鬱ノ宮高校の悲劇 第17話「エピロオグ」 鬱ノ宮高校新聞部の部室。 こういう場所は15年経っても意外と変化しないものだ。 記念式典が終わって、 そこを訪れたのは現理事長と現教頭。 元新聞部部長の小沢七雲と、 新聞部と敵対していた元風紀委員長、右田翼だ。 「入れ」 尊大な女子の声。 …
鬱ノ宮高校の悲劇 第16話「嘘をつかない仕事はやっぱりいい」 「理事長!」 スーツ姿の30歳前後の若者が駆けて来て言った。 「式典の準備ががもうすぐ整うぞ!」 石碑の前にしゃがみこんでいた、 理事長と言われた人物が振り返る。 「わかりました。右田教頭先生」 赤い髪の、やはり30くらいの女性。 髪型は少し変わったが、 童顔は高校生…
鬱ノ宮高校の悲劇 第15話「制御下でしか制御できない」 ジリリリリリリリ 遠くでは民井理事長が携帯電話に叫んでいる。 「そうだ! USA高校に大至急救援を頼め! そうだ! もう意地を張ってる場合じゃない! あ、あとEU学園猿故事分校にも連絡を!」 民井教頭も指示に必死だ。 「そうです! USSR高校に支援要請を! チェルノブ○リでは…
鬱ノ宮高校の悲劇 第14話「どうしてそんなことに」 「仕方がない。私が行こう」 まず滅多に部室の外に出ない緑子も、 この時は校庭にいた。 ジリリリリリリリリリリ 非常ベルは鳴りっ放し。 生徒も教職員も校庭で右往左往している。 「えっ? 大丈夫なの?緑子ちゃん。 不死だから平気なの?」 七雲がベルに負けないよう大声で尋ねる。 「平気…
鬱ノ宮高校の悲劇 第13話「死にに行けと言ってるのと同じ」 ジリリリリリリリリリ 朝から鬱高校舎内に非常ベルが鳴り響く。 「容器内、温度圧力ともに上昇!」 「燃料棒露出、損傷拡大!」 「溶融、再臨界の可能性はないのかッ」 「弁を開いて○○性ガスを放出します!」 「使用済○○○プール付近から煙が!」 「水素爆発でコンクリート製の囲いが吹っ…
鬱ノ宮高校の悲劇 第18話「それぞれの前夜」 右田核栄とその実子翼。 畳敷きの広い道場に正坐して向き合っている。 「未来や子孫のための政治…だと?」 「御意ッ」翼は両手をついたまま答える。 「ふふん。…よぉく聞け、翼。 ワシは戦前の生まれだ」 「はッ」 「当時の大人どもがワシらに…
鬱ノ宮高校の悲劇 第11話「俺のせいにされてたまるか」 密室に男が2人。 そのうちの背の低いほう、民井幸教頭が言う。 「兄さん。逃げ腰の逃電に任せきりではなく、 理事長や教頭が指揮をとるべき、 という声があがってるんですが…」
鬱ノ宮高校の悲劇 第10話「自分の痛み他者の痛み」 「前に廊下で怒鳴っているのを聞いたんじゃが」 そう前置きして緑子は言う。
鬱ノ宮高校の悲劇 第9話「再会」 渡り廊下の展示用フリースペース。 新聞部長小沢七雲と鬱高風紀委員会が、 壁新聞を前に押し問答をしている。 「その批判めいた紙切れをはがせ」 そう言ったのは風紀委員長、右田翼。 「今は鬱高生が一致団結して国難に対処すべき時だ」 普段は能天気な七雲も、 コワモテな男どもに囲まれてさすがに顔色が青い。 …
鬱ノ宮高校の悲劇 第8話「批判はやめろという批判」 新聞部部室。 部長の七雲が大きな紙を広げて、 壁新聞を製作中だ。 「おい。もっと何というか…ホームページとかフェイスブックとか、 そういう現代的な発信手段はないのか」 緑色の髪の不死の少女、緑子があきれたように言う。 「今どき壁新聞って…」 七雲が顔を上げる。 「うるさいゾ、緑子ちん…
鬱ノ宮高校の悲劇 第7話「鬱高風紀委員会」 どことなく新撰組を思わせる水色と白の旗。 中央にくっきり浮かぶ一文字は「誠」、 …ではなく「風」。 泣く子も黙る鬱高風紀委員会の市中見回りだ。 学校指定のブレザーではない、特注の紫紺の学ラン。 左腕の腕章にはやはり「風」の一文字。 列の先…
鬱ノ宮高校の悲劇 第6話「八百万の神々に感謝を」 化学室の発電施設から○○○漏れが止まらない。 一方、ここは夜の料亭。 化学の主任逃田は太った老人と差し向かいに座っていた。 「右田理事長~。 お願いします~。 助けてくださいよぉ~」 鬱ノ宮高校で長らく絶大な権力を握っていた、 前理事長右田核栄。 そのテラテラ脂の沁み出た顔は下野した…
鬱ノ宮高校の悲劇 第5話「右田 核栄」
不二原 緑子 (ふじわらの みどりこ) 鬱ノ宮高校の2年生で新聞部員…
鬱ノ宮高校の悲劇 第3話「今後の推移を見極めつつ」 地震から×日目の朝礼。 毎朝、教頭の民井弟が日課の報告を行う。 黒地に白字で「鬱」と抜いてある校旗に深々と一礼すると、 小太りの体躯が壇上をトコトコ駆け上がった。 地震以来、青いジャンパーを着たまんまだ。 生徒たちは秘かに青カ…
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