目醒め
海辺で 遠い過去を思い出す 潮風は耳もとで咽び泣き 砂浜を白く濁った波がまどろみ 私は素足のまま 何処までも歩いた 今更止まる事なんかできない 冷たい波が押し寄せ 残したばかりの足跡を消していく 私は潮の香を胸一杯に吸い込みゆっくりと吐き出した 気怠いカラダの力が抜けていく… 決して負けたくなかったあの時に 負けることを選択した ー私がー 「私」自身を裏切り傷つけ追い詰めた ただ悔しくて夜通し泣き明かした日 それでも世の中何ひとつ変わらない たった独り取り残された空虚な世界 振り返れば ー私がー 「私」を押し潰そうとしていた臆病者に過ぎなかったのだと気付いた瞬間 今日も 私は歩き続ける 負ける…
2021/10/12 16:32