多和田葉子「太陽諸島」
「地球にちりばめられて」「星に仄めかされて」から続く三部作の、完結編。何で知ったのか覚えていないが、「地球に~」を読み始めて、心待ちにしていた作品だ。自分の祖国を失ったHirukoが、様々なルーツを持つ男女とともに、自分の祖国を探す旅に出る。とにかく東を目指した一行はロシアの方に向かう船で様々な人々と出会う。当たり前だが、この作品だけを読んでも全く分からないので、先に他二冊を読んでおく必要がある。作品としての自立性はあまりないが、それぞれが完結していることは確かである。とにかく文章が秀逸で、多言語で成り立つ一行の様子を、日本語で見事に描いている。別に多くの人が評価することは私にとっては重要ではないが、もっと評価されるべき作品だ。現代的であり、かつ、非常に鋭い感性を持っている。絶対読むべき作品一つであること...多和田葉子「太陽諸島」
2023/02/28 18:53