14.粉雪
雪が今にも降りそうな夜、「子どもが幼稚園の教室に入らなくて困ってるのよ。」母親が心配して父親に話している。「そうだな。せいやは人見知りで、友達がいないのが心配だな。明日朝、俺が幼稚園に送りに行って様子見てくるよ。」次の日の朝、せいやがいきたくなさそうな顔をして、俯き、靴箱の前に座っている。何とか手をつなぎ「真っ赤なお鼻のトナカイさんは~」と歌を歌いながら、幼稚園に向かう。先生に挨拶をして、帰る振りをして、一時見守っていた。教室になかなか入ろうとしない。周りの子どもは、元気に走り回り、教室に入っていた。せいやは、砂場に座って、一人で山を作り始めた。粉雪がちらつき始めて、風邪をひかないか心配だ。俯いて黙って、砂場から動こうとしない。誰か話しかけたりしないかなと思っていると、赤い帽子を被った女の子がそばに寄ってきた。...14.粉雪
2020/12/24 13:11