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2005/09/15

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  • 2024年2月~4月【日曜講座】「コスモス・セラピー+α(後期)」、2024年3月~5月【水曜講座】「マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む(後期)」のお知らせ

    2月、3月よりそれぞれスタートする講座の予定をご案内します。スタートに間に合わず、途中参加などをご希望でしたら案内の最後にあるお問い合わせ窓口から個別にお問い合わせください。【日曜講座】コスモス・セラピー+α(後期)サングラハ教育・心理研究所2024年2月から4月までの日曜講座のご案内です。開始するのは、これまで長く関わってくださったみなさんにも、新しく学びを始めたいというみなさんにも役立つ「コスモスセラピー+α」となります。サングラハでしか学べないコスモス・セラピーをアドラー心理学やフランクルのロゴセラピー、さらに唯識などとあわせて学んでいきます。受講の仕方については、2014年の東京講座の講義録画をYoutubeで視聴いただく形でご提供します。講座日には、受講者の同時視聴により一緒に学べるほか、1か月...2024年2月~4月【日曜講座】「コスモス・セラピー+α(後期)」、2024年3月~5月【水曜講座】「マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む(後期)」のお知らせ

  • 『サングラハ』第192号 目次

    『サングラハ』第192号が出ています。目次は以下のとおりです。お問い合わせは研究所のサングラハ192号のページよりお願いします。■巻頭言………………………………………………2■『正法眼蔵』「有時」巻講義(4)……………………岡野守也…3■「私がここにいるわけ」――高校生に語るコスモロジー(6)…高世仁……17■仏弟子たちのことば(22)アングリマーラ②………………………羽矢辰夫…24■グローバルな問題を解決するために人々が持つべき内面について――いくつかの提案を四象限コスモロジーで評価する(7)…………増田満……26■私のサングラハでの学び(2)……………………………毛利慧……34■サングラハと私(7)………………………………………三谷真介…36■講座・研究所案内……………………………………………………4『サングラハ』第192号目次

  • 般若経典のエッセンスを語る52――言葉と分別知

    何を以ての故に。名字は是れ因縁和合の作法なり、但だ分別憶想仮りに名を以て説く、是故に菩薩・摩訶薩、般若波羅蜜を行ずる時、一切の名字を見ず見ざるが故に著せず。』なぜそういう般若波羅蜜をやるのか。名前というものは、そもそも音節でできていて、それぞれの音節が、例えば「わ・た・し」とつながって言葉としての単語になるわけである。そしてその「わ・た・し」という言葉によって、「わ・た・し」という存在が他の人と分離して存在していると思う、分別・憶想をしている。そういうふうに、分別してものを考えるのは名前がついているからなのだ、と。あるいは逆に言うと、名前をつけるから分別・憶想が働くといってもいいだろう。以下は、すべてのつながりの話をするのにコスモス・セラピーの講義で使っているエピソードで、すでにご存知の読者も少なくないか...般若経典のエッセンスを語る52――言葉と分別知

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    最新記事「いのちの意味の授業1:コスモロジー」目次「いのちの意味の授業2:自信のワーク」目次「つながりコスモロジーとしての仏教1:ブッダと部派仏教」目次「つながりコスモロジーとしての仏教2:空と唯識」目次「つながりコスモロジーとしての仏教2:空と唯識」目次2善「つながりコスモロジーとしての仏教2:空と唯識」目次3意識上の根本煩悩「つながりコスモロジーとしての仏教2:空と唯識」目次4随煩悩「つながりコスモロジーとしての仏教2:空と唯識」目次5四智、六波羅蜜、涅槃般若経の学び:目次平和と調和の国へ:聖徳太子・十七条憲法他目次「持続可能な社会の条件―自然成長型文明に向けて」目次持続可能な国づくりとスウェーデン・モデル目次環境問題と心の成長目次メンタル・タフネス関連記事目次記事メニュー

  • 2023年12月から始まる講座予定:【水曜講座】「マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む(前期)」、【土曜講座】「ゼロから始める仏教入門」のお知らせ

    12月より始まる講座の予定をご案内します。スタートに間に合わず、途中参加などをご希望でしたら案内の最後にあるお問い合わせ窓口から個別にお問い合わせください。【水曜講座】「マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む(前期)」サングラハ教育・心理研究所2023年12月から2024年2月までの水曜講座のご案内です。古代ローマの哲人皇帝マルクス・アウレーリウスの『自省録』は、学生時代以来の座右の書です。「おお宇宙よ、すべて汝に調和するものは私にも調和する。・・・すべてのものは汝から来り、汝において存在し、汝へ帰って行く」個人も世界もいよいよ厳しい時代に突入した感がある現在、人間が宇宙の中で宇宙の一部として存在するという根底的な自覚を基に覚悟をもって真摯に生き死にするほかないと説くアウレーリウスの哲学を学び、人生哲学...2023年12月から始まる講座予定:【水曜講座】「マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む(前期)」、【土曜講座】「ゼロから始める仏教入門」のお知らせ

  • 般若経典のエッセンスを語る51――大乗における瞑想の深まり3

    ここで重要なのは次の説明である。何を以ての故に。舎利弗、但だ名字有るが故に菩提たりと謂ふ。但だ名字有るが故に菩薩たりと謂ふ、但だ名字有るが故に空たりと謂ふ。所以は何ん、「どうしてかというと、シャーリプトラよ、覚りという名前や文字、すなわち言葉があるので、言葉で覚りという言葉を言っているだけなのだ。ただ言葉があって、それで菩薩というふうに言う。空というのも同じで、空という言葉があるだけなのだ。なぜそう言えるかというと」諸法の実性は生無く滅無く垢無く浄無きが故にさまざまに区別できる存在の本性は、実はすべてが縁起の理法でつながっているということである。つながりがぜんぶつながっているとしたら結局は一体である。結局は一体のものには個別的な発生や消滅というのはない。分離していると「これは清らかだが、あれは汚れている」...般若経典のエッセンスを語る51――大乗における瞑想の深まり3

  • 般若経典のエッセンスを語る50――大乗における瞑想の深まり2

    この瞑想が深まっていくことを、指導の言葉として語ったのが、以下の個所で、鳩摩羅什訳『摩訶般若波羅蜜経』「捧鉢品第二」の後半部である。訳しながら解説していこう。舎利弗仏に白して言さく、『菩薩・摩訶薩云何が般若波羅蜜を行ずべきか。』シャーリプトラがブッダに「菩薩大士はどのように般若の智慧を修行したらよろしいでしょうか」と質問をした、と。これはまさに根本的な質問である。すると、答えは以下のようだったという。仏舎利弗に告たまはく、『菩薩・摩訶薩般若波羅蜜を行ずる時、菩薩を見ず、菩薩の字を見ず、般若波羅蜜を見ず、亦我れ般若波羅蜜を行ずるを見ず、般若の実践をするときには、そもそも私・菩薩ということを考えない。また、そもそも菩薩という言葉を使わない。それから「私と分離した智慧というものがどこかにあって、それを私が求める...般若経典のエッセンスを語る50――大乗における瞑想の深まり2

  • 般若経典のエッセンスを語る46――大乗における瞑想の深まり1

    *筆者の体調のため、なかなか連載を続けることができてきませんでしたが、ずっと待っていてくださる読者もいるようなので、推敲不十分だがとりあえず読んでいただける程度の文でも、断続的にはなると思うが、少しずつ掲載することにしました。なお、元の講義はDVDまたはyoutubeで視聴していただけます。サングラハ教育・心理研究所のHPの案内をご覧ください。『摩訶般若波羅蜜経』「広乗品第十九」に以下のような個所がある。復次に須菩提、菩薩・摩訶薩の摩訶衍(まかえん)とは、所謂三三昧(さんざんまい)なり。何等をか三となす、有覚有観(うかくうかん)三昧、無覚有観(むかくうかん)三昧、無覚無観(むかくむかん)三昧なり。云何が有覚有観三昧と名くるや。諸欲を離れ悪不善法を離れ、有覚有観、離生喜楽、初禅に入る。是を有覚有観三昧と名く...般若経典のエッセンスを語る46――大乗における瞑想の深まり1

  • 『サングラハ』第191号 目次

    『サングラハ』第191号が出ています。目次は以下のとおりです。お問い合わせは研究所のお問合せフォームへ。目次■巻頭言………………………………………………………………………………2■『正法眼蔵』「有時」巻講義(3)…………………………………岡野守也…3■「私がここにいるわけ」――高校生に語るコスモロジー(5)…高世仁……14■仏弟子たちのことば(21)…………………………………………羽矢辰夫…22■グローバルな問題を解決するために人々が持つべき内面について――いくつかの提案を四象限コスモロジーで評価する(6)……増田満……24■私のサングラハでの学び(1)……………………………………毛利慧……34■サングラハと私(6)………………………………………………三谷真介…35■講座・研究所案内……………………………...『サングラハ』第191号目次

  • 11月からの講座案内:コスモス・セラピー+α

    現代科学の世界観(コスモロジー)と心理学と仏教のエッセンスを統合したサングラハでしか学べない「コスモス・セラピー」(旧称、現在は「コスモロジーセラピー」)を、アドラー心理学やフランクルのロゴセラピー、さらに大乗仏教の深層心理学・唯識などとあわせてYoutubeで視聴で学んでいただけます。講座日に受講者がいっしょに学べるほか、YoutubeのURLをメールでお送りしますので、自分で好きな時間に視聴することもできます。全6回の講義を前期3回(11月、12月、来年1月)、後期3回(2月、3月、4月)の2期に分けてご提供します。(*なお講座の名称について、現在では「コスモロジー・セラピー」と呼んでいますが、当時のまま「コスモス・セラピー」にしていますので、ご了承ください。)【日曜講座】コスモス・セラピー+α(前期...11月からの講座案内:コスモス・セラピー+α

  • 『サングラハ』第189号、第199号 目次

    『サングラハ』第189号、第190号が出ています。目次は以下のとおりです。お問い合わせは研究所のお問合せフォームへ。『サングラハ』第189号目次■近況と所感………………………………………………………………………2■『正法眼蔵』「有時」巻講義(1)………………………………岡野守也…3■「私がここにいるわけ」――高校生に語るコスモロジー(3)…高世仁…17■仏弟子たちのことば(19)………………………………………羽矢辰夫…26■グローバルな問題を解決するために人々が持つべき内面について――いくつかの提案を四象限コスモロジーで評価する(4)……増田満……28■サングラハと私(4)………………………………………………三谷真介…36■講座・研究所案内…………………………………………………………………46■私の名詩選...『サングラハ』第189号、第199号目次

  • 『サングラハ』第187号、第188号 目次

    諸般の事情によりブログの更新ができないでいました。久しぶりの更新は『サングラハ』誌の最近2号の目次のご紹介です。『サングラハ』第187号目次■近況と所感………………………………………………………………………2■『正法眼蔵』「菩提薩埵四摂法」巻講義中………………………岡野守也…4■「私がここにいるわけ」――高校生に語るコスモロジー(1)…高世仁…19■仏弟子たちのことば(17)………………………………………羽矢辰夫…27■グローバルな問題を解決するために人々が持つべき内面について――いくつかの提案を四象限コスモロジーで評価する(2)……増田満……29■サングラハと私(2)………………………………………………三谷真介…36■講座・研究所案内…………………………………………………………………42■私の名詩選(8...『サングラハ』第187号、第188号目次

