マーメイド クロニクルズ 第二部 第8章−4 トミー、託児所を抜け出す(再編集版)
電話は向かいのビルの三階の託児所にいる、8才になったばかりの息子トミーからだった。「ママ、もうレッスン終わった?」「うん、ちょうど終わったよ」「おちょいよ〜。もうつかれた」「ごめんね。着替えたらすぐ迎えに行くから、もう少し待っててね」「うん・・・・・・」納得したようなしないような返事をして、トミーは携帯の電源を切った。トミーは思った。そうだ。こっちからママをお迎えに行こう。お着替えにはいつも30分はかかる。きっとビックリするぞ。もしかするとお兄ちゃんになったねってほめてくれるかも知れない。大丈夫さ。いじわるな託児所のおばさんの目を盗んで通りを渡れば、ヌーヴェルヴァーグ・タワーはすぐそこだ。トミーは決心すると、託児所の壁にかかっていたダウンジャケットを保母に気づかれないようにこっそり手に取った。いつもトミーをしか...マーメイドクロニクルズ第二部第8章−4トミー、託児所を抜け出す(再編集版)
2020/12/21 00:00