朝(1616~1912)の美術作品を展示。同時に、来日した中国画家や琉球から中国に渡って学んだ画家たちの作品も交え、当時の両国の文化交流の一端を紹介する。12月25日まで。展示は所蔵作品に兵庫県立美術館蔵と泉屋博古館(京都市)蔵の特別出陳も含め46点。明代の作品でまず目を引くのが『文姫帰漢図巻』。全長が約12mもある巻物で、後漢の蔡文姫(177~?)の波乱の半生を描く。文姫は都の洛陽に侵入した北方の異民族に連れ去られ、南匈奴の左賢王の妻とな...<大和文華館>特別企画展「明清の美―15~20世紀中国の美術」

  • <奈良県立美術館> 企画展「絵画のたのしみ 所蔵名品展≪冬≫」

    【大橋コレクションの白髪一雄作品など約100点】奈良県立美術館は近鉄奈良駅から登大路を東へ徒歩数分の至便の場所にある。11月26日には「絵画のたのしみ」と銘打った企画展「所蔵名品展≪冬≫」の初日(のはず)。いつものように県文化会館の並木道を通って美術館に向かった。すると、建物全体が工事用のシートで覆われているではないか。えっ、休館?まさか!よく見ると右上に赤字で「開館中」。やれやれ。館内に入るとこんな「お知らせ」が掲示されていた。「屋上防水・軒裏改修工事のため、工事音・振動が発生する場合があります」企画展での主な展示品は1950~70年代の前衛絵画を中心とする“大橋コレクション”。このコレクションは関西の実業家として活躍した大橋嘉一(1896~1978)が収集した作品群で、遺族から約2000点の作品が大阪...<奈良県立美術館>企画展「絵画のたのしみ所蔵名品展≪冬≫」

  • <ウメモドキ(梅擬)> 赤い実は野鳥の大好物

    【庭木や実もの盆栽としても人気】モチノキ科モチノキ属の落葉低木(高さ2~3m)。本州・四国・九州の山地の湿地に自生し、国外では中国南部などにも分布する。雌雄異株。6月ごろ、葉の付け根に直径3~4㎜の淡紫色の小花が群がって咲き、雌株は秋になると直径5㎜ほどの果実が赤く熟す。花はごく小さく目立たないが、赤い実は美しく落葉後も長く残って寒い時期に彩りを添えてくれる。このため庭木のほか盆栽や鉢植え、生け花の花材としても人気。実はヒヨドリなどの野鳥の大好物でもある。和名は葉の形や枝ぶりがウメに似ていることから。学名は「Ilexserrata(イレックス・セラタ)Thunb.」。属名はholly(ホーリー=西洋ヒイラギ)またはhollyoak(ホーリー・オーク)のラテン古名に因む。種小名セラタは「鋸歯のある」を意味し...<ウメモドキ(梅擬)>赤い実は野鳥の大好物

  • <「よみがえる川崎美術館」展> 新たに国宝「宮女図」など展示!

    【「春日宮曼荼羅」や北斎「渡船山水図」も】神戸市立博物館で開催中の開館50周年記念特別展「よみがえる川崎美術館―川崎正蔵が守り伝えた美への招待」の会期(10月15日~12月4日)も余すところあと約20日間。11月15日には一部展示替えで国宝『宮女図』や葛飾北斎最晩年の作『渡船山水図』、南北朝時代の『春日宮曼荼羅』などの展示が始まった。通期で展示中の狩野派の煌びやかな屏風や円山応挙の襖絵などとももう一度対面したい。というわけで再度博物館を訪ねた。(写真は川崎正蔵の肖像画から)国宝『宮女図(伝桓野王図)』(個人蔵)=下の写真、部分=は14世紀の中国・元時代の文人画家銭舜挙の作と伝わる。男装姿の女官を繊細な線で描いた作品。中国人物画の名品といわれ、足利義政が所蔵した東山御物として長く足利将軍家で愛蔵されたという...<「よみがえる川崎美術館」展>新たに国宝「宮女図」など展示!

  • <高島屋史料館> 「獅子図」下絵と刺繍作品を同時展示!

    【企画展「画工画」の第Ⅱ部スタート】高島屋東別館(大阪市浪速区日本橋)の高島屋史料館で、企画展「画工画(がこうえ)―明治の画工、世界に挑む」の第Ⅱ部(12月19日まで)が始まった。高島屋は明治中期から大正時代にかけ屏風や壁掛けなどの美術染織品の海外輸出に力を注いだ。企画展はそれらの下絵を描いた当時“画工”と呼ばれた画家たちに焦点を当てたもの。第Ⅰ部「高島屋の画室」に続く第Ⅱ部は「下画(したえ)と染織品」と題して展示作品を全面的に入れ替え、下絵をもとにした刺繍作品や手描き友禅も展示している。見どころの一つが雌雄のライオンが描かれた『獅子図』。日本画家の神坂松濤の下絵と、刺繍師(ぬいし)がその下絵をもとに丹念に縫い上げた刺繍絵画(上の写真)が横並びに展示されている。下絵の原画は1900年代の初めにハンガリーの...<高島屋史料館>「獅子図」下絵と刺繍作品を同時展示!

  • <平城宮いざない館> 特別展「のこった奇跡 のこした軌跡」

    【第1次から近年の621次発掘調査までを振り返って】平城宮跡歴史公園(奈良市)の平城宮いざない館で、特別展「のこった奇跡のこした軌跡」が開かれている(12月11日まで)。発掘・保存活動に取り組んできた奈良文化財研究所の70周年と平城宮跡史跡指定100周年を記念した催し。平城宮の発掘調査は奈文研発足3年後の1955年から本格的に始まった。特別展ではこれまであまり紹介されていなかったその第1次調査や、昭和の初めから断続的に調査が続く「東大溝」の最新の第621次調査の成果などを出土品やパネルで紹介している。第1次の調査地区は第二次大極殿の東南隅で、古墳時代の蓋形(きぬがさがた)埴輪や奈良時代の須恵器、土師器などの食器類、「修」や「理」の文字が刻まれた軒丸瓦などが出土した(写真)。刻印瓦は平城宮内の建物などの修理...<平城宮いざない館>特別展「のこった奇跡のこした軌跡」

  • <にじいろ吹奏楽> 奈良県内の26バンドが熱演!

    【全国大会出場控えた生駒市立の3小学校も】奈良県内の小中高校の吹奏楽部や市民吹奏楽団が日頃の練習成果を披露する演奏会「にじいろ吹奏楽」が11月5日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。奈良県みんなでたのしむ大芸術祭実行委員会、奈良県吹奏楽連盟などの主催。県内各地から26バンドが結集し、約8時間にわたって次々と迫力いっぱいの演奏を繰り広げた。演奏会は午前10時半、畝傍高校吹奏楽部の演奏からスタートした。司会はラジオやテレビでDJやリポーターとして活躍中の向井亜季さんと、市民楽団セントシンディアンサンブル代表・指揮者の福島秀行さん。長丁場の演奏会のため昼すぎに出かけ午後2時半スタートの生駒高校から終演の生駒中学まで約4時間演奏に耳を傾けた。県内の市町村では生駒が吹奏楽の盛んな地域として有名。それを示すようにこ...<にじいろ吹奏楽>奈良県内の26バンドが熱演!

  • <万葉植物園> 春日古楽保存会「奉納演奏会」

    【春日若宮の造替と創立90周年を記念し】春日大社の万葉植物園(奈良市)で文化の日の11月3日、春日若宮の式年造替を祝う「奉納演奏会」が開かれた。主催は古典芸能の保存に取り組む春日古楽保存会で、会の創立90周年記念を兼ねた催し。植物園の中央にある池に設けられた浮舞台で、約1時間半にわたり春日大社に古くから伝わる田楽と細男(せいのお)、舞楽が演じられた。春日古楽保存会は1932年に春日大社を中心として雅楽、田楽、細男などの保存・伝承を目的に発足。その後、雅楽部門が「南都楽所(なんとがくそ)」として独立した。奉納演奏会は午後1時にスタートした。最初に演じた田楽座は「春日若宮おん祭」(毎年12月開催)で行われる芸能のうち最も興福寺と深い関係のある芸能集団といわれる。田楽の起源については神に五穀豊穣を祈る舞、農耕を...<万葉植物園>春日古楽保存会「奉納演奏会」

  • <堂本印象美術館> 第3回野外工芸美術作家展

    【花器・平織り・紙細工・ガラス・金属工芸】京都府立堂本印象美術館(京都市北区)で「第3回野外工芸美術作家展」が開かれている。会場は美術館の新館南側に広がる起伏に富んだ庭園。美術館の建物は日本画家堂本印象(1891~1975)がデザインしたことで知られるが、緑豊かな庭園にも自身がデザインした椅子があちこちに点在する。その開放的な空間でいま5人の工芸作家の作品が展示されている。11月23日まで。市川博一さん青白磁の花器14点を出品。常緑の濃い緑の中で、様々な造形の花器の明るい色調が爽やかで美しい。1991年以来日展入選を重ね、京都や東京で個展も開いてきた。ただ屋外での作品展示の経験はほとんどなく、「作品が庭園内の緑の中でどんな表情になるのか楽しみ」とのこと。林田さなえさん「月とワルツ」「GlassRain」な...<堂本印象美術館>第3回野外工芸美術作家展