  • 般若経典のエッセンスを語る――六波羅蜜にあって八正道にはない「布施」

    強調点がぼやけてしまっているので、この前の部分では特に慈悲に関わる誓願の話に強調を置いて述べたが、次には、やはり空・智慧の基礎づけがなければ慈悲は大乗の慈悲にならないことを述べていく。「大乗」はサンスクリット語で「マハーヤーナ」という。「マハー」は「大きい」、「ヤーナ」は「乗り物」という意味で、音を漢字に移して「摩訶衍(まかえん)」となっている。日本語では「えん」と読むが、かつては「ヤーナ」に近い中国語の発音だったのだろう。一般的な仏教知識では、大乗はそれ以前の派を「小乗(ヒナヤーナ)」と呼んで全面的に批判・否定しているかのように語られることが多く、正直なところ筆者も般若経典をしっかり読み込むまでは、何となくそういうふうに思ってきた。しかし、以下は、大乗がそれ以前の部派仏教(小乗)をただ否定するのではなく...般若経典のエッセンスを語る――六波羅蜜にあって八正道にはない「布施」

  • 般若経典のエッセンスを語る47――智慧と慈悲のバランスを

    最初のほうで、大乗仏教は一言で言ってしまうと「智慧と慈悲」であること、そして智慧は空・一如に裏づけられていることを述べた。日本では明治以降、もっとも典型的には京都大学の哲学科の主任であった西田幾多郎が、坐禅の実践をベースにした思索によって、西洋の哲学の概念と、禅の空いわば東洋を、ひとつの哲学に統合して体系づけるという仕事をした。西田の最初のまとまった著作は『善の研究』であり、それ以後の著作も含め次第に日本の知識人・教養人たちの教養書・基本図書になっていった。そのように、日本の仏教に関する文化全体の中核の一つに京都学派宗教哲学があり、その源泉に西田幾多郎という人物がいて、さらにその背後に臨済禅がある。そこでなされた「無」や「空」という概念の哲学的な詮索、およびそこから出てくるさまざまな文化的なムードがあった...般若経典のエッセンスを語る47――智慧と慈悲のバランスを

  • 般若経典のエッセンスを語る46――「四弘誓願」+仏国土建設という理想

    さて最後に、かつて本ブログでも書いたが、改めて「四弘誓願(しぐせいがん」について書いておきたい。『大般若経』で三十一項目にもわたって述べられた菩薩の誓願を、中国の天台宗を開いた天台大師智顗(ちぎ)は主著『摩訶止観(まかしかん)』の中で四つにまとめていて、「四弘誓願」という。「大変広い四つの誓願」という意味で、なぜ「弘・広い」のかと言うと、私だけではなくてすべての衆生に関わるものだからである。日本仏教では古くから天台宗だけではなく多くの宗派で、この「四弘誓願」が唱えられてきたようである。派によって言葉は少し違うようだが、以下、臨済宗で用いられているテキストをあげる。衆生無辺誓願度(しゅじょうむへんせいがんど)煩悩無尽誓願断(ぼんのうむじんせいがんだん)法門無量誓願学(ほうもんむりょうせいがんがく)仏道無上誓...般若経典のエッセンスを語る46――「四弘誓願」+仏国土建設という理想

  • 般若経典のエッセンスを語る45 ――すべての人が真理を学び覚る世界にしたい

    第二十六願は「楽無上大乗(ぎょうむじょうだいじょう)の願」という。自分だけでなくすべての人、そして人だけでなく生きとし生けるものすべての救いを目指す人々を「菩薩大士」といい、そうした菩薩の集まりを「大乗」という。「楽」は「らく」ではなく「ぎょう」と読み「望む」という意味である。菩薩は自分だけでなくすべての人が大乗仏教を望み志すようにしてあげたい、と願うのである。第二十七願は「遠離増上漫結(おんりぞうじょうまんけつ)の願」である。ところが、少し修行し特殊な体験をしたからからといって、究極の覚りに到っていないのに到ったと思い込み、途中でいい気になることを「増上慢」という。「結」は思い込み・煩悩といった意味で、自分にも他者にもさまざまな問題をもたらす。しかし、いわゆる教祖や高僧には、そうした増上慢の人が少なくな...般若経典のエッセンスを語る45――すべての人が真理を学び覚る世界にしたい

  • 般若経典のエッセンスを語る44――エコロジカルに持続可能な福祉世界の構想

    続いて、残り第三十一願まで大まかに見ていこう。第十八願は「得五神通慧(とくごじんずうえ)の願」といい、すべての衆生が五種類の神通力を得られるようにという願である。第一は「天眼通(てんげんつう)」といって、天界や地獄など死後の世界を見通す力、第二は「天耳通(てんにつう)」で、あらゆる言語・音声を聞くことのできる力、第三は「他心通(たしんつう)」で、他者の心の様子をしる力、第四は「宿命通(しゅくみょうつう)」で、前世のことを知る力、第五は「如意通(にょいつう)」(または神足通)で、意のままに飛行したり居場所を変えたりする力で、つまりすべての人に超人的な能力を具えさせたいというのである。面白いのは第十九願で、「無種々大小便穢(むしゅじゅだいしょうべんえ)の願」という。古代インドのことだから、トイレや下水道など大...般若経典のエッセンスを語る44――エコロジカルに持続可能な福祉世界の構想

  • 般若経典のエッセンスを語る43

    *諸般の事情で長い間中断していましたが、また少しずつでも「般若経典のエッセンスを語る」の続きを書いていくことにしました。第十六願は「無諸趣差別並六道名字(むしょしゅさべつならびにろくどうみょうじ)の願」という。「諸趣」とは、天・人間・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄の六つの生存形態すなわち「六道」のことで、菩薩は天界から地獄まですべての違い・差別をなしてしまい、六道という名称さえなくすことを願とするのだという。これもまた大変な願である。第十七願は「無四生差別(むししょうさべつ)の願」で、差別をなくすというのは、人間だけの話ではない。仏教では「四生」といって、生まれ方によって生命の種類を四つに分けている。卵で生まれるものが「卵生」、母胎から生まれるものが「胎生」、それから当時は科学が発達していないから、湿気から湧い...般若経典のエッセンスを語る43

  • 『サングラハ』185号がでました!

    『サングラハ』185号が出ました。発送も終わっていますので、読者のみなさんのお手元には間もなく届くと思います。お待ちください。まだ読者でにみなさん、以下の「近況と所感」「目次」「編集後記」で推測していただけるような内容です、よろしければぜひご購読ください。お問い合わせ サングラハ教育・心理研究所(smgrh.gr.jp)近況と所感これまで体験したことのないほどの大型台風が多くの被害を出して日本列島を縦断した後、急に涼しくなりました。被害に遭われたみなさんに心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧-復興をお祈りいたします。当研究所の関係者のみなさんはいかがでしたか?いつも神仏・天地自然・ご先祖さまにみなさんのご無事をお祈りしています。筆者の住む香川県は自然災害がとても少ないところで、ニュースで知るかぎりでは、...『サングラハ』185号がでました!

  • 2022年10月〜12月の講座予定

    サングラハ教育・心理研究所リモート講座のお知らせ学びの秋になってきました。みなさん、いかがお過ごしですか。以下の通り、10月〜12月の講座予定が決まりましたので、お知らせします。ご一緒にさらに深めていきましょう。どうぞ、お申し込みください。サングラハ教育・心理研究所岡野守也【日曜講座】「無明と智慧の深層心理学――『唯識三十頌』を学ぶ」第三期人はなぜ死を恐れ、なぜ強欲になりがちで、なぜ戦争をし、なぜ自分の生きる基盤である自然を破壊するのか。大乗仏教の深層心理学・唯識は、すべてのものを分離独立したばらばらのものと見る見方・分別知・無明が心の奥底にまで固く固着していることが原因であることを、きわめて正確に指摘し、にもかかわらず人間は、無明を超えて、すべてがつながり合い(縁起)・一体(一如)であることを心の奥底ま...2022年10月〜12月の講座予定

  • 『サングラハ』第184号「近況と所感」

    少し遅れましたが、『サングラハ』第184号の「近況と所感」も掲載しておきます。実際の暑さのピークはまだこれからです。八月は平年並みかそれ以上の暑さになりそうだと天気予報は言っています。日本中、記録的な大雨で被害が出ました。被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。その他、一つ一つ改めて書くのはやめておきますが、国内外で、いろいろ好ましくない出来事がこれでもかこれでもかと起こってきています。読者のみなさんは、ご無事・お元気でしょうか。いつも、みなさんのご無事・ご健康をお祈りしています。*筆者は、もともと瀬戸内海の生まれで、若い頃は暑さには比較的強く、夏は好きな季節だったのですが、最近はとても強いとは言えず、ここのところ毎年、夏が終わると、「何とかやっと生き延びた」という感じです。とはいっても、筆者...『サングラハ』第184号「近況と所感」

  • 『サングラハ』第183号近況と所感

    『サングラハ』第183号の発行のお知らせの時、「近況と所感」を掲載するのを忘れていました。問題山積の時代にあって、心が折れないためのヒントになるかと思い、掲載することにしました。参考にしていただけると幸いです。爽やかだった季節が終わろうとしています。季節は確実に移っていきます。「無常は仏法なり」(道元)。皆さんはいかがお過ごしですか。お元気でしょうか。あまり元気の出るニュースのない昨今ですが、それでも生かされて生きている日々は貴重です。生きることが許されている間は、日常をしっかり丁寧に生きたいものです。*ウクライナのあまりにも厳しい状況のニュースが毎日のように報道されています。私のまわりには、そうしたつらいニュースにずっと触れて、ご自分もとてもつらくなってしまっている方たちも少なくないようです。そういう方...『サングラハ』第183号近況と所感

  • 『サングラハ』第184号が出ました!

    お待たせしました。『サングラハ』第184号が出ました。混迷の深まる時代をどう生き抜くかのヒントをが語られています。どうぞ、ご購読ください。目次■近況と所感………………………………………………………………………………………2■『正法眼蔵』「生死」巻講義上………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論8――全地球的(グローバル)な危機について……岡野守也…19■書評『人新世の「資本論」』における「脱成長コミュニズム」(5)…増田満……28■講座・研究所案内……………………………………………………………………………………38■私の名詩選(83)寒山詩…………………………………………………………………………40編集後記今号、普通には「心が折れる」世の現状に対する、いわば対処法の特集となっていま...『サングラハ』第184号が出ました!

  • 『サングラハ』第183号が出ました!

    『サングラハ』第183号が出ました。目次は以下のとおりです。目次■近況と所感………………………………………………………………………………2■「典座教訓」講義(6)……………………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論7――宇宙は光、死は光の国への帰郷…………………………………………岡野守也…16■仏弟子たちのことば(15)………………………………………………羽矢辰夫…29■書評『人新世の「資本論」』における「脱成長コミュニズム」(4)…増田満……31■講座・研究所案内………………………………………………………………………38■私の名詩選(82)千家元麿「麥」……………………………………………………40『サングラハ』第183号が出ました!

