般若経典のエッセンスを語る59――すべては名によって仮のものが実体に思える
以上、まず般若経典のエッセンスが非常によく表われていると思われる個所をご紹介してきた。これまで述べたことがおわかりいただけばもう終わりと言ってもいいくらいだが、般若経典自体はまだ果てしなく語っているので、筆者ももう少し引用しながら解説していこうと思う。次に「三仮品第七」という個所をご紹介したい。タイトルの意味は、私たちがものごとを実体的に捉えてしまう元は物事を名前で呼ぶことにあるということ、つまり名詞を使って把握し、名詞を使って把握して感受・認識し、それによって実体的な存在があると思ってしまうということである。これについて『昭和新纂国訳大蔵経』版の註に「……名・受・法の三、皆悉く仮説(けせつ)なるを説くなり」とある。先ほど木の話をしたが、「木」という名前(名)を使って木を見る。すると私たちはそれを「あそこ...般若経典のエッセンスを語る59――すべては名によって仮のものが実体に思える
2024/10/14 11:28