西脇順三郎 / 詩集「宝石の眠り」から「まさかり」

西脇順三郎 / 詩集「宝石の眠り」から「まさかり」

まさかり夏の正午キハダの大木の下を通って左へ曲ってマツバボタンの咲く石垣について寺の前を過ぎて小さな坂を右へ下りて行った苦しむ人々の村を通り一軒の家からディラン・トマスに似ている若い男が出てきた私の前を歩いていったランニングを着て下駄をはいて右へ横切った近所の知り合いの家に立ち寄った「ここの衆まさかりを貸してくんねえか」永遠詩というと西脇順三郎。バッグの中に入れておきたいものが、その詩を読める文庫本、他の本。「宝石の眠り」は未刊詩集だったもので1963年に西脇順三郎全詩集が刊行された時に入れられたもの。この「まさかり」もなんとも言えず彼のものらしさがあって印象に残る。ウェールズの詩人ディラン・トマス(1914~1953)のイメージが出てくるのもそうだし、新潟弁も味を与えてくれている。というよりそれがあるから同県...西脇順三郎/詩集「宝石の眠り」から「まさかり」