  • 2022年7月〜9月の講座予定

    戦争や環境破壊が止まりません。このままでは人類の近未来に希望を見出すことが難しい時代になっています。そのもっとも深い原因は、すべて――例えば「我々」と「やつら」、「人間」と「自然」――を分離したものと捉える人間の浅知恵=分別知にあると思われます。私たちは、これまでとは根本的に違うすべてがつながっており究極的には一つであると捉える本当の智慧(ちえ)を学ぶことによってのみ、未来に確かな希望を見出すことができるでしょう。当研究所は、今期も分別知を超える本当の智慧の探究をさらに持続します。講座はすべて遠隔(リモート)ですから、まさに遠隔地の方も参加できます。すでに北からも南からも多くの方が参加してくださっています。皆さんもぜひどうぞ。【日曜講座】「無明と智慧の深層心理学――『唯識三十頌』を学ぶ」第二期大乗仏教の深...2022年7月〜9月の講座予定

  • 2022年4月〜6月の講座予定

    ●有史以来人類は、根本的には無明である知恵・分別知で文明を発展させてきましたが、同時に多くの問題を生み出し続けています。戦争も環境破壊も無明が生み出したものだと考えてまちがいありません。今やこのままでは人類の近未来に希望を見出すことが難しい時代になっています。私たちは、これまでとは根本的に違う本当の智慧を学ぶことによってのみ、未来に確かな希望を見出すことができるでしょう。当研究所は今期も、分別知を超える智慧の探究を持続します。講座はすべてリモート・遠隔で、まさに遠隔地の方も参加していただけます。これまで参加が難しかった皆さん、ぜひご参加下さい。【日曜講座】「無明と智慧の深層心理学――『唯識三十頌』を学ぶ」第一期人はなぜ死を恐れ、なぜ強欲になりがちで、なぜ戦争をし、なぜ自分の生きる基盤である自然を破壊するのか。大...2022年4月〜6月の講座予定

  • ヒトはなぜ戦争するのか――ウクライナ侵攻という状況の中で

    *ウクライナ侵攻という危機的な状況の中で感じ考えていることを、『サングラハ』誌の第182号の「近況と所感」に書きました。状況が状況なので、たくさんの方に早く読んでいただきたく、刊行に先立って本ブログに掲載することにしました。「近況と所感」少しずつ暖かくなってきて桜の季節が近づいていますが、とても残念なことにのどかな気分にはなれない時代になってしまいました。……*ロシアがウクライナに侵攻し、戦争が始まってしまいました。多くの方同様、筆者もまさかここまでのことが起きるとは思ってもいませんでした。日を追うにつれ事態が深刻化していて、心が痛みます。亡くなられた方々のご冥福、避難を余儀なくされた方々、残って戦っている方々のご無事を心から祈ります。できるだけ慎重に情報を確認した範囲で――例えば侵攻を始める前にプーチン氏が書...ヒトはなぜ戦争するのか――ウクライナ侵攻という状況の中で

  • 戦争などしている時ではない

    言っても聞く耳を持たない人には届かず、聞く耳のある人ならすでにわかっていることなので、改めて言ってもすぐに効果はないにしても、それでも言っておきたいことがあるものです。全人類が共通の祖先から生まれたいわば一つの親族であるという事実――これは疑いようのない生物学的事実だと思われます――からすれば、戦争はしてはならないことですし、その事実を自覚していれば、決してしたくならないはずのことです。しかしきわめて残念なことに、国家、民族、宗教、イデオロギーなどなどが違っていると、全人類の本質的一体性が見えなくなり、分離していると錯覚して対立・抗争することになります。確かに人類には、国家、民族、宗教、イデオロギーなどの違いはありますが、それは現われたかたちとして区別できるということであって、本質的には分離しているということで...戦争などしている時ではない

  • 『サングラハ』第181号が出ました!

    目次■近況と所感………………………………………………………………………………2■「典座教訓」講義(4)……………………………………………………岡野守也…5■仏弟子たちのことば(13)………………………………………………羽矢辰夫…20■書評『人新世の「資本論」』における「脱成長コミュニズム」(2)…増田満……22■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(8)…………………………三谷真介…31■講座・研究所案内………………………………………………………………………42■私の名詩選(80)『正法眼蔵』「梅華」巻より……………………………………44『サングラハ』第181号が出ました!

  • 問題山積の新年ですが……

    年末・年始はゆっくりして、今日から本格的に仕事を始めます(リモート土曜講座:「深い気づきのメソッド――六波羅蜜を学ぶ」)。サングラハ教育・心理研究所は1月18日で満30年になるのですが、コロナがなかなか収まらないので、特別な記念行事的なことは当面行なわず、これまでやってきたことをさらに続けていきます。それにしても、仕事始めのご挨拶くらいは書いたほうがいいかなと思っていたら、以下の過去の記事(混迷状況も実体ではない:唯識のことば35、2017.3.06)を思い出しました。これはこのまま今の心境なので、再掲させていただきます。*どのようにして、さまざまな外的対象が目の前に現象するにもかかわらず、それが実体的な存在ではないと知るのか。……一には、差異のある識という相を知ることである。たとえば、餓鬼、蓄生、人間、天人は...問題山積の新年ですが……

  • 般若経典のエッセンスを語る42――独裁者のいない社会を目指す

    第十四願は、いわば第十三願の補足で、「無形色差別の願」という。「形色(ぎょうしき)」とは、形・身体のことで平たい言葉で言えば「見た目」で、見た目・外見のきれい・汚いによる差別をなくしたいというのである。皆が平等に金色に輝いて美しい国にしたい、と。それは、皆が存在しているだけで等しく仏の子としての価値があるからである。けれども、現代の日本では、男女ともに外見・外面が美しいか美しくないかが価値の大きな物差しになっていて、密かな、時にはあからさまな差別を生み出しており、存在そのものや内面の価値を見る眼がかなり薄れているように思える。それは、物質的外面ばかりに目が向き精神的内面を見失いつつある近現代の世界観(K・ウィルバーの言う「平板な世界(フラットランド)コスモロジー」)の典型的な現われの一つだが、古代の日本のリーダ...般若経典のエッセンスを語る42――独裁者のいない社会を目指す

  • 『サングラハ』第180号が出ました!

    目次■近況と所感……………………………………………………………………………2■「典座教訓」講義(3)……………………………………………………岡野守也……5■コスモロジー心理学各論(7)――なぜ空は青いか?………………………岡野守也……17■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(12)……………………………………大井玄………22■仏弟子たちのことば(12)…………………………………………………羽矢辰夫……33■『人新世の「資本論」』における「脱成長コミュニズム」(1)………増田満……35■講座・研究所案内…………………………………………………………………………42■私の名詩選(79)『万葉集』紅葉の歌…………………………………………………44編集後記おかげさまで第一八〇号に到達しました。間もなく創刊三十年、引き続きよ...『サングラハ』第180号が出ました!

  • 2022年1月〜3月の講座予定

    サングラハ教育・心理研究所2022年上期講座案内これまでも繰り返してきましたが、残念ながらこれまで(有史以来)のものの見方・やり方は、ものごとすべてを基本的にばらばらに分離・独立したものと捉える〈分別知(ふんべつち)〉をベースにしたものであり、個人の心にも社会・世界の状況としても、多くの問題を生み出してきました。そして今や問題が山積みになっており、このままでは、近未来に希望を見出すことが難しい時代になっています。けれども、これまでとは根本的に違うものの見方であるほんとうの智慧、すべてがつながっており究極は一つであることに目覚めた〈無分別智(むふんべつち)〉とそれをベースにすべてのもののそれぞれの姿を適切に捉える〈無分別後得智(むふんべつごとくち)〉を学び身につけることができれば、私たちは、個人としても社会・世界...2022年1月〜3月の講座予定

  • リモート講座「コスモロジーセラピー入門」②

    10月に続きコスモロジーセラピーの二回目の入門講座を行ないます。ところで、読者のみなさん、私たちが今日・ここで生きていることの始まりはいつだと思われますか。現代科学の宇宙論・コスモロジーの標準仮説を私のこととして理解すると、それは138億年前ということになります。え?!と思われるかもしれません。考えてみましょう。138億年前に私たちの宇宙が誕生したとされていますが、もし宇宙が誕生しなかったら、私は誕生できたでしょうか?できなかったと思われます。つまり、138億年前に宇宙が誕生してくれたから、138億年経って私が誕生できたのですね。とすると、宇宙の誕生は私の誕生の準備だった!宇宙の始まりは私の始まりの始まりだった!ということになります。しかも、138億年の間にはずいぶんたくさんの出来事があったと想像されますが、そ...リモート講座「コスモロジーセラピー入門」②

  • 般若経典のエッセンスを語る41――格差のない社会を目指す

    第十三願は、「無上中下家族差別の願」である。まったく平等な社会・仏国土には、もちろんのことそれを構成している家族にも上流・中流・下流の格差があってはならないということである。……「私は渾身の努力をし身命を顧みず……我が仏の国土の中にはこのような下流・中流・上流の家族の差別がなく、一切の有情がみな金色に輝いて美しく人々が見たいと思うような最高に充実した清らかな様子になるようにしよう」と。汚らしくてみすぼらしい下流階級がいるような国は、仏教精神の国ではない。そういう意味で、聖徳太子以来、建前としては日本はそういう国であってはならなかったのである。格差社会は日本という国のあるべき姿ではない。西洋由来の民主主義とかヒューマニズムももちろん一定の意味や有効性があると思うが、それと並行して、あるいはそれ以前に、私たち日本人...般若経典のエッセンスを語る41――格差のない社会を目指す

  • 般若経典のエッセンスを語る40――身分差別のない社会を目指す

    第十願は、「金沙布地の願」で、汚い泥や石や茨などばかりの国土を、国中が砂金のような宝に満ちたすばらしい国土にしたいというのである。それから第十一願は、人々が貪欲・無明によって悪業をなすことに執着していることから遠く離れさせてやりたいという「遠離恋著悪業の願」である。この二つは、内容的には第九願までの補足のようなものなので、簡略に紹介するだけにしておこう。全三十一願のなかでも特筆すべきだと思うものの一つが、次の第十二願「無四種色類貴賎差別の願」である。人々が四種類に分けられ貴賤の差別がなされている状態をなくしてしまいたいというのである。古代のインドに四種類の貴賎の別があったことは、一般常識としても例えば世界史の教科書などに語られているとおりである。まず宗教者階級のバラモン、次に武士・貴族階級のクシャトリア、さらに...般若経典のエッセンスを語る40――身分差別のない社会を目指す

  • 般若経典のエッセンスを語る39――すべてのひとにとってバリアフリーな国を

    それから面白いのが、第九の「無雑穢業国土平坦の願」である。菩薩の建設する仏国土では汚れや危険なものがまったくなく、土地は平坦であるようにしたいという。いわば、お年寄りや体の不自由な人のためだけでなく、すべての人にとってバリアフリーな国を建設したいというのである。……悪しきカルマによる障害があり、住んでいうところの土地に〔危険なほどの〕高低の差があり、堆積や溝、汚れた草や切り株、毒のとげやいばら、汚染が充満しているのを見たならば……この菩薩大士はそのことをよく観察してからこう考える。「私はどうすればこうした諸々の有情を救いとって貪欲を離れ欠乏のない状態にしてやれるだろうか」と。……有情の居場所の土地が平らであり、園や林、池や沼にはさまざまな香りの花々が咲き乱れて美しく、はなはだ愛すべきであるようにしよう」と。……...般若経典のエッセンスを語る39――すべてのひとにとってバリアフリーな国を