  • <神戸市立博物館> 特別展「よみがえる川崎美術館」

    【煌びやかな“名誉の屏風”、応挙の襖絵で空間再現!】神戸市立博物館で開館40周年の記念特別展「よみがえる川崎美術館―川崎正蔵が守り伝えた美への招待」が開かれている。川崎美術館の創設者は川崎造船所(現川崎重工業)や神戸新聞社などを創業した川崎正蔵(1837~1912)。神戸市布引に1890年(明治23年)国内初の私設美術館として開館した。だが昭和初期の金融恐慌などでコレクションは残念ながら散逸してしまう。国宝・重要文化財を含むそれらの名品の数々が約100年の時を越えて神戸に“里帰り”してきた。12月4日まで。川崎正蔵が美術品を収集した背景には明治維新による西洋文化の流入、廃仏毀釈や文化財の流出への危機感があった。収集分野は多岐にわたる。それを示すのが没後3回忌の1914年に刊行されたコレクションの名品図録『...<神戸市立博物館>特別展「よみがえる川崎美術館」

  • <平城宮跡資料館> 地下の正倉院展「平城木簡年代記」

    【60年間にわたる平城木簡出土の足跡を辿る】奈良文化財研究所の平城宮跡資料館で秋恒例の特別展「地下の正倉院展」が始まった。平城宮跡で1961年に初めて木簡が出土してから約60年。この間に膨大な量の木簡が見つかった。今年は平城宮跡の史跡指定から100周年、奈文研も設立70周年。節目の年に当たることから、今展では「平城木簡年代記(クロニクル)」をテーマに、代表的な木簡を通じて木簡出土の足跡を辿る。平城宮跡と平城京跡から出土した木簡の総数は30万点を超える。そのうち「大膳職(だいぜんしき)推定地出土木簡」など3184点が2018年に「平城宮跡出土木簡」として国宝に指定された。さらに2020年には「長屋王家木簡」の一部が重要文化財に指定されている。今展では各年代を代表する木簡56点(国宝8点、重文6点を含む)を2...<平城宮跡資料館>地下の正倉院展「平城木簡年代記」

  • <月下美人> 12輪が同時に開花!

    【今年4回目、純白・妖艶・芳香】ゲッカビジン(月下美人)の鉢植えが10月25日夜から26日未明にかけて、純白・大輪の花で包まれた。その数、12輪。葉っぱ2枚の挿し木から育て始めて8年余り。4年前から花を付け始めたが、一度に10輪以上開花したのは今回が初めて。今年は早くも6月中に一度開花し、その後、ほぼ毎月のように花を付け、これが4回目だった。月下美人は中南米の熱帯雨林原産。サボテン科クジャクサボテン属の多肉植物で、高温多湿の環境を好む半面、寒さに弱い。このため毎年、冬には室内に取り込み、春になると屋外に出していた。花は純白で、外側のガク弁まで含めると直径が20㎝ほどもある。甘い香りを放つのも特徴。その強い香りはジャングルで小型の“果実コウモリ”を誘うためといわれる。鉢植えは2019年に9月と10月に初めて...<月下美人>12輪が同時に開花!

  • <平城京天平祭> 人気呼ぶ「変面」などのショー

    【朱雀門ひろばで、23日は「ガムラン」演奏なども】「2022秋平城京天平祭みつきうまし祭り」が10月22日、奈良市の平城宮跡朱雀門ひろばで始まった。奈良の食を味わい、古代行事や歌舞音曲を楽しもうという恒例の祭りで、春・夏・秋の年3回開催している。朱雀門の壇上では多彩なステージショーが繰り広げられ、朱雀大路には多くの飲食や農産物などの販売店が出店。天平衣装や奈良時代の遊びの体験コーナーなどもあり、初日から多くの人出でにぎわった。23日まで。22日のステージは午前10時半、和太鼓「広陵金明太鼓」の演奏からスタートした。1994年に広陵町で結成され「命の響きを伝える」が合言葉。一糸の乱れもない豪快な演奏に日頃の練習の成果が表れていた。続いて登場したのは明日香村の「八雲琴(やくもごと)」のグループ。以前、地元の県...<平城京天平祭>人気呼ぶ「変面」などのショー

  • <奈良市埋文センター> 秋季特別展「また!ナニこれ?」

    【関係者が頭をひねる用途不明の出土品】奈良市埋蔵文化財調査センター(大安寺町西2丁目)で秋季特別展「また!ナニこれ?―奈良市出土の用途不明品」が開かれている。2年前開催の「ナニこれ?」展の続編。前回は奈良時代の平城京出土品に絞ったが、今回は対象を奈良市内全域の縄文時代から江戸時代までの出土品に拡大した。発掘調査員や研究者が頭をひねる用途不明品などを①コレなに?②ナニを表現?どんな意味が?③どのように使ったの?④どんな願いが?――の4つに分類して展示・紹介している。会期は11月30日まで。・刺突紋がある土器(弥生時代後期。東九条町で発見された溝から出土)高さ3㎝、幅4㎝の土器片。上面の平坦面の端と側面の底部付近に小さな円形の孔が連続して開けられ、側面には直径2㎝程度の大きな円形の孔があり、その上には綾杉紋が...<奈良市埋文センター>秋季特別展「また!ナニこれ?」

  • <新居浜太鼓祭り> 絢爛豪華な太鼓台が54台も!

    【各地で「かきくらべ」100人超の男衆で差し上げ】愛媛県新居浜市で「新居浜太鼓祭り」が10月16~18日(一部地域は15~17日)にぎやかに繰り広げられた。徳島の阿波踊り、高知のよさこい祭りとともに四国を代表する祭りの一つ。この3日間、市内は金糸の刺繍で彩られた太鼓台54台が練り歩いて祭り一色に塗りつぶされた。最大の見どころは3トンもある太鼓台の差し上げ。男衆が「かき棒」を頭上高く持ち上げると、観客から大きな拍手が送られた。(写真手前の太鼓台は36年ぶりに太鼓台を新調した「岸之下」、奥は「松木坂井」=JR新居浜駅前で)新居浜の太鼓台を生で初めて目にしたのは3年前、2019年9月に松山城のそばで開かれた「大神輿総練(そうねり)」のときだった。新居浜太鼓台の参加は1台だけだったが、その豪華さと勇壮な姿に感激、...<新居浜太鼓祭り>絢爛豪華な太鼓台が54台も!

  • <枚岡神社秋郷祭> 宮入3年ぶり! 太鼓台勇壮に次々と

    【14日宵宮で20台余、15日の本宮には神幸行列も】河内国一之宮の古社、枚岡神社(東大阪市)で秋の実りに感謝する秋郷祭(枚岡まつり)が始まった。14日が宵宮で15日が本宮。両日とも9地区の太鼓台23台(うち大太鼓9台)が担がれて市内を巡り、地車(だんじり)3台も曳き回される。太鼓台の宮入は3年ぶり。宵宮の境内はその勇壮な姿を一目見ようと観客で溢れかえった。本宮15日には宮入の前に神幸行列・神輿渡御、還幸祭なども行われる。枚岡神社の一の鳥居(上の写真)は二の鳥居から800mほど下った鳥居町にある。建立されたのは220年前の1802年。14日午後2時「出雲井・鳥居」の太鼓台がその鳥居を潜って参道を進み始めた。秋郷祭の宮入はこの太鼓台がいつも一番乗りを務める。神社の鎮座地が出雲井町で、宮元に当たるためだ。二の鳥...<枚岡神社秋郷祭>宮入3年ぶり!太鼓台勇壮に次々と

  • <堂本印象美術館> 特別企画展「山口華楊―いのちに心をよせて」

    【代表作の「洋犬図」「黒豹」など50点余】京都府立堂本印象美術館(京都市北区)で、動物画を得意とした日本画家、山口華楊(1899~1984)の代表作を集めた特別企画展「山口華楊―いのちに心をよせて」が始まった。第1回新文展に出品し政府買い上げとなった「洋犬図」をはじめ「黒豹」「仔馬」などの有名な作品が一堂に。これらに一部、下図や素描も加え54点が展示されている。鋭敏な写実性の中に気品があふれた華楊の世界を堪能するまたとない機会だろう。11月23日まで。会場の美術館は大正~昭和に活躍した日本画家、堂本印象(1891~1975)が自ら建物をデザインして1966年に開館した。華楊は堂本の8つ年下だが、同じ京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)で学び、二人とも京都・衣笠を活動拠点とした。1936年には堂本が母...<堂本印象美術館>特別企画展「山口華楊―いのちに心をよせて」

  • <高取町市尾の古墳> 国指定史跡の「墓山」と「宮塚」

    【墓山古墳の被葬者は豪族巨勢男人?】大和盆地南部に位置する奈良県高取町は県内有数の古墳密集地域として知られる。古墳の数は700基を超え、県内では天理市、御所市、桜井市に次いで4番目。“古墳密度”は高松塚やキトラ、石舞台などで有名な北隣の明日香村を抑えて1位という。その高取町で最大の古墳が「市尾墓山古墳」。近くには同じく国の史跡に指定されている「市尾宮塚古墳」もある。その二つの前方後円墳を初めて訪ねた。近鉄吉野線市尾駅を降り立つと、駅前に地元民手作りの小さな「はにわ公園」(今年4月完成)があった。その上、奥の方に緩やかな2つのこぶを持つ墓山古墳の墳丘が見えた。古墳まで徒歩で5~6分の距離。墳丘は長さ70m、高さ10mで、モミジの大木が1本シンボルツリーのように立っていた。後円部の横穴式石室まで上り階段がある...<高取町市尾の古墳>国指定史跡の「墓山」と「宮塚」

