『論理哲学論考』を読む
ある理由(その理由はレビューとは関係ないので、ここでは述べない)からヴィトゲンシュタイン(長いので以下W)の『論理哲学論考』(以下『論考』)を持つ必要が出て、これまで敬遠していたが、せっかくなので読んでみることにした。この光文社古典新訳文庫版には、冒頭に野家啓一が高校生に向けて『論考』のアウトラインを解説したという体裁で書いた「高校生のための『論考』出前講義」という付録があって、それが『論考』を読むための重要な指針とヒントを与えてくれる。けれども、残念ながら『論考』はこれだけで読み進められるような代物ではなく、私は野矢茂樹の『『論理哲学論考』を読む』(以下『読む』)を傍らに置いて、その助けを借りながら読んだ。『論考』は、若干30歳の若き哲学者が哲学の問題を本質的な点において最終的に解決したと宣言し、20世...『論理哲学論考』を読む
2024/11/24 11:52