  • 般若経典のエッセンスを語る38――不幸な場所をすべてなくす

    八番目は「離三悪趣苦の願」で、すべての生き物・人々を三つの悪い・不幸な生存形態から離れさせたいという願である。……菩薩大士が……もろもろの有情が三つの悪い生存形態、一には地獄、二には畜生、三には餓鬼の世界に堕ちているのを見たならば……「私は渾身の努力をし身命を顧みず……我が仏国土の中には地獄・畜生・餓鬼の世界がなく、またそういう三つの悪い生存形態の名前さえなく、一切の有情が良い生存形態に包み取られるようにしよう」と。……神話的な仏教の世界観では、今生で善業を積まず悪業を重ねていると、人間界でもより悪い状態に生まれ変わり、悪業が重いとより下の生存形態に堕ちることになっていて、最悪がすべて苦しみの世界である地獄、それから何を食べてもしても満足のできない餓鬼、性欲と食欲のことしか考えられない畜生、絶えず争い傷つけあっ...般若経典のエッセンスを語る38――不幸な場所をすべてなくす

  • 『サングラハ』第179号が出ました

    *『サングラハ』読者のみなさん、最新の第179号が出ました。発送済ですので、間もなくお手元に届くと思います。ご愛読ください。目次■近況と所感……………………………………………………………………………2■「典座教訓」講義(2)……………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論(6)…………………………………岡野守也…15■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(11)………………大井玄……20■仏弟子たちのことば(11)………………………………………羽矢辰夫…27■『インテグラル心理学』を手にして(2)………………増田満……29■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(7)…………三谷真介…38■講座・研究所案内……………………………………………………………………50■私の名詩選(78)西行の秋の歌…...『サングラハ』第179号が出ました

  • 10〜12月の講座予定のご案内

    サングラハ教育・心理研究所講座関係者のみなさんやや秋めいてきました。寒いくらいのところもあるようです。いかがお過ごしですか。日本も世界も状況は流動的ですが、私たちは静かで動かされない心を保ちたいものですね。10月〜12月の講座日程が決まりました。すべてZoomによるリモート講座です。タイトルがまだ仮のものもありますが、早めにご予定に入れていただくため、お知らせします。土曜講座「『仁王般若経』全講義』続2カ月に1回4時間集中を、今後は毎月1回2時間に変更します。すでに決まっていた11月6日1日を10月9日と11月6日に分け、時間も14:00〜16:00とします。すでにお申込み済の方は受講料のお支払いが11月6日分で終わっていますので、追加の必要はありません。*なお、プログラムは未定ですが、次の土曜講座は12月4日...10〜12月の講座予定のご案内

  • リモート講座「コスモロジーセラピー入門」案内

    バラ星雲しばらくお休みしていたコスモロジーセラピーの講座を久しぶりに行ないます。「居場所」という言葉がありますが、私たちのもっとも広い居場所は宇宙です。そして、誰もが宇宙の中に生きているので、ほんとうには居場所のない人などこの世には一人もいません。そのことに気づいていないと、「自分には居場所がない」「ひとりぽっちだ」という気がしてきますが、宇宙が居場所だと気づくと、もうそういう気持ちはなくなってしまいます。そんな大きな話で気持ちが楽になるのだろうかと疑問に思う方もいるかもしれません。でも、その大きな話が自分のことだと実感できれば、心がとても広く爽やかですっかり楽になるのです。コスモロジーセラピーは、「宇宙という大きな話が実は私の話なんだ」と実感するためのプログラムです。知識的な内容のかなりの部分は本ブログに公表...リモート講座「コスモロジーセラピー入門」案内

  • 般若経典のエッセンスを語る37ーすべての人が覚れるように

    第七願は六波羅蜜についてのまとめともいうべき願で、「必得正定聚の願」という。「すべての人々を必ず覚れると定まった種類の人にしよう」というのである。……菩薩大士がつぶさに六波羅蜜多を修行していて、諸々の有情に三種類の差別があり、一は覚れないと定まっている人々、二は覚れると定まっている人々、三にはどちらとも定まっていない人々があることを見たならば……「我が仏国土の中には覚れないと定まった人々およびどちらとも定まっていない人々の名前さえなく、すべての有情が必ず覚れると定まった人々であれるようにしよう」と。スブーティよ、この菩薩大士は、このような六種類の波羅蜜多によって速やかに完成することができ、この上なく正しい覚りにかぎりなく接近するのである。大乗以前の仏教では、人間には生まれつき覚れないと決まった人、どちらとも決ま...般若経典のエッセンスを語る37ーすべての人が覚れるように

  • 般若経典のエッセンスを語る36

    第六願は六波羅蜜の第六「智慧」に関する願、「正慧成就の願」で、「正しい智慧が完成する」ようにという願である。……菩薩大士が般若波羅蜜多を修行していて、もろもろの有情が愚かで悪知恵があり、世間的と超世間的な正しい見方をどちらも失っており、善悪の業と業の結果を無視し、死ねばすべては終わりとこだわり、永遠に存在するものがあるとこだわり、実体的一体性にこだわり、分離した多様性にこだわり……種々の誤った見方があるのを見たならば……「私は渾身の努力をし身命を顧みず……我が仏国土の中にはこのような悪知恵がありまちがった見方に執着するような有情たちがおらず、すべての有情に正しい見方と種々のすばらしい智慧を成就させ、三種類の神通力(過去世を知り、未来世を知り、煩悩を尽くす)を具えさせよう」と。……すでに述べてきたように仏教では、...般若経典のエッセンスを語る36

  • 般若経典のエッセンスを語る35

    第五願は六波羅蜜の第五「禅定」に関する願、「禅定成就遠離諸蓋散動」で、「禅定が完成しもろもろの心の乱れ・煩悩から遠ざかることができる」ようにという願である。……菩薩大士が禅定波羅蜜多を修行していて、もろもろの衆生が貪り、怒り、落ち込み、放心、はしゃぎ、後悔、疑いに覆われ、気づきを失い、気ままで、四種類の禅定、四種類の無量の禅定、四種類の物質性を超えた禅定さえ修行することができず、まして世間を超えた禅定を修得することなどできないことを見たならば……「私は渾身の努力をし身命を顧みず……我が仏国土の中にはそうした煩悩に心を動かされるような有情たちがおらず、すべての有情が自由自在にもろもろの禅定、無量の禅定、物質性を超えた禅定などに遊ぶことができるようにしよう」と。……仏教では、過剰な欲望や怒りや憎しみなどのネガティヴ...般若経典のエッセンスを語る35

  • 般若経典のエッセンスを語る35

    今日は、「終戦記念日」です。筆者は、「敗戦記念日」と呼んだほうが適切だと考えていますが。1945年8月15日の敗戦は、明治維新以来、「富国強兵」「欧米列強に伍す」「追いつき追い越せ」をスローガンに努力した大日本帝国が挫折したことを意味すると思われます。以後、日本国は、「強兵」は放棄して「富国」に向かい、経済復興、経済成長、ジャパン・アズ・ナンバーワン、一億総中流……の後、バブル崩壊、格差社会、少子高齢化社会、地方の衰退などなどの問題を抱え、直近はコロナ感染の拡大をコントロールしきれず、そしてきわめて広範囲の記録的大雨による災害がまだ続いています(雨が早く止むこと、災害がなるべく少ないことを祈っています。被災者の方に心からお見舞い申しあげ、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします)。日本はこれからどうなるのだろう...般若経典のエッセンスを語る35

  • 『サングラハ』第178号が出ました!

    目次■近況と所感……………………………………………………………………………2■「典座教訓」講義(1)…………………………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論(5)――なぜ昼と夜があるのか……………岡野守也…19■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(10)…………………………大井玄……23■仏弟子たちのことば(10)……………………………………………羽矢辰夫…34■『インテグラル心理学』を手にして(1)……………………………増田満……36■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(6)………………………三谷真介…45■講座・研究所案内………………………………………………………………………50■私の名詩選(77)西行の夏の歌…………………………………………………52編集後記今号から、主幹の新しい連...『サングラハ』第178号が出ました!

  • 金剛般若経講義リモート化のお知らせ

    〇下記の講座もリモート化しました。明日27日から、ちょうど『金剛般若経』の後半に入ります。今からでもお申込み可能です。◆日曜講座「『金剛般若経』を読む――「般若経典」を学ぶ」続飛鳥以来、日本人の心を深いところで育み支えてきた「般若経典」。その内容・意味を再発見―理解することは、現代日本人が根拠のあるゆるぎないアイデンティティを再確立するための必須の条件だと思われます。長期シリーズ「般若経典を学ぶ」は、そのための本格的で気長な取り組みで、現在は、もっとも初期の「般若経典」である『金剛般若経』を読んでいます。短い瞑想も合わせて、学んでいきます。途中からの参加も可能ですし、過去の講義もDVDまたはCDで学ぶこともできます。▼講師:研究所主幹▼テキスト:随時配布▼時間:13時半〜16時半▼参加費(各回):一般3千5百円...金剛般若経講義リモート化のお知らせ

  • 7月以降の講座予定

    サングラハ教育・心理研究所関係者のみなさんようやく7月以降の3講座の日程を決めましたので、取り急ぎお知らせします。今年の夏も暑くなりそうですが、「生死事大、無常迅速」ですから、「夏ノ暑サニモ負ケヌ」身心の構えを確立して、しっかり精進しましょう。予定を組んで、ご予約いただけると幸いです。研究所主幹岡野守也◆リモート水曜講座「『正法眼蔵』とやさしい瞑想によるやすらぎの時間」シリーズ『正法眼蔵』を学ぶ長期シリーズです。今回は「全宇宙そのものが経典である」という道元の常識を超えた、驚くべき、そして感動的な経典理解を述べた「仏経(ぶっきょう)」――他に「仏教」や「看経(かんきん)」という巻もありますが、今回は「仏経」を選びました――を共有すべくお伝えしたいと思っています。これまでの参加者のみんさんにとって、やさしい瞑想の...7月以降の講座予定

  • サングラハ第177号が出ました!

    目次■近況と所感……………………………………………………………………2■六波羅蜜を学ぶ(7)……………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論4――宇宙は光に満ちている……岡野守也…17■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(9)…………………大井玄……26■仏弟子たちのことば(9)………………………………………羽矢辰夫…39■未来の世界国家(5)……………………………………………増田満……41■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(5)………………三谷真介…48■講座・研究所案内………………………………………………………………54■私の名詩選(76)西行の初夏の歌…………………………………………56編集後記主幹の「六波羅蜜を学ぶ」が最終回となりました。大乗仏教の智慧波羅蜜は極めて深く、言葉を超...サングラハ第177号が出ました!

