いつも当ブログにお越しいただきありがとうございます。長い間更新出来ず、お話の続きを楽しみにお待ちいただいてる皆様には申し訳ないと思っています。私の体調に関しては、ご心配おかけしているのが心苦しいくらいに元気です。すこぶる元気です。すみません。なかなか更新できない理由はありますが、いろいろありすぎて言い訳にしかならないので控えます。本当に申し訳ございません。ただ、最近末っ子が幼稚園の三歳児クラスに入...
花より男子の二次小説。つかつくメインのオールCPです。
Call out my name. 後書き「Call out my name.」を最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。後書きの前に、まず先にお礼を言わせてください。このお話の最中に、二次小説のブログランキングで一位を取らせていただいたことがありました。拙い文章ばかりではありますが、これもひとえに皆さまが訪れて作品を読んでくださり、コメントや拍手をしていただいたおかげだと思っております。このブログも始めてようやく...
Call out my name. 20(完)妊娠と結婚を告げたあと、そこからはもう飲めや歌えのどんちゃん騒ぎだった。優紀と連絡が取れると言うと滋さんたちが呼び出せと言い始め、いくら週末でもいきなりは無理でしょと連絡してみれば、一も二もなくすぐに行くと返事があった。あっという間に道明寺邸に連れてこられた優紀も、久しぶりのみんなとの再会とT4再集結に喜んでくれていた。 そして同期の田中さんと佐藤さん。 ずっと親身になって話...
Call out my name. 19ーーー眩しい。庭に面した大きい窓のカーテンが開けられていて、外の光がベッドまで差し込んでいる。もう朝?眩しくてまた目を閉じる。道明寺は?また目を開けて、あたりを見回してみても道明寺がいない。ここは、道明寺の部屋。大丈夫、きっとお邸のどこかにいる。そう思っても、もし昨日の出来事は何もかもが嘘で、やっぱり出て行ってくれと言われたら……なんて悪い想像をしてしまう。そんなことない。道明寺...
Call out my name. 18お風呂からあがり、お気に入りのパステルカラーのモコモコパジャマを着て道明寺の部屋へ戻ると、まだお風呂に入っているのかいなかった。スクラップブックの一冊を手に取り、キングサイズよりも大きいんじゃないかと思うほど広いベッドに入る。道明寺の記事が増えるのは約4年前からだ。実は6年前の記事はほとんどない。この頃は道明寺がまだ学生だったこともあるけれど、あたしは道明寺を忘れたくて必死だった...
Call out my name. 17ーーーいまの、道明寺はもっと好き。「……お、前な!クソッ!」なんだこいつは。6年前の純情で初心な牧野も良かったが、こうも素直な牧野はどうしたら良いのか分からない。何もなければ今すぐに押し倒して朝まで離してやらない気持ちになるが、今は、ダメだ。最後も手荒く行為をした記憶がある分、これからも牧野に劣情を抱く事に躊躇いはある。それに今は何よりも安静にしてないといけない時で、何をおいても...
Call out my name. 16「……ん〜〜〜!」苦しくて道明寺の背中をバシバシと叩く。「……っ、道明寺!」「なんだよ」「苦しいってば!」ぎゅうぎゅうに抱きしめられていたけど、そろそろ本当に苦しい。それに道明寺が話す度に首筋に息が、耳にはフワフワの髪の毛がかかって、こそばゆい。「話は、まだ終わってないし!」「なんだよ、なんの話が残ってる?」「あたしの退職願!」「あ〜〜〜、……あれは、もうない」「は?」「……破って捨て...
Call out my name. 15「あの、道明寺?」「なんだ?」「なんで、あたしの荷物が全部ここに?」「何を言ってんだ、お前は。俺の子どもがお腹にいるのに、いつまで他の男の家で世話になるつもりなんだよ」先輩と話をしたあと、道明寺とお夕飯を一緒にいただいて部屋に戻ってみれば、美作家に置かせてもらっていたあたしの荷物が全て運ばれていた。いつの間に?!まだ道明寺と和解してから、数時間しか経ってないけど!「それはそうか...