  • <橿考研付属博物館> 秋季特別展「宮廷苑池の誕生」

    【飛鳥京跡苑池を中心に庭園の変遷や特徴を紹介】奈良県立橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)で秋季特別展「宮廷苑池の誕生」が始まった。明日香村の「飛鳥京跡苑池」(国の史跡・名勝)発見から約23年。国内初の本格的な宮廷庭園といわれるこの遺跡は昨年までの15次にわたる発掘調査で全容がほぼ明らかになった。今展では同苑池と他の県内の遺跡の発掘成果を踏まえながら、宮廷庭園の成り立ちや変化、特徴などを詳しく紹介している。会期は10月8日~12月4日。(写真は飛鳥京跡苑池=2021年12月の現地説明会で)飛鳥京跡苑池は1999年に飛鳥川右岸の河岸段丘で見つかった。その場所は7世紀に天皇の宮殿かあった飛鳥宮内郭跡のすぐ北西。遺跡の範囲は東西100m、南北280mに及び、南北2つの池と渡堤、水路、掘立柱の建物跡などから成る。...<橿考研付属博物館>秋季特別展「宮廷苑池の誕生」

  • <高取かかし祭り> 土佐街道沿いに200体

    【エンゼルスの大谷翔平選手も!】奈良県高取町で秋恒例のイベント「高取かかし祭り」が開かれている。2009年にスタートし今年で14回目。近鉄吉野線壺阪山駅前から、緩やかな上りの石畳が続く土佐街道沿い50カ所に約200体の町民手作りのかかしが並ぶ。今年は米大リーグで“二刀流”として活躍するエンゼルス大谷翔平選手のかかしも登場し、見物客の人気を集めている。土佐街道は日本三大山城の一つ高取城(1873年廃城)に続く旧城下町のメーン道路。今でも虫籠(むしこ)窓や連子格子(れんじこうし)などを持つ古い町家が多く残り、情緒ある町並みをつくっている。大谷選手のかかしは街道脇に鎮座する高取恵美須神社内にあった。大谷選手の横にはイチロー選手。右手を肩に掛けているのは通訳の水原一平さんだろう。大谷の足元には黒字で「ベーブ・ルー...<高取かかし祭り>土佐街道沿いに200体

  • <明日香村稲渕> 「彼岸花祭り」「案山子コンテスト」同時開催

    【「世界平和」テーマのかかしは58点が参加】奈良県明日香村の稲渕(いなぶち)地区は農村の原風景といわれる棚田で有名。「日本棚田百選」にも選ばれている。その稲渕で9月24、25の両日「彼岸花祭り」「案山子コンテスト」が開催中。案山子(かかし)コンテストは今回で27回目。ただ彼岸花祭りは新型コロナ禍で2年連続中止だったため、同時開催は3年ぶり。24日には多くの見物客が黄金色に染まる稲穂と見頃を迎えた彼岸花に加え、“案山子ロード”に飾られたかかしを見ながら秋晴れのひと時を楽しんでいた。案山子コンテストは毎年テーマを決めて作品を募っている。以前かかし見物で訪れたのは8年前の2014年。その年のテーマは「童謡⋅唱歌⋅わらべ歌のものがたり」だった。今年のテーマは「世界平和」で58点が寄せられた。近鉄飛鳥駅前から無料シ...<明日香村稲渕>「彼岸花祭り」「案山子コンテスト」同時開催

  • <松伯美術館> 「本画と下絵から知る上村松園…」展

    【珠玉の作品「鼓の音」「花がたみ」「楊貴妃」など】松伯美術館(奈良市登美ケ丘2)は近畿日本鉄道の名誉会長だった故佐伯勇氏の邸宅跡に立つ。気品あふれる美人画で知られる上村松園とその子松篁、孫淳之の三代の画業を紹介する場として1994年に開館した。その美術館でいま「本画と下絵から知る上村松園・松篁・淳之」展が開かれている。何枚もの素描や縮図帖、下絵などを通して、1枚の名品が生まれるまでの苦心の跡や試行錯誤の一端をのぞくことができる。松園(1875~1949)の作品では『鼓の音』や『花がたみ』などが本画と下絵を横に並べて展示中(写真はいずれも部分)。『鼓の音』は円熟期の65歳のときの作品で、ニューヨーク万国博覧会(1940年)に出品され絶賛された。下絵には手の部分と胸から上の部分に描き直した紙が貼られていた。下...<松伯美術館>「本画と下絵から知る上村松園…」展

  • <岸和田だんじり祭> 34台、市街地を勇壮に疾走!

    【旧市と春木の2地区で3年ぶり通常開催】大阪南部の泉州地域に、だんじり祭りの季節がやってきた。劈頭(へきとう)を飾るのは「岸和田だんじり祭」の岸和田旧市地区と春木地区。9月17日の宵宮には2地区合わせて34台のだんじりが曳き回され、交差点で豪快な“やりまわし”を披露した。通常開催は3年ぶり。新型コロナ禍の影響で一昨年は中止、昨年は規模を縮小しての無観客となっていた。2地区では本宮の18日、だんじりの宮入りが行われる。春木地区のだんじりは12台。宵宮の17日には早朝の“曳き出し”に続いて、午前9時半から“パレード”が繰り広げられた。会場は南海本線春木駅の北側にあるショッピングモール「ラパーク岸和田」前。纏(まとい)を先頭に太くて長い2本の綱に曳かれただんじりが、10分ほどの間隔で次々に登場した。1番だんじり...<岸和田だんじり祭>34台、市街地を勇壮に疾走!

  • <大和文華館> 企画展「一笑一顰―日本美術に描かれた顔」

    【印象的な表情が描かれた物語絵や肖像画など46点】大和文華館(奈良市学園南)で人物の表情に焦点を当てた企画展「一笑一顰(いっしょういっぴん)―日本美術に描かれた顔」が開かれている。一笑一顰とは笑みを浮かべたり眉を顰(ひそ)めたりといった、顔に現れるちょっとした表情の変化を指す。物語絵・歌仙絵・道釈画・肖像画・美人画の5つに分けて、平安中期以降に描かれた館蔵の人物画46点を展示している。10月2日まで。展示中の<物語絵>は『寝覚物語絵巻』(国宝)、『源氏物語浮舟帖』(重文)、『伊勢物語図色紙』など。『寝覚物語絵巻』は菅原孝標女の作といわれる『夜半の寝覚』を絵画化したもの。伝俵屋宗達筆『伊勢物語図色紙』の「六段芥川」には、主人公の男が夜の闇に乗じて誘い出した女と見つめ合う場面が描かれている。平安~鎌倉時代の王...<大和文華館>企画展「一笑一顰―日本美術に描かれた顔」

  • <高島屋史料館> 企画展「画工画 明治の画工、世界に挑む」

    【下絵の大半は署名なく、作者は不詳!】大阪・日本橋にある高島屋史料館(高島屋東別館3階)で企画展「画工画(がこうえ)明治の画工、世界に挑む」が始まった。2部構成で「高島屋の画室」と題した第1部の会期は10月24日まで、「下画(したえ)と染織品」と題した第2部は11月5日~12月19日。明治時代中期から貿易業に乗り出した高島屋は、当時「画工」と呼ばれた画家たちの下絵をもとに制作された屏風や壁掛けなど美術染織品を欧米に輸出した。企画展第1部では当時の下絵や書簡、記録などから画工画誕生の足跡を辿る。(写真は2021年8月に国の重要文化財に指定された高島屋東別館)高島屋は1882年頃から日本画家の岸竹堂や今尾景年らに下絵の制作を依頼していたが、本格的に輸出に取り組むため85年「輸出掛(かかり)画室」を新設。その画...<高島屋史料館>企画展「画工画明治の画工、世界に挑む」

  • <百舌鳥八幡宮> 3年ぶりに“ふとん太鼓”奉納

    【秋祭り「月見祭」太鼓台大小18基が勇壮に】大阪府堺市北区の百舌鳥(もず)八幡宮の秋祭り「月見祭」で、9月10日3年ぶりに“ふとん太鼓奉納行事”が繰り広げられた。「月見祭」と呼ばれるのはこの秋祭りの神事が中秋の名月に行われるため(今年はちょうどこの日10日が中秋の名月だった)。ふとん太鼓の奉納日は毎年その前後の土・日曜だが、過去2年はコロナ禍のため中止になっていた。10日には観客が境内や参道を埋め尽くす中、太鼓台が昼前から夜遅くまで次々と宮入りした。ふとん太鼓は地元9町にそれぞれ大型の太鼓台と小型の子供太鼓台が1台ずつ、計18台ある。太鼓を納めた台座の上に朱色の巨大な座布団を逆ピラミッド型に5段積み重ねているのが特徴。大型の太鼓台は重さが2~2.5トンもある。これを60~70人で担ぎ、途中で何度も担ぎ手が...<百舌鳥八幡宮>3年ぶりに“ふとん太鼓”奉納

  • <奈良市写真美術館> 太田順一展「ものがたり」

    【遺物など「もの」の中に生きる“人の営み”を活写】入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町)で、奈良県出身の写真家太田順一氏の個展が開かれている。題して「ものがたりものの語りに目をそばだてる」。1950年生まれの太田氏は早稲田大学を中退後、写真家を目指すため大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ大阪)で学ぶ。卒業後は長く「人」ばかり撮っていたが、50歳手前から対象を「もの」「風景」に絞り込んだ。今回の展示作品の中にも人物を撮ったものはない。だが遺されたものから人の息づかいが聞こえてくる作品が多く、風景写真も様々な痕跡から生命や自然の永遠の営みなどが伝わってきた。太田氏はこれまで多くの写真集を発表してきた。『女たちの猪飼野』『ハンセン病療養所隔離の90年』『大阪ウチナーンチュ』『佐渡の鼓童』『無常の菅原商店...<奈良市写真美術館>太田順一展「ものがたり」