  • 「どうせ死ぬのになぜ産んだ」へのコメント

    世界や人生についての根本的な疑問を英語でビッグ・クエスチョン(BigQestions)といいます。世界はどうなっているのか、その中で私はどういう存在なのか、なぜ生まれたのか、なぜ生きていなければならないのか、生きていく意味は何なのか、何に価値があり何に価値がないのか、何が正しくて何が悪いのか……などなどの問いです。そうした問いへの答えの体系を「コスモロジー」(世界観、人生観、価値観、倫理観などを総合した言葉の体系)と呼ぶのですが、近代の合理科学主義的なコスモロジーにはそうしたビッグ・クエスチョンにうまく答えられないという根本的な欠陥があるということは、これまで繰り返しお伝えしてきたとおりです。それに関連して、4月30日朝日テレビ「徹子の部屋」にバイオリニスト高島ちさ子さんが出演していて、5年生の息子さんから「二...「どうせ死ぬのになぜ産んだ」へのコメント

  • 水曜講座リモート化のご案内

    水曜リモート講座「『正法眼蔵』とやさしい瞑想によるやすらぎの時間」道元禅師『正法眼蔵』の継続講座をリモート化しました。現在のシリーズは「梅華(ばいか)」巻です。「梅華」巻は、「老梅樹がにわかに開花する時、花が開いて世界が起こる。花が開いて世界が起こる時節、すなわち春が来るのである。(老梅樹の忽開華のとき、華開世界起なり。華開世界起の時節、すなはち春到なり。)」といった句など、思想の深さはもちろんですが、文学的にも美しい文章に満ちています。味わいながら学んでいます。参加者のみなさんには、やさしい瞑想とあわせ、悩みの多い日常を離れ、深いやすらぎを感じることのできる時間になっています。これまでは高松市の会場で対面で行なってきましたが、諸般の事情で、今回、5月からリモート化することになりました。これで、これまで距離の関...水曜講座リモート化のご案内

  • 『サングラハ』第176号が出ました!

    目次■近況と所感………………………………………………………2■六波羅蜜を学ぶ(6)……………………………岡野守也………3■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(8)……………大井玄…24■仏弟子たちのことば(8)………………………羽矢辰夫………32■未来の世界国家(4)…………………………………増田満……34■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(4)………三谷真介…42■講座・研究所案内…………………………………………………………………54■私の名詩選(75)西行の桜の歌七首…………………………56『サングラハ』第176号が出ました!

  • 2021年4月〜7月講座案内

    講座案内ようやくワクチン接種は始まりましたが、まだコロナウィルス感染症の本格的終息の見通しはなかなか立たず、さらにしばらく忍辱の時が続きそうですが、厳しい状況にある今こそ、ハウツー的な知恵ではなく、どう考えどう生き死にするか、根源的な智慧を学ぶことが必要なのだと思われます。東京も高松もまさにそうした智慧=般若の学びを持続しています。ご一緒に学びを進めていきましょう。東京は、感染者数の下げ止まりでまだ終息の見通しが立ちませんので、引き続きリモート講座です。リモートですから、幸い日本全国どこにお住まいの方も参加していただけます。これまで、距離的に参加が難しかったみなさん、この機会にぜひご参加下さい。高松については、香川県は感染がやや少なくなってきていますが、まだ続いていますので、状況の推移を見ながら対応していきます...2021年4月〜7月講座案内

  • 日本再生は可能なのだろうか? 再録

    昨日は東日本大震災から10年の節目でした。ここのところ何人もの方から、「最近の危機的状況について、どう考えているんですか」とコメントを求められていることも併せて、一言書いておこうと思いました。といっても、筆者はこれまで繰り返し基本的には同じことを言ってきましたので、新しい話はありません。3・11の震災の後、6月に『日本再生の指針』(太陽出版)という本を出し、そこでまさにこれが震災後の日本再生の指針だと考えていることについて述べました。ゲラ刷りの段階で、元国立環境研究所所長の大井玄先生に読んでいただいて、光栄なことに「本書は、私がこれまでに見てきたものの中で、本当の『日本再生』に向けたもっとも的を射た指針である。」という推薦の言葉をいただきました。残念ながら、これまでそれほど多くの読者に読んでいただくことはできて...日本再生は可能なのだろうか?再録

  • 『サングラハ』第175号が出ました!

    目次■近況と所感…………………………………………………………………………………2■六波羅蜜を学ぶ(5)………………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論3――体は星くずでできている……………………………………………………岡野守也…19■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(7)…………………大井玄……24■仏弟子たちのことば(7)…………………………………………羽矢辰夫…32■未来の世界国家(3)…………………………………………………増田満……34■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(3)…………三谷真介…41■講座・研究所案内…………………………………………………………………………46■私の名詩選(73)『万葉集』晩秋と初冬の歌……………………………48『サングラハ』第175号が出ました!

  • 『サングラハ』第174号が出ました

    目次■近況と所感…………………………………………………………………………2■六波羅蜜を学ぶ(4)…………………………………………………岡野守也…4■コスモロジー心理学各論2――窒素と私のつながりに気づく…岡野守也…18■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(6)………………………大井玄……22■仏弟子たちのことば(6)……………………………………………羽矢辰夫…32■未来の世界国家………………………………………………………増田満……34■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(2)…………………三谷真介…42■講座・研究所案内…………………………………………………………………46■私の名詩選(73)『万葉集』晩秋と初冬の歌………………………………48編集後記今号、主幹の「六波羅蜜を学ぶ」では、般若経典が語る修行項目・...『サングラハ』第174号が出ました

  • 般若経典のエッセンスを語る33

    第三願は、六波羅蜜の第三「忍辱」に関わって、「忍辱成就慈悲具足の願(にんにくじょうじゅじひぐそくのがん)」で、忍辱が完成し慈悲が具わることの願」ということである。第一願から一貫して「この菩薩大士はそのことをよく観察してからこう考える。『私はどうすればこうした諸々の有情を救いとって彼らをもろもろの悪業から離れさせてやれるだろうか』と。こう考えた後で、次のような願をなして言う。『私は渾身の努力をし身命を顧みず〇〇波羅蜜多を修行して、有情を成熟させ仏の国土を美しく創りあげ速やかに完成させて、一刻も早くこの上なく正しい覚りを実証し……』」という言葉が繰り返される。願という意味ではこの繰り返しは必須なのだが、頁数の関係で以下は省略して紹介する(省略個所は……で表記)。……菩薩大士が忍辱波羅蜜多を修行していて、もろもろの有...般若経典のエッセンスを語る33

  • 般若経典のエッセンスを語る32

    第二願は「浄戒成就諸善善報具足の願(じょうかいじょうむしょぜんぜんぽうぐそくのがん)」で、六波羅蜜の第二の「持戒」(玄奘訳では「浄戒」)について「有情に戒律を教え実行させ、その結果として有情たちが諸々の善を行ない、その善の報いを得られるようにしよう」という願である。仏教の戒律のもっとも基本的なものに「五戒」と「十戒」または「十善戒」がある。「五戒」は、「不殺生(ふせっしょう)」・殺さない、「不偸盗(ふちゅうとう)」・盗まない、「不邪淫(ふじゃいん)」・不適切なセックスをしない、「不妄語(ふもうご)」・ウソをつかない、「不飲酒(ふおんじゅ)」・お酒を飲まない、ということ五つの戒めです。「十戒」または「十善戒」は、五戒の四つまでは共通で、不飲酒が省かれて、「不両舌(ふりょうぜつ)」・二枚舌を使わない、「不悪口(ふあ...般若経典のエッセンスを語る32

  • 般若経典のエッセンスを語る31

    ところで、拙訳では玄奘訳にしたがって「有情」という訳語を使っているが、サンスクリット原語は「サットヴァ」で、一般的には「衆生」と訳され、「群生(ぐんじょう)」と訳されることもあり、日本語としては「生きとし生けるもの」と訳されることが多い。よく知られているとおり大乗の菩薩の基本的な実践項目を「六波羅蜜」といい、その第一が有情・衆生に対する「布施」である(以下、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧についても述べられていく)。布施の一般的な解説としては、財施・物質的な施しと法施・真理の教えの施しと無畏施・畏れのない心・安心の施しがあるとされるのだが、この誓願では、まず何よりも身に迫った飢え渇きを癒し、そして清潔な衣服と暖かい寝具を調えるという具体的なことがあげられている。それらがない有情・生きとし生けるものを見た時、菩薩は「...般若経典のエッセンスを語る31

  • 般若経典のエッセンスを語る30

    菩薩の三十一の誓願菩薩が慈悲の心を実習・実修する場合、「具体的には、こういうことを実行しよう」というのが誓願である。イントロダクションが長くなったが、ようやくここから第一章で「般若経のエッセンスのエッセンス」だと予告した「菩薩の三十一の誓願」を順を追って見ていきたいと思う。『大般若経』「初分願行品第五十一之一」というところにある(各願についての見出しは大東出版社版『国訳一切経』の中の『大般若経』の脚注による)。『第一願は「布施成就衣食資生充足(ふせじょうじゅえじきししょうじゅうそく)の願」で、「衆生への布施を完全なものにし衣食など生きるための必要なものをすべて充足したい」という願である。菩薩の願は、単なる精神論から始まらない。まず、生きるために必要なものはすべて充たしてあげたいということから始まる。筆者の現代語...般若経典のエッセンスを語る30

  • 般若経典のエッセンスを語る29

    私たちふつうの人間は、言葉、特に名詞・代名詞・固有名詞(以下「名詞」とする)を使ってもの(者・物、以下「もの」とする)を把握している。例えば「人間」「犬」「猫」「木」「土」、「私」「あなた」「彼・彼女」、「太郎」「花子」などなど。それはごくふつうのことなので、ふつう問題があるとは気づかない。しかし、仏教は言葉・名詞には致命的な欠陥があることに気づいたのである。「私」という代名詞は、他の名詞とは分離・独立している。「私」は「私」であって、他の名詞で呼ばれるものではない。この「私は私であって、他のものではない」というものの見方は、私と私でないものを区別するという点では、必要だし正しいし何の問題もない。ところが、ある名詞は他の名詞と分離・独立して存在している――正確に言うと「存在しているかのように思える」ということだ...般若経典のエッセンスを語る29

  • 般若経典のエッセンスを語る28

    これは、理屈としては非常にはっきりしているのだが、私たちは空・一如ということを覚っていないので、慈悲ができない。人間同士が慈悲の心を持って接することができないから、世の中は乱れ、いろいろなことが起こる。そういう場合、一生懸命ボランティアや良心や優しさで問題解決をしようとしても、心の底では「おれとおまえは分かれている」と思っているから、根本的な一体感に基づく「慈悲」にはならない。「自分と自分以外のものが分離している」という思いのことを「分別知」といい、分別知の状態では慈悲は行なえないのである。それに対して、空・一如ということを少しでも学び、実感し、覚ることによって、少しずつ慈悲に近い心を持つことができるようになる。それも、グラデーション的・漸進的成長であって、私たちふつうの人間は、そういうことをまず頭で学び、練習...般若経典のエッセンスを語る28

  • 般若経典のエッセンスを語る27

    智慧と慈悲について重要なのは、ここ、つまり空と一如は同じ事柄を別の言葉・角度で語ったもので、いわば同義語だというところである。空を覚るとは、一如を覚るということであり、智慧とは、私と他のもの(者・物)がぜんぶつながっており結局は一体だということを覚ることである。それは抽象論にとどまらず、目の前にいるあなたと私は縁起的関係にありかつ最終的には一如なのだということを覚らなければ、覚ったことにはならない。「おれはおれ、おまえはおまえ」と思っている間は覚りではないのである。しかし、覚ったらあなたと私がべったりと一体化するかというと、そうではなく、あなたと私の区別はくっきりありながらしかし一体、一体ではあるけれども区別はある、そういう関係になる。「一体」という日本語はよくできているといつも思うのだが、一如という言葉を一体...般若経典のエッセンスを語る27

