13.金木犀の香り
朝8時にパンパンパンと澄んだ空からピストルの音が聞こえてきた。今日は、運動会。赤色の鉢巻きをはめ、体操服を着て、学校に向かう。ひんやりとした秋風が学校の通り道にある枯れ木を揺らし落としていた。走るのが苦手な僕は、この日は気が重かった。運動場に着くと、全校生徒集まってて、校長の挨拶があり、ファンファーレが響き渡って始まった。その後、玉入れ競争や、応援団の演目があって、次に僕が出る教室対抗リレーだ。体が大きいという事だけで、クラス全員一致で、アンカーで走る事が決まった。白線の後ろに横一列に並んだ。待っていると、白団と青団の後に赤団だった。5人中3位だ。手と足をほぐしながら、バトンを取るイメージトレーニングをしながら周りを見ると、時間が止まっているかのような感覚になった。人文字で応援している生徒たちがいて、応援団長が...13.金木犀の香り
2020/10/25 22:57