  • <奈良県立美術館> 今週のお宝は北斎の『瑞亀図』

    【「美術・解体新書」展、後期展示作を集中鑑賞】奈良県立美術館で開催中の企画展「美術・解体新書」の会期(~8/28)も残すところ約10日となった。所蔵品の中から選りすぐりの名品約150点を展示中だが、一部作品は前後期で展示替えが行われた。今回約1カ月ぶりに再訪したのも後期展示作品に絞って鑑賞するため。その中には縁起のいい画題の浮世絵が多く含まれていた。この企画展の見どころの一つが、会場入り口正面に週替わりで飾られる“今週のお宝”。これまでに伝雪舟筆『秋冬山水図屏風』、曽我蕭白の『美人図』などが展示されてきたが、第5週目のいま展示中の作品は『富嶽三十六景』などで知られる江戸後期の浮世絵師、葛飾北斎の『瑞亀図』。泉から亀が現れたのを長命のしるしと白髪の老夫婦が喜んで亀に酒を飲ませる光景がユーモラスに描かれている...<奈良県立美術館>今週のお宝は北斎の『瑞亀図』

  • <小倉昭和館> 旦過市場の大火災で焼失した老舗映画館

    【10年前ふらっと入って観た『ローマ法王の休日』】北九州市に帰省したとき、時間さえあれば立ち寄る市場がある。若松の「ゑびす市場」や小倉の「旦過(たんが)市場」など。昔と変わらないレトロな風景が懐かしく「帰ってきた」との思いを新たにできるからだ。以前、旦過市場を訪れ周辺を歩き回っていたとき小さな映画館に出合った。「えっ、こんな場所に映画館?」。上映中のタイトルの一つに『ローマ法王の休日』とあった。オードリー・ヘップバーン主演の『ローマの休日』をもじったようなタイトルについ導かれて館内へ。確か10年前の2013年のことだった。(写真は2016年7月に旦過市場で)以来、その映画館「小倉昭和館」のことはすっかり忘れていた。今回の悲惨な火災による焼失までは……。『ローマ法王の休日』はその気がないのに選挙で法王に選ば...<小倉昭和館>旦過市場の大火災で焼失した老舗映画館

  • <桑名石取祭㊦> 江戸末期建造の祭車も!

    【花車「堤原」が楼門前に一番乗り】石取祭の山車「祭車(さいしゃ)」は終戦間際の1945年7月17日未明の空襲で多くが焼失したという。ただ焼失を免れ建造から100年以上経つ年代ものも。一番古いのが「西舩馬町」の祭車。江戸末期の1856年(安政3年)建造といわれ、桑名市有形民俗文化財に唯一指定されている。他にも「田町」(建造1887年)、「宮北」(1900年)、「西馬道」(1902年)、「羽衣連」(1920年)などが100年を超える。「西舩馬町」の祭車をじっくり観賞させてもらった。ただ最古の割には幕類が新しく、車体全体もピカピカ。それもそのはず、5年前に水引幕や胴幕を復元新調し、漆の塗り替えも行ったとのこと。彫刻は名工として名高い三代目立川和三郎冨重の作で、前面の階段脇には2頭の鹿が彫られていた。この祭車以外...<桑名石取祭㊦>江戸末期建造の祭車も!

  • <桑名石取祭㊤> 祭車27台、3年ぶりに曳き回し!

    【江戸時代から続く“日本一やかましい祭り”】三重県桑名市の総鎮守桑名宗社(通称春日神社)の祭礼「石取祭(いしどりまつり)」(重要無形民俗文化財)が8月7~8日に執り行われ、市内は祭り一色に包まれた。“祭車(さいしゃ)”と呼ばれる山車の曳き回しは3年ぶり。この2年間は新型コロナ禍で神社での神事のみとなっていた。本楽(ほんがく)日の8日には祭車27台が旧東海道沿いにずらりと整列した後、列をつくって神社に向け出発した。クライマックスは神社楼門前での“渡祭(とさい)”。一台ずつ順番に乗り入れ、太鼓や鉦を打ち鳴らしてお囃子を奉納すると、大勢の観客から大きな拍手が送られた。石取祭は江戸初期に始まったといわれる。祭り名は市内の町屋川(員弁川)の川原で白い栗石を拾って春日神社に奉納することに由来する。8日昼すぎ神社にお参...<桑名石取祭㊤>祭車27台、3年ぶりに曳き回し!

  • <大府市歴史民俗資料館> 企画展「紙のぺてん師あいばまさやすペーパーアート展」

    【昭和の名車厚紙で再現、「えっ、これが紙製?」】愛知県大府市桃山町の「大府市歴史民俗資料館」を初めて訪れた。お目当てはいま開催中の企画展「紙のぺてん師あいばまさやすペーパーアート展」。内外の名車がまるでブリキ製のように厚紙で精巧に再現されているという。制作者の“紙のぺてん師”という言葉にも引かれた。実際に作品を目の前にすると、それらはまさに芸術品といえる見事な出来栄えだった。あいばさんは1953年大府市生まれ。大府は自動車産業が盛んで、あいばさんも地元に本社を置く自動車部品製造・販売の愛三工業に長く勤め、2013年に定年退職。その後、同資料館の非常勤職員として展示業務などに携わっている。その傍ら絵本を自費出版したり、創作紙芝居の制作に取り組んだりしてきた。これまでに作った紙芝居は100話に上るという。企画...<大府市歴史民俗資料館>企画展「紙のぺてん師あいばまさやすペーパーアート展」

  • <一宮七夕まつり> 本町商店街に無数の吹き流し

    【盆踊りも人数制限で3年ぶりに復活!】日本三大七夕まつりといえば、仙台と平塚(神奈川県)、それに一宮(愛知県)が挙げられることが多い。その一宮市で7月28日から31日までの4日間「おりもの感謝祭一宮七夕まつり」が中心街で繰り広げられた。今年で67回目。例年人気の「御衣(おんぞ)奉献大行列」や「コスプレパレード」「ワッショーいちのみや」などは密を避けるため今年もやむなく中止に。しかし駅前通りでの「盆踊り大会」は人数制限ながら3年ぶりに復活し、中心街の本町商店街などは連日大勢の見物客でにぎわった。一宮七夕まつりは地場産業の織物工業の振興を願って1956年(昭和31年)に始まった。主催は市や商工会議所を中心につくる「一宮七夕まつり協進会」。一宮には氏神として古くから篤い信仰を集める真清田(ますみだ)神社がある。...<一宮七夕まつり>本町商店街に無数の吹き流し

  • <刈谷万燈祭> 3年ぶりに勇壮・華麗な舞姿

    【2018年にふるさとイベント大賞・内閣総理大臣賞!】全国に“天下の奇祭”と呼ばれる祭りは多いが、その一つがこの祭り。案内のチラシなどにもこの5文字が躍る。名古屋市の南東に位置する愛知県刈谷市の「刈谷万燈祭(まんどまつり)」(県の無形民俗文化財)。“万燈”と呼ばれる高さ5m、重さ約60㎏の張子人形を、若衆が一人で担いで勇壮に舞う。日が落ち万燈に灯がともって宵闇にくっきり浮き上がると、祭り情緒も最高潮に。今年は7月30~31日に氏子の7町に3社の“企業万燈”も加わって3年ぶりに開かれた。万燈祭は刈谷市銀座にある地元の氏神・秋葉社の火難防止と町内安全を祈願する祭礼。1778年に万燈が登場したのが始まりといわれ、240年を超える長い伝統を誇る。万燈は竹でかたどった上に和紙を張ったもので、針金などは一切使っていな...<刈谷万燈祭>3年ぶりに勇壮・華麗な舞姿

  • <奈良県立美術館> 企画展「美術・解体新書」

    【館蔵から選りすぐりの名品150点余】奈良県立美術館(奈良市登大路町)で企画展「美術・解体新書名品展≪夏≫」(7月16日~8月28日)が開かれている。「はじめに―美術ってナニ?」と「基本編―『美術』以前」「応用編―『美術』以降」の2部構成で、所蔵する約4300点の日本の美術工芸品の中から選りすぐりの名品156点を展示(会期中に一部入れ替え)。“鑑賞の手引き”となるよう素材や技法、主題、ジャンル、形式などを分かりやすく解説している。「はじめに」では「今週のお宝」と銘打って週替わりの作品を展示中。第1週目の展示は伝雪舟作の『秋冬山水図屏風』(上の写真)だった。聳え立つ雪山などが繊細な筆致で描かれた6曲1隻の屏風だが、もとは春夏・秋冬を描いた1双の屏風の左隻だったとみられる。今は第2週分(7月27日~8月1日)...<奈良県立美術館>企画展「美術・解体新書」

  • <祇園祭・鷹山> 196年ぶりの晴れ舞台!

    【都大路を巡行する勇姿に温かい拍手】京都・祇園祭の後祭の山鉾巡行が7月24日都大路で繰り広げられた。この日の主役は約200年という長い時を越えて巡行に本格復帰した「鷹山(たかやま)」。高さは屋根まで7.6m、上の真松(しんまつ)を加えると約17mもあり、総重量は10トンを超える。その晴れ姿を一目見ようと多くの観客が沿道を埋め、「鷹山はまだ」「巡行は何番目」と待ちわびる声も多く聞かれた。「コンチキチン」の祇園囃子に乗って近づいてくると、観客からはひときわ大きな拍手が送られた。鷹山は応仁の乱(1467~)以前からあった由緒ある大型の曳山だが1826年の暴風雨で大破、以来“休み山”となっていた。山の再建と巡行への復帰の機運が急速に盛り上がってきたのは10年ほど前から。2014年に囃子方ができ、翌年には鷹山保存会...<祇園祭・鷹山>196年ぶりの晴れ舞台!

