「沢天夬」の各爻は、上六を除こうと進んで行くことをあらわしている。「初九、趾(あし)を前(すす)むるに壮(さかん)なり。往きて勝たず。咎と為す。」初九は、身分は低いが、陽位の陽爻として意気盛んである。下っ端なので、「趾(あし)」である。「往きて勝たず。咎と為す」進んで行くが失敗する。咎めを受けることになる。初九は、正しく応じる爻も、比する爻もない。なんの情報もなく進んで行ったのである。「九二、懼(おそ)れて號(さけ)ぶ。莫夜(ぼや)、戎有るも、恤(うれ)ふる勿れ。」九二は、中徳を備えた陰位にいる陽爻。ここでは、陰位にいるため剛強を中和した爻となり、初九とは違い失敗を犯さない。「懼(おそ)れて號(さけ)ぶ」憂い怖れる時は、外に呼び叫んで警戒する。「莫夜(ぼや)、戎有るも、恤(うれ)ふる勿れ。」夜になり、戦が...「沢天夬」(爻辞)