Call out my name. 14道明寺の香り…。愛しい人の、昔の記憶がよみがえる。高校生だったあの頃の、雨の日。「道明寺…、ごめんね…。」「牧野」「どうみょうじ…、」名前を呼ぶ声と頬に何かが触れた気がして、ハッと目が覚める。目の前に道明寺がいて、こちらをジィっと見つめている。夢、なのかな。目が覚めたと思ったけど、こんな近くに道明寺がいるわけないもん。ふふ、今日は良い夢の日だ。「道明寺、好き」「道明寺、」「ずっと好...
Call out my name. 13ーーー話は数日前に遡る。道明寺財閥NY本社、会長室。NYのオフィスビル群の中、他を見下ろすように道明寺財閥のオフィスビルは建っている。一歩外に出れば沢山の人々が行き交う賑やかな街だが、その上層階から見下ろせば、喧騒などなかったかのようにゆったりとした別世界が広がる。夜になれば、そこから見える夜景は宝石を散りばめたような煌びやかな素晴らしいものになるが、夕方から夜にかけて刻々と変わる...
Call out my name. 12道明寺の肩に顔を埋めて子どものように泣き続け、しばらく経って漸く落ち着き始めた頃。どこからか、コンコンと音がした。道明寺が顔を上げてあたりを見ていたが、ふと動きが止まる。「あきらと類だ」ハッとして、あたしも道明寺が見ている方へ顔を向けると、リビングとテラスの行き来が出来る大きな窓から2人がニコニコしながらこちらを見ていた。すっかり忘れてた。類とあきらさんは、そのまま扉を開けて靴...
Call out my name. 11道明寺と二人きり。あきらさんと類が出て行ってしまった。突然の状況に、まずは気持ちを落ち着けなければと、ホットレモネードを手に取り一口飲む。お互い無言のままの静かな室内に、カップを置く音が響く。「牧野、」名前を呼ばれただけなのに、ドキッとする。いつまでも名前を呼んでいて欲しかったけど、これも今日でおしまいかと思うと胸がきゅうっと締めつけられる。「牧野、話をしていいか」「……はい」道...
Call out my name. 10考えた。今までの人生で、一番考えた時期だったと思う。なんせ、あたし一人の話ではなかったから。あきらさんと類にも、たくさん相談した。それに、なによりも。あたしが、どうしたいか。道明寺。あたしは、あなたも幸せに暮らしていて欲しいと願う。基本は全面的に道明寺の意向に沿うつもりだ。ただ、堕胎と子ども本人が望まない限り、子どもと離れて暮らすことは絶対にしない。あたしの希望はこれだけ。これ...
Call out my name. 9「逃げるな」美作さんがあたしを諭すように話すけれど、話したくないのは道明寺じゃなかったのか。「あきらさん、専務は話なんかしたくないはずだよ。今までだって、話なんてしたことないし……」「牧野。お前の思い込みで司が話をしたいかどうかを決めるんじゃない。それに、司に子供のことは言わないとダメだ。お前らがどうなろうと知ったこっちゃないが、あいつはもう生物学上の父なんだ。それを知らせないの...
Call out my name. 8穏やかだなぁ。ここが都内とは思えないほど、のんびりゆったりした環境にあくびを嚙み殺す。倒れて病院に運ばれてから2週間が経った。あれから花沢類と美作さんに助けてもらい、今は美作邸でお世話になっている。単純に、ここなら道明寺のお母さんも迂闊に手は出せないと思ったから。道明寺HDも辞めたし、道明寺とも縁は切れた。関わりがあるとすれば、お腹の子だけ。あたしの妊娠を知るのは、花沢類と美作さん...