  • <京都・祇園祭> 山鉾3年ぶりに都大路を巡行

    【前祭の23基、豪快な“辻回し”に歓声】京都の夏を雅に彩る八坂神社の祭礼「祇園祭」。日本三大祭りの一つといわれ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている。その前祭(さきまつり)の山鉾巡行が7月17日、都大路で繰り広げられた。山鉾の巡行は新型コロナ禍で2020年、21年と2年続け中止になっており、今年は3年ぶりの開催。四条通や御池通などの都大路には見物客で幾重もの人垣ができ、山鉾が交差点で90度回転する“辻回し”などに大きな拍手が送られていた。前祭で巡行する山鉾は計23基。その巡行順は例年7月2日のくじ取り式で決められる。ただ長刀鉾は「くじ取らず」の鉾として常に先頭を行く。このほか5番目の函谷鉾(かんこほこ)や最後尾の船鉾など4基も「くじ取らず」。先頭の長刀鉾には四条通に張られた結界を表す注連縄を稚児が刀で断...<京都・祇園祭>山鉾3年ぶりに都大路を巡行

  • <杭全神社夏祭> 3年ぶりに地車合同曳行と宮入り

    【日中も鉦・太鼓を打ち鳴らしにぎやかに】大阪市内最大規模のだんじり祭りといわれるのが大阪市平野区にある杭全神社の「平野郷夏まつり」(毎年7月11~14日)。約300年という長い伝統を誇る。2020~21年は新型コロナ感染対策で2年続けて規模縮小を余儀なくされたが、今年は3年ぶりに「九町合同曳行」や地車(だんじり)9台の宮入りなどが復活した。まつりの本格開催で盛り上がる町の雰囲気を味わおうと13日の日中、平野の町を訪ねた。平野は十数年前に宮入り見物のため訪れて以来。杭全神社の参道には昼すぎにもかかわらず多くの屋台が既に営業を始めていた。中には金魚やスーパーボールすくいに興じる小さな子どもたちの姿も。拝殿には煌びやかな1基のお神輿が鎮座していた。夏まつりの期間中、この神輿にはいつもは第一本殿に祀られている素戔...<杭全神社夏祭>3年ぶりに地車合同曳行と宮入り

  • <セイヨウヒキヨモギ(西洋引蓬)> 半寄生植物、世界各地に帰化

    【穂状花序に黄色の唇形花】ハマウツボ科セイヨウヒキヨモギ属の1年草。原産地はヨーロッパ南西部だが、世界各地に分布域を広げて帰化している。日本では約50年前の1973年に千葉県船橋市内で初めて確認された。帰化植物の中では比較的新しいが、その後、主に関東以西で急速に増殖中。日当たりいい場所を好み、各地の河川敷や土手、野原などでの報告例が相次いでいる。(写真は奈良市の平城宮跡で)名前はヨーロッパから渡来し、草姿が同じハマウツボ科の日本在来種ヒキヨモギに似ていることから。「引蓬」の「蓬」は深く裂けた葉の形がヨモギに似ることから。ただ「引」については諸説。一説によると、茎を折ると中の維管束が糸を引くように出てくることからという。花期は5~7月。草丈は30~50cmほどで、穂状花序に長さ2cm前後の黄色い唇形花を付け...<セイヨウヒキヨモギ(西洋引蓬)>半寄生植物、世界各地に帰化

  • 〈紙半豊田記念館〉 江戸時代の古美術や工芸品

    【今井町の豪商「紙半」歴代当主が収集】奈良県橿原市の今井町はかつて「大和の金は今井に七分」といわれるほど栄えた。今も古い町家が多く残っており、整然とした町並みには江戸時代の情緒と風情が漂う。約30年前の1993年には「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された。広さは約17.4ha(東西600m南北310m)。その地区内に全国の重伝建地区では最も多い約500棟の伝統的建造物が密集する。そのうち9棟が国指定の重要文化財。「紙半(かみはん)」の屋号で肥料や綿、油などを手広く商い、両替や近隣大名への金貸しなども営んだ豪商「豊田家」もその一つ。創家は江戸前期の1666年といわれ、代々「紙屋半三郎」を襲名し12代目まで続いた。その間に歴代の当主が収集した美術工芸品に加え、江戸時代の商売道具や文献、生活用品なども大切に...〈紙半豊田記念館〉江戸時代の古美術や工芸品

  • <三枝祭> 2つの“ゆりまつり”今年も「関係者のみで」

    近鉄奈良駅そばにある2つの神社で、毎年6月17日には“ゆりまつり”が営まれる。漢国(かんごう)神社の「鎮華(はなしずめ)三枝祭(さきくさまつり)」と大神神社(桜井市)の摂社率川(いさがわ)神社の「三枝祭(さいくさのまつり)」。いずれも神前にササユリを供えて悪疫退散や五穀豊穣を祈願する。しかし今年も新型コロナの感染防止のため参列は神社関係者に限られ、奉納祭事も残念ながら中止や規模縮小に追い込まれた。【漢国神社、包丁儀式も見送り】2つの神社の三枝祭は例年なら同じ時刻の午前10時半に始まる。だが漢国神社に行ってみると、開始は午前11時で「今回もまた神社関係者のみで執り行います」との張り紙。同神社では平安初期から伝わるという清和四条流の「式包丁儀式」が行われることで知られる。お供えの魚に手を触れず、包丁と真魚箸(...<三枝祭>2つの“ゆりまつり”今年も「関係者のみで」

  • <月下美人> 例年より一足早く初開花

    【ほかに小さな蕾が21個も!】純白の大輪の花を開いて甘い香りを放つゲッカビジン(月下美人)。その神秘の花が6月16日の夜、1輪開花した。葉っぱ2枚から育て始めて約8年。2019年から花を付け始め、以来毎年10輪ほど開花し目を楽しませてくれてきた。しかし6月中の開花は今回が初めて。昨年の初開花は7月2日だったので2週間ほど早い。この株には小さな蕾が21個も付いている。古い株ほど花を多く付けるといわれるが、今年は何輪咲いてくれるだろうか。月下美人は中南米原産のサボテン科クジャクサボテン属の多年草。花径は花弁の外側のガク弁まで含めると20~25cmにもなる。花の内側手前には怪しげな形の雌しべ。まるでイソギンチャクの触手のようだ。その奥には絹糸状の無数の雄しべが林立する。今年もまたその不思議な姿にしばし見入ってし...<月下美人>例年より一足早く初開花

  • <元興寺> 青空に映える“日本最古の瓦”

    【1400年の時を超えて今なお現役!】入梅直前の好天の日、久しぶりに日本最古の屋根瓦を見ようとふと思い立った。向かったのは世界遺産「古都奈良の文化財」の一つ元興寺(奈良市中院町)。お目当ては極楽坊本堂と禅堂(いずれも国宝)の屋根だ。そこには奈良時代以前の瓦がまだ多く残り、中には日本最初の仏教寺院・法興寺(飛鳥寺の前身)の創建当時の瓦も含まれる。茶や黒、灰色など様々な色彩の瓦が織り成す“行基葺き”の屋根が青空に映えて実に美しかった。法興寺(明日香村)は蘇我馬子が氏寺として約1400年前の6世紀末に創建した。その時、百済から渡ってきた瓦博士(職人)によって日本で初めて屋根に瓦が葺かれたといわれる。その後、法興寺は平城遷都に伴って718年、現在地に移築され寺の名も元興寺に改められた。移築に際して瓦や建築部材など...<元興寺>青空に映える“日本最古の瓦”

  • <スイバ(酸葉)> シュウ酸含む葉や茎に酸味

    【雌雄異株、英名「ソレル」サラダなど食用に】アジアやヨーロッパなどの温帯地域に広く分布するタデ科ギシギシ属(スイバ属とも)の多年草。。国内でも日当たりのいい野原や土手、畦道など至る所でよく見かける。春から初夏にかけ直立した茎(高さ50~80cm)を立ち上げ、穂状の円錐花序に小花をたくさん咲かせる。雌雄異株で、雌花をつける雌株の花色は朱紅色を帯び遠目にもよく目立つ。雄花は緑色から紅色まで幅が広い。葉や茎はホウレンソウやタケノコと同じくシュウ酸を多く含むため、口でかむと酸味がする。スイバの名前も文字通り「酸い葉」から。根生葉は先が尖った矢じり形の長楕円形で、上部の葉は基部で茎を抱くのが特徴。学名の「Rumexacetosa(ルメックス・アセトサ)」もラテン語で「槍(やり)」と「酸っぱい」を意味し、スイバの葉形...<スイバ(酸葉)>シュウ酸含む葉や茎に酸味