  • 般若経典のエッセンスを語る26

    「一切皆空」「すべては空である」という言葉がある。これを「すべては空である。すべては空しいのだ」と誤解をする方が、仏教の内部にさえおられる。まして、一般の人は一切皆空とか空というと、「仏教は何か『すべては空しい』ということを言っているのだ」と誤解してしまうが、そうではないということを繰り返し語り書いてきた。ここでも要点だけ述べておこう。さらにもう一つ、「苦だから空である」という言葉がある。これは、これまでのものとはかなりニュアンスが違うので、セットにしないほうがよかったのではないか、と僭越ながら筆者は批判をしている。「苦」、サンスクリット語カタカナ表記で「ドゥッカ」の意味は、苦しみというより、むしろ「思いどおりにならない」ということである。「思いどおりにならないから空である」とは、すべては実体ではないので掴んで...般若経典のエッセンスを語る26

  • 般若経典のエッセンスを語る25

    歴史的なブッダの言葉に近いとされる『阿含経』では、ブッダは、そうした実体ではないということを主に「無我」という言葉で表現している。「空」という言葉もまったく使っていないわけではないが、あまり多くない。「無我」と「空」はほとんど同義語であり、「無我だから空である」という、まるで同義語反復のような言葉もある。では、なぜ大乗仏教・般若経典では「無我」よりも「空」という言葉を強調するようになったのだろうか。その理由について、筆者の知るかぎり般若経典そのものには語られていない。したがって、以下は筆者の推測・推論である。大乗仏教の修行者・菩薩たちは、瞑想と思索を深めた結果、「すべてが縁起であり、すべてがつながっているのならば、ぜんぶ一つにつながっているというのがほんとうのありのままの姿である」「すべては一体である」ことに思...般若経典のエッセンスを語る25

  • 般若経典のエッセンスを語る24

    少し抽象的な言い方になったので、具体的な例をあげて説明していこう。例えば私は、いちおう他のもの(者・物)とは区別できる存在だが、では、私だけで生まれてきて生きているのかとよく考えると、そうではないことがすぐにわかる。私は父と母とのつながり・縁によって生まれてきた。そして、両親だけではなく、実にたくさんの人との関わり・つながりによって生きている、というか生きることができている。そして、父と母にも父と母がいたのであり、さらにその先もいのちはつながっている。私は、先祖とのいのちのつながり・縁によって生まれた・生起したのである。さらに私も先祖たちも、水を飲み、空気を吸い、食べ物となってくれる様々な動物や植物や鉱物を摂り入れることによって生きてきた。そうした私ではないものとのつながり・縁が私たちを生かしてくれている。もっ...般若経典のエッセンスを語る24

  • 般若経典のエッセンスを語る23

    では、そもそも「実体」とはどういう意味だろうか。実体を意味する元のサンスクリット語は「アートマン」で、漢訳では「我」と訳されている。英語ではsubstanceと訳すことができるだろう。すでに述べたとおり、哲学・思想用語としての「実体」には、東西共通の定義があるという。第一に他の力を借りることなく「それ自体で存在する・できる」ということ、第二に「それ自体の変わることのない本性がある」ということ、第三に「永遠に存在する・できる」ということである。そして、大乗仏教の「空・非実体」とは、「我・実体」を否定するコンセプトなのである。第一に、ブッダ以来仏教のもっとも重要なコンセプトとされてきた「縁起」という言葉がある。「この世界のあらゆるものは他との縁・関係によって生起している」という意味である。それを否定的な言い方に変え...般若経典のエッセンスを語る23

  • 般若経典のエッセンスを語る22

    智慧―慈悲―菩薩の誓願菩薩の誓願の三十一すべてを取り上げるときわめて長くなるので、特に重要だと思うものを取り上げ、他は簡単に触れていきたいと思うが、その前に、菩薩の請願の源泉ともいうべき大乗仏教における智慧と慈悲との関係を簡単に確認しておきたいと思う。「智慧」は、意味を訳したもので、音を写した「般若」と元のサンスクリット語は同じで、カタカナ表記では「プラジュニャー」という。では何に関する智慧かというと、結局、空ということを覚る智慧なのである。空と智慧はほとんど同じことを指しているといってもいいのだが、局面として言えば、「空」ということを「知る・覚る」というふうにいちおう区別できる。つまり、智慧とは空を覚るということ、しかも空とは何かが単に頭でわかるのではなくて、いわば心の奥底まで、全身心的にわかる、というか身に...般若経典のエッセンスを語る22

  • 般若経典のエッセンスを語る21

    第二章前章で、般若経典―大乗仏教のエッセンスを一言で言ってしまうと「智慧と慈悲」だと述べた。もちろんゴータマ・ブッダも「慈悲」を語っており、以後の仏教でも語られてきたのだが、きわめて大きく強調されるようになったのが、大乗仏教の大乗仏教たる所以だということだった。その慈悲の実践の具体的な内容として、菩薩たちが「こういうことを必ずやろう」と誓い願うのを「誓願」といい、菩薩たちはみなさまざまな誓願を立てている。仏教では、すでに仏になっている方も元は菩薩・修行者であり、例えば阿弥陀仏は、元は法蔵菩薩という菩薩であり、その時に、「私が覚りを開いた日には……したい」という四十八願を立てという。そのうちの第十八願に、「もしもある人が、たとい一生の間、悪事をなしたとしても、いのちが終わろうとするときに及んで、十念続けてわが名字...般若経典のエッセンスを語る21

  • 般若経典のエッセンスを語る20

    そして、菩薩大士の智慧に裏付けられた慈悲は、衆生を救うためにありとあらゆる方法・手段(方便という)を工夫し実践していくのである。筆者にとって般若経典を読んだ最大といってもいい収穫は、『大般若経』「初分願行品第五十一」に菩薩の衆生を必ず救うという三十一の誓願が掲げられているところで、「渾身の力を込め一生をかけて――しかも輪廻があるから――生まれ変わり死に変わり果てしなくこの三十一の誓願を実現していこうという、そうした大きな志を持った者こそが菩薩・摩訶薩なのだ」と書いた個所に出会ったことである。その一項目ごとに意味を理解しながら読んでいくと、「いや、なんというすごい理想だろう。これほどの理想を掲げた思想や宗教が他にあるだろうか」と、ほとほと感心・感動した。そして三十一項目を丁寧に読んで、「これをぜんぶ必ず実現しよう...般若経典のエッセンスを語る20

  • 般若経典のエッセンスを語る19

    では、なぜ空を洞察することが「いかなる有情も見捨てるわけにいかない」という誓願につながるのだろうか。すべてが空ならば、菩薩も有情も空なのだから、見捨てるのも見捨てないのも空だから、どちらでもいいのではないだろうか。どちらでもいいことをしていないで、もう輪廻の世界から解脱してしまったほうがいいのではないだろうか。なぜ、あえてこの世にとどまって、どちらでもいいことをしなければならないと思うのだろうか。かつて大乗仏教・空について学び始めた頃、筆者もそういう深い疑問があった。実際、もっともよく知られていてしかも短いため、ほとんどの初心者が最初に読む般若経典である『般若心経』には「慈悲」という言葉はまったく出てこない。次に比較的知られていて、さほど長くない『金剛般若経』にも、布施は語られても「慈悲」という言葉は使われてい...般若経典のエッセンスを語る19

  • 般若経典のエッセンスを語る18

    以下は『八千頌般若経』の句である。『八千頌般若経』は『大般若経』の中の四番目「第四分」に当たるもので、また、鳩摩羅什訳の『小品摩訶般若波羅蜜経』の原典に相当する。「小品」と言っても、かなり厚みのある文庫本二冊に翻訳されていてかなりの分量であるが、その中に、智慧と慈悲に関して非常に要領よく述べた言葉がある。(中公文庫『大乗仏典〈3〉八千頌般若経Ⅱ』、一七六―七頁)……菩薩大士とは難行の行者である。空性の道を追求し、空性によって時をすごし、空性の精神集中にはいりながら、しかも真実の究極を直証しないとは、菩薩大士は最高の難行の行者である。それはなぜか。……菩薩大士にとっては、いかなる有情も見捨てるわけにいかないからである。彼には「私はあらゆる有情を解放しなければならない」という、こういう性質の諸誓願があるのである。菩...般若経典のエッセンスを語る18

  • 般若経典のエッセンスを語る17

    ここで注目しておくべきことは、ゴータマ・ブッダの十大弟子の中で解空(げくう)第一、空がいちばんわかっていたという須菩提・スブーティに向かってこの言葉を語られていることである。ほんとうに空を理解する・覚るということは、すべての生きとし生けるものと自分との一体性を理解し覚ることでもあって、衆生と自分との一体性を覚らない空の覚り方などほんとうはないのだ、と。つまり、すべての生きとし生けるものを離れ捨てて、自分だけが覚って安らかな心境になることを求めるのは、ほんとうに空を理解する・覚ることにはならないという、小乗への批判の意味が込められている。すべてのものが空であるということ、すなわち一如である・一体であるということは、すべてのものと一体なのであるから、当然すべての生きとし生けるものとも一体である。そうなると、すべての...般若経典のエッセンスを語る17

  • 般若経典のエッセンスを語る16

    智慧を自分のものとしながら、しかも一切衆生を捨てることがない。つまり、「自分だけが覚っていい気持ちになり、解脱してこの世から離れていってしまうのは小乗だ」という批判が大乗の基本であるから、慈悲ということがはっきり示されなければ、大乗にならないのである。「菩薩」とは、ボーディサットヴァ・菩提薩埵の省略形で、「ボーディ」は覚り、「サットヴァ」は存在・人で、「覚りを求める人」という意味である。それから「摩訶薩・大士」は、「自分だけの覚りではなく、すべての人の覚り・救いを求める心の大きな人」という意味である。経典の中には菩薩という言葉が単独で出てくるケースと菩薩・摩訶薩と二つ合せて出てくるケースがあり、研究者によるとそれにははっきりした意味上の違いがあるという。主としてまだ自分の覚りを求めている段階が「菩薩」で、自分の...般若経典のエッセンスを語る16

  • 般若経典のエッセンスを語る15

    智慧と慈悲私の読んできた般若経典、そして広く言えば仏教全体も、エッセンスを簡潔な言葉で要約するとすれば、「智慧と慈悲」だと筆者は理解している。先にも述べたように「智慧」という意味のパーリ語「パンニャー」を音訳したのが「般若」である。そして、その智慧・般若は「慈悲」と不可分のものである。これについて、経文の中からの典拠として『摩訶般若波羅蜜経』の句の現代語訳と書き下し原文と、ほぼ同じことを述べた『大般若経』の句を挙げておこう。スブーティよ、菩薩大士は二つの事柄を成就するのである。何を二というか。すべての存在は空だと洞察することと、すべての生きとし生けるものを見捨てないことである。菩薩大士がこの二つの事柄を成就するならば、悪魔も破壊しえない。須菩提、菩薩・摩訶薩は二法を成就す、魔、壊すこと能はず。何等か二なる。一切...般若経典のエッセンスを語る15

