■彼は誰れ時に魔と再逢021■
「此れは、ご依頼頂いたご家庭には漏れなくお配りさせて頂いている、次回すぐ利用できるクーポン券であります。今回お役に立てなかったのにお渡しするのは心苦しいのですが、もしまた霊的現象が起きました際には、割引させて頂きますのでご笑納ください」がっくり肩を落とし籠氏万は、クーポン券と前金を入れたくしゃくしゃの封筒をテーブルに置くと、重い足取りで機材を引き摺り去っていった。「俺は最初っから嫌な予感がしてたんだよ。なんだよ此の缶空(かんから)は。中国製の偽ゲーム機かよってくらい中スカスカじゃねーかよ」カゴシマン消霊が片付け忘れて行った機材を乱暴に蹴り飛ばす無量塔(むらた)。蓋が開き、中から小さな基盤と小学校の工作で使いそうな電池ボックスが転がり出る。結果、撮影初日に参上したのは、招かれざるオシロ婆さんと有言空振りして退散し...■彼は誰れ時に魔と再逢021■
2020/01/29 23:07