  • <ハルシャギク(波斯菊)> 「ジャノメソウ」の別名も

    【北米原産、明治初期に渡来】キク科ハルシャギク属(コレオプシス属)の1年草。原産地は北アメリカの中西部で、日本には明治初期に観賞用として入ってきた。こぼれ種でよく殖え、今では野生化して各地の空地や道端、野原、河川敷などでしばしば見られる。名前の「ハルシャ」や漢字の「波斯」は現在のイランを表すペルシャのこと。北米原産なのに「なぜ?」という疑問が湧くが、その由来はよく分かっていない。一説では北米からヨーロッパに伝わりペルシャ地方を経由して渡ってきたのでは、というのだが……。草丈は60~100cmで、6~7月ごろ茎の先に小花が集まった直径4cm前後の頭花を付ける。外側の舌状花は黄色やオレンジ色で、中心部の筒状花とその周りは濃い紅褐色のものが多い。それが蛇の目模様に見えるため「ジャノメソウ」や「ジャノメギク」とい...<ハルシャギク(波斯菊)>「ジャノメソウ」の別名も

  • <伏見稲荷大社> 豊作を祈って神田で「田植祭」

    【“御田舞”の中、菅笠姿の早乙女らが田植え】全国約3万社の稲荷神社の総本宮、伏見稲荷大社(京都市伏見区)で6月10日、神田に早苗を植えて豊作を祈る神事「田植祭」が営まれた。梅雨入り間近だが、この日の天候は幸い好天に。多くの見物客が早苗を植える茜襷(あかねだすき)に菅笠姿の早乙女たちの様子を見守った。順調に生育すれば10月25日の「抜穂祭(ぬきほさい)」で収穫される予定だ。田植祭はかなり古くから行われていたという記録もあるが、いつしか途絶えていた。それが復活したのは約90年前の1930年(昭和5年)。昭和天皇の即位記念事業の一つとして再開された。祭典は午後1時からの本殿での神事に続き、祭場を境内の一角にある神田に移して同2時から田植えが行われた。神田の広さは約330㎡。神田のお祓いに続いて、神職が田の安全と...<伏見稲荷大社>豊作を祈って神田で「田植祭」

  • <旧大乗院庭園> 名勝日本庭園でカラス騒動!

    【あちこちに「カラスにご注意を」の掲示】国の名勝に指定されている日本庭園「旧大乗院庭園」(奈良市高畑町)が“カラス騒動”に見舞われている。6月9日に訪ねたところ、「大乗院庭園文化館館長」名で赤字の「注意」と題するこんな文面の掲示があちこちに。「カラスが背後から飛来接近してくることがありますのでご注意ください※原因は現在調査中です」。日付は1週間ほど前の「6月2日」だった。中世の面影を残す数少ない名園だが、この注意書きもあって園路を巡る間、カラスの鳴き声が気になって仕方がなかった。大乗院は1087年創建の興福寺の門跡寺院。奈良ホテルの南側、古い町並みのならまちの東縁に位置する。元々は現在の奈良県庁の場所にあったが、1180年の平重衡による南都焼き討ち後この地に移った。作庭は足利将軍家に仕えた善阿弥によって始...<旧大乗院庭園>名勝日本庭園でカラス騒動!

  • <生駒・長久寺> 参道のアジサイ、まもなく見頃に

    【西洋アジサイやガクアジサイなど約800株】関東甲信地方が6日梅雨入りし、その他の地方でも入梅間近。梅雨空に映える草花といえば、やっぱりアジサイだろう。関西を代表するアジサイの名所の一つが奈良県大和郡山市の矢田寺。最盛期には60種1万株といわれるアジサイが咲き乱れる。だが奈良県内には他にも〝あじさい寺〟といわれるところがある。その一つが奈良市のすぐ隣に位置する生駒市上町の長久寺(ちょうきゅうじ)だ。長久寺は真弓山の山号を持つ真言律宗の古刹。寺に伝わる古文書によると、奈良時代の728年(神亀5年)に聖武天皇の命により僧の行基が開創した。天皇の狩りに随行した小野真弓長弓(たけゆみ)が息子の放った矢に誤って当たって亡くなり、天皇が菩提を弔うため建立したという。かつては20の塔頭(子院)を持つ大寺院だったが、今の...<生駒・長久寺>参道のアジサイ、まもなく見頃に

  • <ノキシノブ(軒忍)> 樹幹や岩に着生するシダ植物

    【葉の裏には2列に並ぶ胞子嚢群】東アジアに広く分布するウラボシ科ノキシノブ属の常緑シダ植物。苔むした樹の幹や岩、石垣などに着生し、胞子を飛ばして増えていく。ノキシノブの名は観賞用の「つりしのぶ」などに使われるシノブ(シノブ科シノブ属)と同じ着生植物で、古い民家の軒先などでよく見られたことによる。葉は光沢のある濃い緑色で、長さが10~20cmほどの先が尖った線形。葉の裏側には主脈に沿って左右2列に丸い胞子嚢(のう)が整然と並ぶ。科名のウラボシも「裏星」で、胞子嚢群(ソーラス)を星に見立てた。学名は「Lepisorusthunbergianus(レピソルス・ツンベルギアヌス)」。強健な植物で、明るい半日陰の環境を好み乾燥にも強い。日照りが続くと、葉をストロー状に丸めて耐え忍び次の降雨をじっと待つ。ノキシノブに...<ノキシノブ(軒忍)>樹幹や岩に着生するシダ植物

  • <JNO> 室内楽の好演に万雷の拍手

    【ゲストにベルリン・フィルのオーボエ奏者ら】奈良県文化会館国際ホールで6月3日「JapanNationalOrchestra&Friends~JNOメンバーと海外トップアーティストによる極上の室内楽」と銘打った演奏会が開かれた。ジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)はピアニストの反田恭平が創設し、コンサートをプロジュースする実力派の若手演奏家集団。この日は所属メンバーのうち10人が参加し、ピアニストの務川慧悟やベルリン・フィルのオーボエ奏者クリストフ・ハルトマンら4人がゲストとして加わって5曲を披露した。室内楽の醍醐味を堪能させてくれる息の合った演奏に、満席の会場からは万雷の拍手が鳴り止まなかった。反田恭平は昨年秋のショパン国際ピアノコンクールで、日本人としては内田光子以来51年ぶりの2位に入賞し一...<JNO>室内楽の好演に万雷の拍手

  • <オルレア> まるで純白のレース編み!

    【セリ科、「ホワイトレース」の別名も】近年人気が急上昇しているセリ科の園芸植物。原種は地中海沿岸地方などに自生する「Orlayagrandiflora(オルレア・グランディフローラ)」という学名を持つ植物で、これを改良したものが「ホワイトレース」(園芸品種名)や単に「オルレア」の名前で流通している。オルレアは「オルラヤ」と呼ばれることも。属名はロシアの医師・植物学者の名前に由来し、種小名は「大きな花の」を意味する。日本への渡来時期はよく分かっていない。元々は多年草だが、高温多湿を嫌うため日本では秋蒔きの1年草として扱われることが多い。タンポポのようにロゼット状で冬を越し、春になると細かく裂けた繊細な葉の間から細い茎を立ち上げ、直径が10~15cmもある花を付ける。先端が2つに裂けた純白の大きな花弁が内側の...<オルレア>まるで純白のレース編み!

  • <大和文華館> 「朝鮮美術の精華―絵画と工芸」

    【関わりの深い日本、中国の作品を含め50点】大和文華館(奈良市学園南)で「朝鮮美術の精華―絵画と工芸」展が開かれている。「朝鮮半島の絵画と工芸」「朝鮮王朝の美術と東アジア」の2部構成で、仏画や山水画、花鳥画、民画、陶磁器などの朝鮮美術・工芸品に、関連する中国や日本の作品も加え50点(いずれも同館蔵)を展示している。庭園の「文華苑」では今ちょうどササユリが開花中。この淡いピンク色の清楚な花を一目見ようと訪れる人も多いようだ。会期は6月26日まで。陳列品のうち朝鮮王朝時代(1392~1910)前期の「漁村夕照・平沙落雁図」の2幅は15世紀の宮廷画家・安堅筆と伝わる水墨淡彩。細緻な筆遣いで夕暮れなどの景観が詩情豊かに描かれている。2年がかりの修復後、今回が初公開。同中期の文人画家李継祜筆「葡萄図」は躍動的な筆致...<大和文華館>「朝鮮美術の精華―絵画と工芸」

  • <チガヤ(茅/茅萱)> 茅の輪、萱拭き、止血・消炎…

    【旺盛な繁殖力、〝世界最強の雑草〟とも】アジアやアフリカなど世界の暖帯に広く分布するイネ科チガヤ属の多年草。日当たりのいい野原や土手、道端などでごく普通に見られる。草丈は30~80cmで、5~6月ごろ茎の先に円柱状の花穂(長さは10~20cm)を立てる。初めは赤紫色を帯びるが、やがて白く光沢のある毛が密生した小穂が開き尾状になる。若い花穂を「茅花(つばな)」と呼び、群生し一面を覆う様子を「茅花野」という。草丈の低いチガヤで覆われた野原は「浅茅原(あさじはら)」。チガヤは分類学的にはサトウキビに近く、若い穂にはほのかな甘味がある。最古の歌集万葉集にはチガヤを詠み込んだ歌が20首以上あるが、中には紀郎女が大伴家持に贈ったこんな歌も。「戯奴(わけ)がためわが手もすまに春の野に抜ける茅花ぞ食(め)して肥えませ」(巻8-...<チガヤ(茅/茅萱)>茅の輪、萱拭き、止血・消炎…

