春子さんの茶の間 その9
春子さんが花絵さんと住田君のことを話し合ってから随分時間が経った。 あれは十六夜の月が美しい秋の夜、もう半年も前のことだったのかと、大切なことを 放り出したままにしておいた自分に呆れてしまった春子さん。 この間少し体調を崩してそれを花絵さんに知られたくなくて、つい長いご無沙汰になった。 住田夫人に不信を抱いたまま花絵さんの方からも、このことについては何の話もなかった。 そうして春子さんも大分元気になり、気持ちの整理もできたので、やっと花絵さんとじっくり 話せると思っていた矢先に突然花絵さんの訃報が届いた。 春子さんは愕然として悲しみのどん底に沈んだまま、浮き上がることが出来ずにいた。 冷たい雨が降りしきる夜に、花絵さんは心不全で一人で逝ったのだという。 だんだん事情が分かってきてもどうして?何故?あの元気だった花絵さんが。と彼女の死を 受け入れ..
2019/05/31 15:16