  • 般若経典のエッセンスを語る14

    「南無一切三宝」の「三宝」は仏教におけるもっとも大切な三つのことという意味で、仏教の縁起-空ということを伝えるための人々の集まりを「サンガ」、音訳で「僧伽(そうぎゃ)」、略して「僧」という。それから、その人たちが伝えている真理の教え「法」という。それは結局真理としての「仏」を示す、あるいは「そもそもあなたが仏なのだ」ということを知らしめる。この仏・法・僧を「三宝」という。三宝という場合、「諸仏」という言葉があるように仏さまもたくさんいて、さまざまな経典があり、もちろん僧団はたくさんあるので、「一切三宝」とされているのだろう。「南無」とは、「ナーム」というサンスクリットの音訳で、「帰依する」という意味である。つまり、「一切の三宝・仏法僧に帰依する」「仏法僧を私の生き方の根拠、存在の拠り所にする」ということである。...般若経典のエッセンスを語る14

  • 般若経典のエッセンスを語る13

    次に、「無所得故畢竟空」、つまり「実体として把握できないので、これは究極的には空というべきだ」という。すなわち空とはまさに実体ではない・非実体という意味である。実体なら掴むことができる。しかし実体ではないから掴むことができない。掴むことができないということは、逆に言えばそれは実体ではない・空ということである。そして、「畢竟空故是名般若波羅蜜」、すなわち「究極は空なので、そのことをあえて言葉で表現すれば『分別を超えた智慧』となる」という。すべてを分離した実体として存在すると捉える知恵を「分別知(ふんべつち)」、サンスクリットでは「ヴィカルパ」または「ヴィジュニャーナ」といい、それに対して、分別知を超えた智慧を「プラジュニャー」、パーリ語では「パンニャー」という。漢訳ではたいていサンスクリット語の音が写される(音訳...般若経典のエッセンスを語る13

  • 般若経典のエッセンスを語る12

    「無去来故無所得」とは、実体としての私が他のものと分離して存在し、他のものに対する場合は、得るとか得ないということがありえるが、すべてが一体だとすると、そもそも得るとか得ないという話にはならないということである。譬えると、海が海の水を得たとか得ないという話はないようなものである。世界の海はすべてつながっていて一つであり、海の水はあちらからこちらへと海流として流れる。しかしそれは、海そのものが行ったり来たりすることではないし、例えば日本海が太平洋から水を得たとか、太平洋がインド洋から水を得たという話ではない。そういう意味で、一体のもののなかでは得るということは成り立たない・「無所得」なのである。ここで、解説からやや発展して、内容の本質に関わることを少し述べたい。現在の日本も含む世界は、欧米型であれ中国型であれ、「...般若経典のエッセンスを語る12

  • 般若経典のエッセンスを語る11

    この『転読大般若中唱文』には、「非実体=空」の定義の③「永遠には存在しない・無常」ということに関する言葉は出てこない。それも含めて説明したほうが「空」とは何かが理解しやすいのだが、話の流れで解説は後にしよう。次には、「無自性故無去来」とある。つまり本性があるならばそれが変化するとか変化しないということになるが、「そもそも本性がないので、去るとか来るなどということもない」と述べられている。この「無去来」は『般若心経』でいえば「不生不滅」と同じことである。これは、「水と波の譬え」を使うと理解しやすいだろう。波に着目すると、起こったり消えたりする、つまり来たり去ったりするが、水に着目すると、水そのものは去りも来もせず、ずっと水のままである。現象としての個々の波は現われたり消えたりするけれども、その元になる水そのものは...般若経典のエッセンスを語る11

  • 般若経典のエッセンスを語る10

    しかし、儀式で唱えられている文章にこうした意味があることは、これまで檀信徒にはほとんど説明されてこなかったのではないだろうか。奈良時代や平安、鎌倉代、江戸時代までなら、それでもよかったのかもしれない。あるいは戦前もそれでよかったかもしれない。けれども、戦後の教育を受けた檀信徒には、「『大般若経』のエッセンスの経文を唱えますが、それにはこういうとても深い意味があるのです」と伝えたほうがいいのではないだろうか。そしてわかった上で唱え、さらに唱えながら瞑想状態になったらいったん意味は忘れていいのだが、しかし唱えた後でまた「ああ、こういう意味なのだ」「ああいう深い意味なのだ」というふうに、理解することと瞑想状態に入ること、そしてまた理解することを繰り返すと深まるだろう。そこで、筆者は大般若会を行なっているお寺さんとご縁...般若経典のエッセンスを語る10

  • 般若経典のエッセンスを語る9

    ということは、「空=非実体」とは何かがわかれば、般若経典のエッセンスのエッセンスがわかるということである。詳しくは徐々に述べていくが、まず要点だけ言っておくと、「空」とは字の印象で誤解されがちなのと違って「空しい」「空っぽ」という意味ではない。また単純に「何もない」と言っているのでもない。微妙な違いだが、ただ「何もない」のではなく、「実体と呼べるようなものは、何もない」ということである。「実体」には、東西の思想に共通の以下三つ定義がある。①それ自体で存在できる、②それ自体の変わることのない本性・本体がある、③永遠に存在する、である。その反対の①それ自体では存在できない、②変わることのない本性はない、③永遠には存在しない、という三つの性質があれば、それを「非実体」という。そして、般若経典は、すべてのものには右のよ...般若経典のエッセンスを語る9

  • 般若経典のエッセンスを語る8

    『大般若経』転読の式文以下、エッセンスについて述べる導入として、大般若会の儀式で唱えられる『転読大般若中唱文』という短い文章を紹介しておこう。先に言ったとおり、すべてを唱えて読むには時間がかかりすぎるので、短い文章を唱えながら経巻を開いて閉じる転読を行なうのだが、内容を読んでみると、かなりエッセンスを掴まえていると思われたので、まず見ておきたい。諸法皆是因縁生(しょほうかいぜいんねんしょう)因縁生故無自性(いんねんしょうこむじしょう)無自性故無去来(むじしょうこむこらい)無去来故無所得(むこらいこむしょとく)無所得故畢竟空(むしょとくこひっきょうくう)畢竟空故是名般若波羅蜜(ひっきょうくうこぜみょうはんにゃはらみつ)南無一切三宝(なむいっさいさんぼう)無量広大(むりょうこうだい)発阿耨多羅三藐三菩提(ほつあのく...般若経典のエッセンスを語る8

  • 般若経典のエッセンスを語る7

    筆者を含め、戦後、高校までの日本史を左翼的な進歩主義の歴史観で習ってきた方がきわめて多いと思われる。そして、「奈良仏教は鎮護国家=天皇の権力を護るための呪術的宗教であって、鎌倉仏教のような民衆の宗教、民衆の救いではなかった」といった否定的な評価を先入見的に教え込まれたのではないだろうか(「古代日本仏教への否定的見解:家永三郎氏の場合」、参照)。しかし、筆者は幸いにしていろいろな経過があって左と右の先入見とは別に、自らの視点で『日本書紀』や『続日本紀』『日本後紀』といったその時代の文献を読むようになった。すると、とりわけ聖武天皇における「鎮護国家」とは、単に迷信的な呪術によって自分たちの権力の維持を図るというだけのことではなく、むしろ「人民すべて、さらには生きとし生けるものすべてが幸せに暮らせる国になるように」と...般若経典のエッセンスを語る7

  • プラスチックごみと自然の力

    市橋伯一『協力と裏切りの生命進化史』(光文社新書)という本を読んでいます。まだ半分くらいですが、コスモロジー心理学にとってきわめておもしろく、示唆深い本なので、読み終わったら紹介記事を書こうと思っています。その前に、筆者は知らなかった(読者でとっくにご存じの方もいおられるでしょうが)、とても希望があると思える話があったので、ご紹介しておくことにしました。それは、「最近(2016年)ペットボトルの材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して栄養源として使っている細菌が見つかりました。大阪堺市で見つかったのでその名もイデオネラ・サカイエンシスです。PETは人工的に合成された物質で1940年以前には地球上にほとんど存在していませんでした。したがって、この細菌はここ80年で新たにPETを分解する能力を進化さ...プラスチックごみと自然の力

  • 般若経典のエッセンスを語る6

    そして先取りして言えば、筆者自身読んでみて驚いたのだが、『大般若経』の中身は、今日でも日本人全体、そして大げさに聞こえるかもしれないが人類全体の共有すべき・できるだけの時代を超えた普遍性をもったものだと思えるのである。以下は、『大般若経』など般若経典の内容を紹介し多くの方と共有するための試みである。ところで、唐では玄奘三蔵の訳経の完成記念の会を起源として「大般若会(だいはんにゃえ)」という儀式が行われるようになり、日本でも七〇三(大宝三)年、文武天皇の命により宮中や四大寺で転読がなされて以来、今日まで多くの寺院で特に正月などに行なわれている。六百巻もあり唱えるには長すぎるので、省略して経典をパラパラと開いて閉じて読んだことにするのを「転読(てんどく)」という。転読を行なうお寺は今でもたくさんあるので、ご覧になっ...般若経典のエッセンスを語る6

  • 般若経典のエッセンスを語る5

    日本文化と『大般若経』日本には七世紀、天武天皇の時代にすでに『般若心経』『金剛般若経』『仁王般若経』などの般若経典が入っている。なかでも『大般若経』は、それまでインドで書かれた膨大な般若経典群のほとんどすべての原文を玄奘三蔵が持ち帰り、最晩年に四年近くかけて訳したもので、六六三年に訳し終えたという記録が残っている。六六三年に訳し終えられた『大般若経』は、おそらく六六五年には日本に到来している。藤原鎌足の長男である留学僧・定恵が、玄奘三蔵のもとで学び帰国した際、持ち帰ったのではないだろうか。定恵は、主に唯識学を学んだのだが、もちろん中国の先進文明であった仏教全体を学び取ることも留学僧としての務めだったから、当時入手可能だった経典はすべて持ち帰ってきたのではないかと思われる。ただ、当時はすべて手書きで写されるので、...般若経典のエッセンスを語る5

  • 般若経典のエッセンスを語る4

    筆者は、テーラーヴァーダ仏教も含めすべての原理主義は現代には不適切だと考えているが、本題に戻ろう。大乗仏教は、「ゴータマ・ブッダがほんとうに言いたかったことはこれだ。むしろ私たちのこの考え方のほうが正しいのだ」と主張し、般若経典を紀元一世紀ごろから数世紀にわたって拡大していった。それから少し短いものが書かれ、さらに最終段階でダイジェスト版的に『般若心経』ができている。日本では『般若心経』は非常によく知られており、さらにやや長めの『金剛般若経』も割に知られているが、より長い『摩訶般若波羅蜜経』(鳩摩羅什訳)や、さらにさまざまな般若経典の集大成である『大般若経』(玄奘訳)はあまり知られていないのではないだろうか。般若経典群の歴史的・文献的なことについてより詳しくは、コンパクトに論じているものに梶山雄一『般若経――空...般若経典のエッセンスを語る4

