■彼は誰れ時に魔と再逢045■
「私は悪徳除霊師ではありませんから、弱みに付け込み謝礼を釣り上げる様な卑しい真似はいたしません。最初に約束した10万円。其れだけ頂けば結構です」姉妹は顏を見合わせ頷いた。「では。契約成立。お望み通り。悪霊を除霊して進ぜましょ」男は嫌味な程に深々と頭(こうべ)を垂(た)れる。「聴け悪しき霊どもよ。最後の通告を無視した報いを受けよ。愚かな者等に道はひとつ」動いたり止まったりする調理器具。不可解に閉じたり開いたりを繰り返す戸棚。誰も触れていないのに動き回る椅子やテーブル。お辞儀をしたままの男は微動だにしない。霊を除くに必要な熟成時間なのか、能力が拮抗して水入り待ちなのか、はたまた除霊師は悪霊に気圧され失神寸前なのか。騒乱と静寂が居並ぶ中で、次々と割れていく食器と動き回る家具家電。「獣霊(けだものれい)には制裁を!」呼...■彼は誰れ時に魔と再逢045■
2020/02/28 01:05