■鉄の匂い171■
もしかしたら目的は姉妹であって、所長は巻き添えだったのかもしれない。だとしたら犯人がまた襲ってくるかもしれないこの家での生活は危険だ。次女と長女は暫くの間、長男の所に身を寄せることになった。姉妹は殺人犯に怯えているが、長男は犯人を知っている。長男は犯人を姉妹に告げるだろうか。いや、告げまい。警察が嗅ぎ付けない限りは『僕』を売らないと約束したのだ。知らない体で姉妹を匿うのだろう。姉妹はだからもう集配所には来ない。集配所は最年長の集配員が取り仕切ることになった。葬儀の翌日の朝礼で新体制が発布され若干手際は悪くなったが作業は再開された。『僕』は長男との約束があるので、暫くはこの集配所での仕事を辞めることは出来ない。暫くとは果たしてどれくらいを言うのか。長男から指示があるまでか。長男から指示はあるのか。不自然でない辞め...■鉄の匂い171■
2019/05/31 22:41