良心的兵役拒否者―メノナイト 1

メノナイト(Mennonite，メノー派) 「キリスト教再洗礼派教会の一派。オランダのメノー＝シーモンス（Menno Simons 1496-1561）によって始められた。北アメリカに多く居住。新約聖書に基づき絶対平和主義を唱える。」―大辞林 第二版，三省堂。 このキリス

良心的兵役拒否の歴史―8

1517年―。 ドイツにおけるルターの「95か条の意見書」をきっかけに宗教改革が起こり、その後多くのプロテスタント教会が誕生することとなりました。 その中の再洗礼派(アナバプテスト)から派生したグループの中に、初期クリスチャン同様の非戦・非暴力思想を持つものが

良心的兵役拒否の歴史―7

宗教改革により、西暦4世紀以降ヨーロッパを支配していたキリスト教の正義の戦争論、および十字軍思想に風穴が開けられました。 とはいえカルヴァン派のように、カトリックの戦争思想をほんとどそのまま受け継ぐ教派もあり、平和思想には依然、革新的な変化は見られてい

良心的兵役拒否の歴史―6

十字軍遠征の失敗は、ローマ教皇の権威の衰退の一因となりました。 14世紀には、フランス王によって教皇と教皇庁がアヴィニョンに移されたり、複数の教皇がならびたつといった事態も生じます。 そのような中にあって、ついにローマ教会に対する大々的な批判の声

良心的兵役拒否の歴史―5

西暦395年―。ローマ帝国は西ローマ帝国と、コンスタンティノープルを首都とする東ローマ帝国(ビザンツ帝国)とに分裂しました。 東ローマ帝国はこの後1,000年以上も存続しますが、西ローマ帝国は北方のゲルマン民族の侵入によって、486年に混乱の末、滅亡します。

良心的兵役拒否の歴史―4

カトリック教会は聖書の教えと、それに相反する戦争参加との調整をどのように図ったのでしょうか。 それは、「正義の戦争」論を打ち立てることによってでした。 例えば、三位一体論の基礎を固めたことで知られている教父、アタナシウス(295頃-373)はこう語っていま

良心的兵役拒否の歴史―3

神学者カール・バイトは、西暦313年の「ミラノ勅令」による「おどろくべき変化」についてこう語っています。 「この大転換の以前には、キリスト教共同体は戦争コンプレクスから全く離れて生きていた。…そのころには、今日われわれが良心的兵役拒否と呼んでいるものによ

良心的兵役拒否の歴史―2

歴史的証拠が明らかにしているように、初期のクリスチャンたちはたとえ命に代えてでも他の人を傷つけることを拒むことにより、良心的兵役拒否者の先駆けとなりました。 とはいえ時代が進み、「キリスト教徒」がローマ社会において政治的に責任ある階級に進出し始

良心的兵役拒否の歴史―1

「汝らの仇を愛し、汝らを責むる者のため祈れ」―。 これは新約聖書の「マタイ伝福音書」5章44節に記されている、イエス・キリストの言葉です。(旧新約聖書・文語訳，日本聖書協会) 私は、約二千年前に語られたこの言葉の中に、良心的兵役拒否の原点を見いだせる

チベットにおける人権問題

勝手ながら前回の予告とは内容を変更しまして、「チベット問題」に言及したいと思います。 かなり話題になっていますが、チベットにおける人権問題、とても気がかりです。 世界の各地で、中華人民共和国政府への抗議デモンストレーションや、北京オリンピック

良心的兵役拒否とは何か

皆さんもよくご存じの通り、21世紀に入ってからもなお、世界から戦火の絶えることはありません。 わたしたちは日々、テロや紛争、また人権抑圧に関するニュースを見聞きします。 ―果たして、世界から争いや憎しみがなくなる時は来るのでしょうか？ このWeblogで