  • <ソプラノ藤井玲南> ギター大萩康司と初共演

    【イタリア古典歌曲やバッハ・グノーのアヴェ・マリアなど】ソプラノの藤井玲南とギター大萩康司のデュオリサイタルが5月28日、奈良県コンベンションセンター(奈良市)の天平ホールで開かれた。今年で10回目を迎えた音楽の祭典「ムジークフェストなら2022」の一環。「奈良は修学旅行以来」という藤井は、大萩の洗練されたギター伴奏に乗せて透明感あふれる歌唱を披露した。初共演とは思えない息の合った名演で、ピアノ伴奏とはまた違った味わいがあった。藤井は東京芸大卒業後渡欧して研鑽を積み、ドヴォルザーク国際声楽コンクール、日本音楽コンクールなど内外で入賞を重ねてきた。三大テノールの一人ホセ・カレーラスと共演したこともあるという。一方、大萩も高校卒業後に渡欧し、フランスやイタリアの音楽院で学んだ。中世音楽から現代曲までレパートリーの広...<ソプラノ藤井玲南>ギター大萩康司と初共演

  • <ジャーマンアイリス> 和名ドイツアヤメ、原産地は不詳

    【カラフルで豪華な花姿、米国中心に続々と新品種】アヤメ科アヤメ属の多年草で、学名は「Irisgermanica(イリス・ゲルマニカ)L.」。属名のイリスは「虹」のことで、ギリシャ神話の虹の女神イリスに因む。ゲルマニカは「ドイツの」。この種小名からドイツ原産と思われがちだが、原種や原産地ははっきりしていない。地中海沿岸などヨーロッパのいくつもの野生種が交雑する中で生まれた。学名後尾の「L.」は命名者が〝分類学の父〟といわれるスウェーデンの生物学者カール・フォン・リンネ(1707~78)であることを示す。たまたまドイツから持ち込まれたためリンネがドイツ産と勘違いして命名した結果、後にジャーマンアイリスの名前で世界に広がったといわれる。日本には明治時代の1900年前後に米国から渡ってきたらしい。和名のドイツアヤメは学...<ジャーマンアイリス>和名ドイツアヤメ、原産地は不詳

  • <アシスタシア> 総状花序に可憐な筒状花

    【熱帯地域に約70種、別名に「赤道桜草」など】アシスタシアはキツネノマゴ科アシスタシア属の植物の総称。東南アジアやアフリカ、太平洋諸島などの熱帯地域に70種ほどが分布する。ツル性の常緑多年草で、草丈は60~150cm。総状花序に直径2~4cmの紫やピンク、白などの可憐な筒状花を付ける。花冠は星型に5裂する。熱帯植物のため暑さに強いが、寒さには弱い。このため日本では温室で栽培され、屋外栽培の場合は寒くなる頃室内に取り込む必要がある。1年草扱いされることも多い。(写真はアシスタシア・イントルサ)属名のアシスタシアは「a(否)」と「systasia(一致する)」の合成語で、「一致しない」や「矛盾する」などを意味する。これはキツネノマゴ科の植物の中でアシスタシア属の花姿が異なっていることからの命名。キツネノマゴ科でよく...<アシスタシア>総状花序に可憐な筒状花

  • <平城宮跡資料館> 春期特別展「保存運動のあけぼの」

    【史跡指定100周年・奈文研発足70周年を記念し】奈良時代が終わって都が京都に遷って以降、平城宮跡は長く田畑になって見る影もなくなっていた。その宮跡の保存運動が急速に高まるのは1900年代の初め。当時の都跡(みあと)村の有志が1901年(明治34年)第二次大極殿の土壇跡に標木(ひょうぼく)を建てたことが運動の魁(さけがけ)となった。今年は平城宮跡の史跡指定から節目の100周年。発掘調査を担う奈良文化財研究所も発足70周年を迎えた。奈文研はそれを記念して平城宮跡資料館で春期特別展「未来につなぐ平城宮跡-保存運動のあけぼの」を開いている(会期は6月12日まで)。会場には2本の標木や当時の運動の様子を物語る関係資料が多数展示されている。それらは既に失われていたとみられていた貴重なものばかり。近年地元の旧家に保存されて...<平城宮跡資料館>春期特別展「保存運動のあけぼの」

  • <国史跡「頭塔」> 破石町バス停から〝丸見え〟

    【ホテル撤去で駐車場に「見学の方はご自由に」の掲示も】奈良市高畑町の住宅街の一角に〝奈良のピラミッド〟と呼ばれる方形7段の土塔がある。その名は「頭塔」。大きさは基壇の一辺が約32m、高さは約10m。ちょうど100年前の1922年(大正11年)に国の史跡に指定された。先日、市内循環バスに乗るため破石町バス停へ。そこで背後の西側に目を向けると、広い更地の先に頭塔が丸々姿を見せていた。以前は大きなホテルの陰に隠れ、バス通りからはほとんど見えなかった。ところが新型コロナの直撃を受けたホテルが休業の末、昨年の夏に解体されたとのこと。以来、市民や観光客が立ち寄っては写真に収めているそうだ。頭塔があるのは東大寺の南大門から南へ約1キロ。奈良公園の観光名所の一つ、浮見堂からも程近い。バス停前の更地はロープなどで囲まれていた。た...<国史跡「頭塔」>破石町バス停から〝丸見え〟

  • <ブタナ(豚菜)> ヨーロッパ原産の帰化植物

    【別名「タンポポモドキ」細長い花茎に黄花】キク科エゾコウゾリナ属の多年草。原産地はヨーロッパで、日本には昭和初期に牧草や穀物飼料に混入して渡ってきたといわれる。今では世界各地に帰化植物として広がっており、国内でも空地や公園、野原、河川敷などでごく普通に見られる。花期は5~9月頃。高さ30~60cmの細長い花茎を立ち上げ、途中で2~3本に分岐してそれぞれの茎頂に直径3~4cmのタンポポに似た黄花を1つずつ付ける。根出葉はロゼット状に地面に広がり、踏み付けや刈り取りに耐え寒さにも強い。白い綿毛が付いた種を風で飛ばして仲間を増やす。ブタナ(豚菜)の名前はフランスの俗名「Saladadepore(豚のサラダ)」をそのまま訳したもの。約90年前の1933年に北海道の札幌で最初に見つかった時はその花姿から「タンポポモドキ」...<ブタナ(豚菜)>ヨーロッパ原産の帰化植物

  • <平城宮いざない館> 万葉植物画展~アートと万葉歌の出逢い

    【77作品+山中麻須美「奇跡の一本松」特別出展】最古の歌集「万葉集」には約4500首のうち3分の1に当たる約1500首に植物が詠み込まれている。その種類は海藻類を含めると160種。それらのほぼ半数の77種を描いた〝ボタニカルアート〟の展示会が3月26日~5月18日、平城宮跡歴史公園(奈良市)の平城宮いざない館で開かれた。題して「万葉植物画展~アートと万葉歌の出逢い」。77作品に加え英国キュー王立植物園の専属ボタニカルアーティスト山中麻須美さんが描いた「奇跡の一本松」も特別出展されていた。同展は今後、長野や東京など各地を巡回する。作品制作の中心となったのは「日本植物画倶楽部」の会員たち。同倶楽部は植物画の愛好者が集まり1991年に発足した。これまでに『日本の帰化植物図譜』や『日本の固有植物図譜』なども刊行している...<平城宮いざない館>万葉植物画展~アートと万葉歌の出逢い

  • <関西フィル> ラフマニノフ「ピアノ協奏曲2番」

    【奈良出身の原田莉奈、渾身の名演奏】関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏会が5月15日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。この日は県内各地で音楽イベントが22日間にわたって展開される「ムジークフェストなら2022」の開幕日。関西フィルのコンサートは東大寺大仏殿でのオープニングコンサートに続いて行われた。会場の国際ホール(約1300席)は満席の盛況。演奏会は映画音楽2曲から始まった。行進曲風のバリー・グレイ作曲「サンダーバードのテーマ」と、弦楽器だけによる哀愁を帯びたミシェル・ルグラン作曲の「シェルブールの雨傘」(いずれも川上肇編曲)。観客が最も楽しみにしていたのは続くラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」だろう。この曲も映画ファンにはお馴染み。「逢びき」「旅愁」「七年目の浮気」などで使われ、さらにアニメ「のだめカ...<関西フィル>ラフマニノフ「ピアノ協奏曲2番」

  • <奈良市写真美術館> 没後30年入江泰吉「文楽」展

    【約80年前に撮影した入江の出世作】奈良市写真美術館(高畑町)は冠に「入江泰吉記念」と付くのが正式名。奈良市出身の写真家入江泰吉(1905~92)の没後、全作品約8万点が寄贈されたのを機に1992年に開館した。入江は戦後、大和路の風景や草花、仏像などを撮り続けたが、終戦前までは大阪で写真店を営んでいた。近くに「人形浄瑠璃文楽座」があった。知人の紹介でそこに通い続けて撮った「文楽」シリーズは彼の出世作となった。その「文楽」の代表作を一堂に紹介する〝回顧展〟が開かれている(6月26日まで)。入江が初めて文楽に興味を抱いたのは、知人の洋画家から文楽人形の撮影を頼まれたのがきっかけ。それを機に1939年から約5年間、四ツ橋にあった文楽座に足繁く通った。そこで入江が精魂を傾けて撮った写真が館内の壁面を埋め尽くしていた。『...<奈良市写真美術館>没後30年入江泰吉「文楽」展

  • <ムギ(麦)> 古く大陸から渡来した五穀の一つ

    【奈良時代には各地で栽培、万葉集にも2首】イネ科の1年草または越年草で、米・稗(ヒエ)・粟(アワ)・豆とともに「五穀」の一つに数えられている。麦は大麦、小麦、燕麦、ライ麦などの総称。原産地は中央アジア~西アジアの高原地帯で、乾燥や寒さに強い。日本には弥生時代に中国から朝鮮半島を経てまず大麦が伝わり、少し遅れて小麦が入ってきた。登呂遺跡(静岡市)など弥生時代の遺跡からは炭化した麦の粒が見つかっている。鎌倉時代以降、麦は稲の裏作物として国内各地で広く栽培されるように。かつては麦といえば利用範囲が広い大麦を指した。一説によると、大麦の「大」にも小麦より「価値が大きい/上等」といった意味が込められているという。大麦には実が6列に並ぶ六条大麦(小粒大麦)と2列の二条大麦(大粒大麦)があり、六条は主に北陸や関東以北、二条は...<ムギ(麦)>古く大陸から渡来した五穀の一つ

  • <ヤドリギ(宿木/寄生木)> 半寄生植物、脅威の生存戦略!