  • 般若経典のエッセンスを語る3

    古代インド人は「何年何月に何があった」ということにはほとんど無関心な民族だった。時が永遠に巡り果てしなく輪廻が続くといった時間感覚があり、したがって何年何月に何かあっても同じようなことが巡るわけであるから、いちいちそのことを記しておく必要はないという感じが強かったのだろうか、歴史的記録が非常に少ない。そのため、わずかに残っている記録などをどう解釈するかで、古代インドの歴史的な事柄の年号は百年くらいすぐに前後してしまう。それに対して、中国は古代から「何年何月何日に何があった」という意味での歴史にうるさく、非常に早い時期から歴史書が残っている。そういう意味で、中国人とインド人は精神文化・精神構造が非常に違うといわれている。ともかくインドはそういう国で、大乗仏教の主張が最初に書かれたのが般若経典のいちばん初期のもので...般若経典のエッセンスを語る3

  • 般若経典のエッセンスを語る2

    予備知識としてまず般若経典群が書かれるまでの仏教史をごく大まかに見ることから始めよう(予備知識のある読者は飛ばしていただいてもかまわない)。歴史学的に研究されてきたゴータマ・ブッダ自身の仏教を、仏教学上は「原始仏教」と呼ぶ。続いて、ブッダが亡くなった後、弟子たちが引き継いだ仏教を、それと区別して「初期仏教」と呼ぶことがある。さらにその後、ブッダの死後百年くらい経って、ブッダが言い遺した戒律の解釈の違いによって、まず大きく二つに分裂する。これを「根本分裂」という。基本的には、弟子たちの席順で上のほうにいたので「上座部(じょうざぶ)」と呼ばれる人々と、数が多かったので「大衆部(だいじゅぶ)」と呼ばれる人々の二つの派に分かれる。ちなみに現代語の「大衆」はここから来ている。以後、仏教はさらに教義の解釈の違いなどによって...般若経典のエッセンスを語る2

  • 般若経典のエッセンスを語る1

    今、久しぶりの次の著書として、タイトル(仮)のような原稿をまとめつつあります。出版不況、特に人文書・思想書の不況の中で、引き受けてくれる出版社があるかどうか、まだわからないのですが、まずネット上に公開して、読者の反応を見させていただき、それから出版を検討するという方法を採って成功している著者の方もおられるようなので、筆者も試みることにしました。もしいいと感じたら、コメントなど何らかのかたちでお知らせいただけると幸いです。(なお、出版が決まりましたら、記事を削除することになりますので、予めご了承ください。)では、以下、まず第一回目の原稿です。仏教の歴史と「般若経典」般若経典は、大乗仏教の思想が最初に表現された経典である。したがって、大乗仏教を理解するには、他のどの経典よりもまず般若経典を理解する必要があるのではな...般若経典のエッセンスを語る1

  • 9月23日〜講座『正法眼蔵』「諸悪莫作」を学ぶ

    【高松】水曜講座「『正法眼蔵』とやさしい瞑想によるやすらぎの時間続」9月23日10月14日11月18日12月16日(4回)講義の前にイス瞑想を行ない、『正法眼蔵』他、道元禅師の著作を学び味わいます。悩みの多い日常を離れ、深いやすらぎを感じることのできる時間になるでしょう。時間:19時半―20時50分▼講師:研究所主幹▼テキスト:随時配布。▼▼参加費:一般=一万円、年金生活・非正規雇用・専業主婦の方=8千円、学生=4千円▼会場:サンポートホール高松64会議室先日の講座案内では、『正法眼蔵』のどの巻を取り上げるがお知らせしていませんでしたので、改めてお知らせします。今回から「諸悪莫作(しょあくまくさ)」の巻を学んでいきます。言うまでもないようですが、そこには以下のような驚くべく深い言葉が語られています(現代語意訳)...9月23日〜講座『正法眼蔵』「諸悪莫作」を学ぶ

  • 8月29日リモート講座「聖武天皇と『大般若経』」

    おかげさまで、ようやくZoom講義を行なう態勢を整えることができ、先に10、12月の予定をお知らせしましたが、週末8月29日東京土曜講座もZoomで行なえることになりました。「聖武天皇と大般若経:般若経典と日本の心④」です。29日午後1時〜5時頃の予定で行ないます。『万葉集』が作られ、東大寺・大仏が建立されるなど、日本の古典的文化が花開いた「天平」の時代の天皇である聖武天皇が明確な「菩薩天子」の自覚を持っていたことを明らかにし、全国国分寺に『大般若経』を具えさせたことの意味と、そこに語られた仏国土建設という驚くべく高い理想をどこまで実行できたのかを見ていきたいと思います。参加者にお配りするテキストの冒頭を引用しておきます。「聖武天皇は「菩薩天子」を目指したこれまでの講義で、天武天皇がいったんは出家したこと、そし...8月29日リモート講座「聖武天皇と『大般若経』」

  • 『サングラハ』第172号が出ました

    目次■近況と所感…………………………………………………………2■六波羅蜜を学ぶ(2)……………………………………岡野守也…5■コスモロジー心理学各論1――水素と水と私のつながりに気づく……………………岡野守也…19■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(4)………………大井玄……32■仏弟子たちのことば(4)………………………………羽矢辰夫…42■国際比較で見る日本のコスモロジー崩壊(1)…………三谷真介…44■講座・研究所案内……………………………………………………46■私の名詩選(71)藤原定家夏・ゆうぐれの五首……………………48『サングラハ』第172号が出ました

  • 『サングラハ』第172号「近況と所感」

    長い梅雨がようやくもう少しで明けそうです。本誌がお手元に届く頃には、なんとか明けているかもしれません。我が家のまわりでは、朝からクマゼミがジャンジャンと鳴くようになっていて、あと〇・五度で猛暑日という一日もあり、もう真夏の気配です。読者のみなさんは、いかがお過ごしでしょうか。物・身・心ともにご無事・ご健康であられますよう、いつも心からお祈りしています。ほんとうに心痛むことに、今年も各地で「想定外」の記録的豪雨が降り甚大な被害が出てしまいました。心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧-復興をお祈りします。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、ご遺族の方に心からお悔やみ申し上げます。また復旧のために力を尽くしておられる関係者の皆様には、心から感謝と敬意を表します。*新型コロナウイルスの感染状況のほうも、いったん収まるか...『サングラハ』第172号「近況と所感」

  • 2020年下期講座案内

    研究所講座案内(2020年下期)●九月以降の講座の件、大変残念ですが、東京はコロナ感染が拡大していますので、当分の間、現場での講座の開催は見送り、当面はDVD代用で、なるべく早めにネットで催行するしかないかと考えています。DVDの場合は、日程は確定せず、だいたいの時期を決めて、録画-編集が出来た時点でお送りするということでご了解いただきたいと思います。また、しばらくの間、東京の講座は一つのみとさせていただきます。流行の収束が見えてきた段階で、再度、東京講座の土日開催を検討したいと思いますので、お待ちください。高松については、感染状況が今のところ落ち着いていますので、状況の推移を見ながら検討していきたいと思います。状況によっては、DVD代用とすることがありますので、その点、予めご了承ください。そのため、予め早めの...2020年下期講座案内

  • 6〜9月高松講座のお知らせ

    香川県では、幸い新型コロナウイルスの感染拡大がとりあえず収まっていますので、会場での講座を再開することにしました。ただ予約の都合で、7月から会場で行ないます。日曜講座はすでに6月の分をDVDで行なっています。高松日曜講座「般若経典を学ぶ②3〜5」いろいろある般若経典の中でももっとも古いものだと推測される『大般若経』「第四分妙行品」を学んでいます。『大般若経』は、奈良時代聖武天皇が全国の国分寺に備えさせ、以後、日本中の寺々に備えられてきたものですが、読んでみると、その中に語られている思想は「日本精神遺産」とでも呼びたくなるような高さ・深さを持っています。そのエッセンスを学ぶことは、日本の精神遺産を受け継いで、日本人としてのアイデンティティを確立し、さらに次世代に伝えていくという大きな意味があると思います。すでに講...6〜9月高松講座のお知らせ

  • 『サングラハ』第171号が出ました!

    お知らせが少し遅くなりましたが、『サングラハ』第171号が出ました。内容目次と概要は以下のとおりです。講読ご希望の方はサングラハ教育・心理研究所のHPのフォームからお申込みください。目次■近況と所感………………………………………………………………2■六波羅蜜を学ぶ(1)………………………………………岡野守也…5■コスモロジー心理学入門(7)……………………………岡野守也…20■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(3)………………大井玄…28■仏弟子たちのことば(3)…………………………………羽矢辰夫…41■名作再訪『自我と無我』(3)………………………………増田満……43■講座・研究所案内………………………………………………………51■私の名詩選(70)万葉集川と水の名歌………………………………52編集後記長期化...『サングラハ』第171号が出ました!

  • 『サングラハ』第171号「近況と所感」

    *『サングラハ』第171号の執筆-編集が終わり、今、印刷所に回っていますが、お手元へのお届けに先立って、「近況と所感」だけ、ブログに掲載しておきたいと思います。それは、「今回のコロナのことをどう思っているのですか」という問いかけをいろいろな方からうかがうので、早めに公表させていただいたほうがいいかなと思ったからです。参考にしていただけると幸いです。若葉から青葉へという美しい季節ですが、立夏を過ぎたばですでに真夏日があり、そうかと思うと明け方は十度以下のことがあったり、⼤きい時には朝夕の温度差が二十度くらいもあることがあります。残念ながら安定しない気候です。コロナウイルス対策の長い自粛が続いています。いろいろな点でほんとうに「これまで体験したことのない」状況です。みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。物・身・心と...『サングラハ』第171号「近況と所感」

  • 『サングラハ』第170号:近況と所感

    第170号・近況と所感温暖化―暖冬傾向が続き今年も春が早いようです。これを書いている時点では、東京などは桜が満開で、待ちに待っていた我が家の平安枝垂れ桜も可憐かつ華麗という風情に咲き始めていますが、本誌がお手元に届く頃は、東北、北海道以外はもう桜がすっかり散っていることでしょう。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。ご健康・ご無事を心からお祈りしています。*それにつけても、新型コロナウイルス感染の世界的流行がどうなっていくのかとても心配です。感染拡大防止のため、出入国制限、学校の一斉休校、イベントの自粛等々が行なわれ、経済・社会的に深刻な影響が出ています。経済への打撃は、リーマン・ショックや東日本大震災よりもはるかに大きく、世界恐慌が危惧されるとのことです。何よりも終息の見通しがつかないのが厳しいところです。経済...『サングラハ』第170号:近況と所感

  • 『サングラハ』第170号が出ました!

    『サングラハ』第170号が出ました。会員の方には発送済ですので、間もなくお手元に届くと思います。目次■近況と所感………………………………………………………………………2■『唯識三十頌』を学ぶ(11)……………………………岡野守也…5■コスモロジー心理学入門(6)…………………………岡野守也…13■痴呆、認知症そして老耄(認知障)(2)…………大井玄……22■仏弟子たちのことば(2)…………………………………羽矢辰夫…32■名作再訪『自我と無我』(2)……………………………増田満……34■ベラー『徳川時代の宗教』を巡って(17)…………三谷真介…42■講座・研究所案内………………………………………………………………46■私の名詩選(69)万葉集・春の名歌……………………………………47内容の概要については、以下の...『サングラハ』第170号が出ました!

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