第一部 第6章−9 逆鱗に触れる
真っ赤になった孔明の顔が次に怒りで黒くなると、三人は後ずさった。「ナオミ、逃げろ。まさかクリストフが孔明に触れられるとは思っていなかった」チャックが、絞り出すように言った。孔明が、構えをとる。さっきまでとは比べものにならない禍々しいくせに、同時にあやしいまでに美しい龍がいた。威圧感どころではない。右手が振られると光りの流れが生まれてすいこまれそうになる。龍が足を高くあげると虹の流れが空気を切り裂いた。虹は高く空まで続くかと思われた。龍が移動すると闘気が渦を巻いた。カンザス名物の竜巻かと錯覚するようなつむじ風が起きた。龍の潮の流れに乗るような動きにはわずかのムダもなかった。雨の少ないカンザスだったが突風が吹き雨雲が忽然とわき出てきた。怒気を感じてナオミはクリストフが孔明の逆鱗に触れたのがわかった。中国の伝説では、...第一部第6章−9逆鱗に触れる
2019/12/30 00:00