    【鳥が排泄したネバネバの種子が枝に着生し発芽】ビャクダン科ヤドリギ属の常緑小低木。その名の通り、ケヤキやエノキ、サクラ、コナラ、ブナなどの落葉樹に寄生する。宿主から栄養や水分を吸い取るが、ヤドリギ自身も光合成を行っているため〝半寄生植物〟と呼ばれる。枝の固まりが樹上でこんもりとした丸い茂みを作って、遠目にはまるで鳥の巣や造り酒屋の杉玉のよう。雌雄異株。2~3月ごろ黄色い小花を付け、初冬に球形の果実を結ぶ。(写真は4月下旬、奈良市の平城宮跡で)学名は「Viscumalbumsubsp.coloratum(ビスクム・アルブム(サブスピーシーズ)コロラツム)」。属名はラテン語で「鳥黐(とりもち)」、種小名は「白い」を意味する。その属名が表すようにヤドリギの果実には強い粘り気があり、小鳥などを捕獲するための鳥黐として用...<ヤドリギ(宿木/寄生木)>半寄生植物、脅威の生存戦略!

  • <橿考研付属博物館> 春季特別展「八雲立つ出雲の至宝」

    【荒神谷の銅剣・銅矛、平所遺跡の「見返りの鹿」…】奈良県立橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)で春季特別展「八雲立つ出雲の至宝」が始まった。同博物館は施設改修中の2021年春、島根県立古代出雲歴史博物館(出雲市)で奈良県内の主な出土品を展示する「しきしまの大和」展を開催した。今回の特別展はいわばその〝返礼〟。国宝に指定されている荒神谷遺跡の銅剣・銅矛・銅鐸や加茂岩倉遺跡の銅鐸など、島根県出土の第一級考古資料が一堂に展示されている。会期は6月19日まで。荒神谷遺跡の発見は38年前の1984年の夏。出雲市の農道工事に伴う発掘調査で358本もの銅剣が発見された。さらに翌年にはすぐそばで銅矛16本と銅鐸6個が見つかった。遺跡名は近くに「三宝荒神」が祀られていたことから。その11年後の1996年、今度は雲南市加茂町の農道...<橿考研付属博物館>春季特別展「八雲立つ出雲の至宝」

  • <ショウブ(菖蒲)> 端午の節句に不可欠な植物

    【全草に独特な香気、邪気払いや薬用に】ショウブ科(サトイモ科とも)ショウブ属の多年草。北半球の水辺や湿地に広く分布する。葉は細長い剣状で長さ50~150cm。中央部分には太い葉脈の中肋(ちゅうろく)が走る。5~7月ごろ、毛筆のような肉穂花序(長さ5~6cm)に無数の淡い黄緑色の小花を付ける。漢字表記は花が美しいハナショウブ(花菖蒲)やアヤメ(菖蒲)と同じ。しかも葉の形がよく似て、ショウブが古く「あやめ」や「あやめぐさ」と呼ばれていたこともあって混同しやすい。だが分類上は全く関係がない。ショウブの葉や茎は精油成分を多く含み、揉んだり傷つけたりすると独特な香りを漂わせる。その香気が邪気を払い疫病を除くと信じられてきた。またショウブの読みが「尚武」や「勝負」につながることから、子どもの武運長久を願う端午の節句(5月5...<ショウブ(菖蒲)>端午の節句に不可欠な植物

  • <東大寺> 「聖武天皇祭」遺徳を偲んで

    【練り行列は規模縮小、舞楽奉納は屋内で】華厳宗大本山東大寺(奈良市)で5月2日「聖武天皇祭」が営まれた。大仏(廬舎那仏)の造立を発願した聖武天皇(701~756)の命日に遺徳を偲ぶもので、天皇殿での御忌法要に続いて、大仏殿内で大勢の参拝客が見守る中「慶讃法要」が執り行われた。ただ最大の見どころの一つでもある練り供養は、新型コロナ感染防止のため今年も規模が縮小され、人気の煎茶振る舞いは中止、鏡池での舞楽・能の奉納も会場を屋内に移し人数制限の中で行われた。聖武天皇を祀る天皇殿は巨大な金剛力士像で知られる南大門そばの参道東側にある。入り口の勅使門には十六八重菊紋の幕が張られ、正面の天皇殿には華やかな五色幕。この敷地内はいつもは立ち入りできないが、この日は法要の間だけ開放されており参拝客が次々に訪れていた。午前中に「御...<東大寺>「聖武天皇祭」遺徳を偲んで

  • <橿原神宮> 重文織田家柳本陣屋御殿「文華殿」公開

    【高い格式を示す千鳥破風や華麗な彩色欄間】橿原神宮(奈良県橿原市)の境内南側に「文華殿(ぶんかでん)」と呼ばれる重要文化財の建物「織田家柳本陣屋御殿」(旧織田屋形)がある。現在は大きな素屋根に覆われており、2020年から6年がかりで保存修理中。ただ期間限定で特別公開しており、その内側に入って工事の様子を見学できる。屋根瓦約3万枚、お城のような千鳥破風、美しい欄間の彩色彫刻、コケに覆われた庭園……。その格式の高い豪華な造りは予想以上のものだった。特別公開は5月8日まで。旧織田屋形は織田信長の弟長益(有楽斎)の五男・尚長を藩祖とする柳本藩の陣屋御殿(現在の天理市柳本町)。1830年に焼失したが、14年後に再建された。その後、明治維新を経て大書院と玄関部分が1877年から柳本小学校の校舎として使用され、校舎改築に伴っ...<橿原神宮>重文織田家柳本陣屋御殿「文華殿」公開

  • <アカメガシワ(赤芽槲・赤芽柏)> 別名「御菜葉」「菜盛葉」

    【〝先駆樹種〟裸地でいち早く発芽し急成長】トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉樹。日当たりのいい山野に生え、大きなものは高さが10mにも。公園や空地、道端など身近な場所でもしばしば見かける。春、枝先に鮮やかな紅色の若芽を出すのが特徴。アカメガシワの名前もその赤芽と、大きな葉が古くからカシワ(ブナ科)と同じように食べ物を載せたり包んだりするものとして利用されてきたことによる。そのため「御菜葉(ごさいば)」や「菜盛葉(さいもりば)」などの別名を持つ。雌雄異株で、6~7月ごろ、穂状の円錐花序に花弁のない小花を多くつける。雄花は淡黄色、雌花は赤みを帯びた黄緑色。有用植物の一つで、葉や樹皮は神経痛や胃痛などの民間薬として用いられ、花や葉は草木染の染料として活用されてきた。学名は「Mallotusjaponicus(マロツス...<アカメガシワ(赤芽槲・赤芽柏)>別名「御菜葉」「菜盛葉」

  • <ナラノヤエザクラ> 100年前に再発見の貴重種

    【「いにしえの奈良の都の八重桜…」と歌に詠まれ】ナラノヤエザクラはカスミザクラの変種で、本来の一重咲きが重弁化したものといわれる。「ノ」を省いてナラヤエザクラとも呼ばれる。花径は3cmほどとやや小ぶりで、30~35枚の花弁が重なり合う。開花時期は桜の中で最も遅く、4月下旬から5月上旬にかけて見頃を迎える。ヤマザクラ同様、若葉と花が同時に展開し、白っぽい咲き始めの花弁が咲き進むにつれて次第に淡紅色を帯び濃さを増していく。伝承によると、奈良時代に聖武天皇が春日の奥山で見つけ、光明皇后にせがまれて平城宮に移植させたという。古くから歌に詠まれてきたが、中でも有名なのが平安中期の女流歌人、伊勢大輔(生没年不詳)が詠んだこの歌。「いにしえの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな」。小倉百人一首にも収められている。一条天皇...<ナラノヤエザクラ>100年前に再発見の貴重種

  • <京都地名研究会> 創立20周年記念パーティー

    【来賓の日本地名研所長「来年の全国大会は京都で」】京都地名研究会(小寺慶昭会長)は4月24日、京都市の都ホテル京都八条で「創立20周年記念パーティー」を開いた。この研究会は京都を起点に各地の地名を比較研究しながら地域の文化と歴史への認識を深めようと2002年春に発足した。パーティーには約50人が出席。来賓の日本地名研究所所長金田久璋氏は祝辞の中で、来年の「第42回全国地名研究者大会」を京都で開催する計画であることを明らかにした。(写真は記念パーティーで挨拶する小寺慶昭会長)京都地名研は発足以来、研究発表の場として地名フォーラムや講演会の開催、年会誌「地名探求」や会報「都藝泥布(つぎねふ)」の発行、地名ウオークの開催などに取り組んできた。現在の会員数は京都府を中心に14都府県の116人。活動を長く牽引してきたのが...<京都地名研究会>創立20周年記念パーティー

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