Call out my name. 7「牧野が?」「はい。一ヶ月ほど前に退職願が出されていたそうで、総務部長が受理しています。退職日は今週末の日付になっていますね。それまでは有給消化して退職です。退職理由は、転職先が決まったからとしか言わなかったそうです」牧野が、道明寺HDを辞める?牧野。またお前はそうやって、俺を置いていく。俺の気持ちなど、初めから存在しないかのように。あのアパートからも引っ越して。予定より早く終わ...
Call out my name. 6「バイバイ、道明寺」牧野のアパートを出て扉が閉まる瞬間に、聞こえたような気がした。いま、俺の名前を呼んだのか。あの頃のように「道明寺」と、お前だけの呼び方で。なぜ今、呼んだ?それとも俺の気のせいだったのか。もう、牧野の部屋の扉の向こうからは何の音も聞こえなかった。明後日からしばらく海外出張だ。牧野に会えない。牧野を傷付けることが出来ない。なのに、離れることに少しホッとした気持ち...
Call out my name. 5道明寺と関係を持つようになって2ヶ月。あれから夏の暑さはいつの間にか過ぎ去り、朝晩の冷え込みが気になり始めた頃。退職日まであと2週間と迫っていた。道明寺のお母さんから何かアクションがあるかもと思ったけど、今のところ何もない。田中さんと佐藤さんも、何も言ってこないから、まだ大丈夫なのだろう。まだあたしの存在には気付いてないのか。もうすぐ道明寺は海外出張の予定で、2週間は帰ってこないと...
Call out my name. 4それでも日常は止まることなく続いていく。今までと違うのは、日を経ずして道明寺が訪ねてくること。何を話すこともなく、玄関先で事が済めば帰っていく。今年は残暑が厳しいらしく、真夏日が続く中、あたしは転職活動を始めた。まずは花沢物産。面接の約束を取り付けて訪ねてみれば、通された部屋に一人、花沢類がいた。まさか、その可能性は考えてなかった。だって、転職者の面接に花沢物産の後継者が出てく...
Call out my name. 3※本文中に微R表現と、少々暴力的なシーンを含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので、閲覧は自己責任でお願い致します。めちゃくちゃにしてやりたい、こんな女。何が目的で道明寺HDに来たのか知らないが、今さら平気な顔で俺の前に現れて。そこらへんの女みたいに、俺を見て騒ぐ。馬鹿にしてんのか、コイツ。6年前のあの雨の日、想いが伝わっていると信じていたコイツに、...
Call out my name. 2※本文中にR表現と、少々乱暴なシーンを含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので、閲覧は自己責任でお願い致します。ネックレスを探すのに夢中で片付けを終わらせていなかったと気が付いて、まだ居たらどうしようと気まずいながらも会議室に戻ってみたら、道明寺はもういなかった。唯一、道明寺からもらった宝物だったのに。でも本人がダメって言ったらダメだもんね……。会議...
Call out my name. 1あの雨の日。傘も差さずに、二人でずぶ濡れになって。雨で涙を隠して、道明寺に「好きじゃない」の言葉とともに別れてから約6年。私は今、道明寺HDで働いている。別れたのに、なぜ道明寺HDにいるのか。それは、あたしが道明寺への想いを断ち切れなかったから。本意ではなくとも、あんな言葉を道明寺に投げつけて。事情があったとはいえ友達を優先しておきながら、今さらどの面下げてと言われればそれまでなんだ...
It's all up to you.後書き「It's all up to you.」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。つくしちゃん目線じゃないお話は初めてでしたが、いかがでしたでしょうか。It's all up to you. 「全ては君次第」ということで。このお話は共依存ぽい感じがしますね、お互いに。前の二作とは打って変わって、弱々なつくしちゃんでした。まぁ原作を読む限りでは、司が浮気とかなさそうですけども。そこから始まる類つく...
It's all up to you. 3(完)『あの日』から3年目。今年も春はくる。この年は暖冬の為か、桜も満開になるのが早かった。今年も『あの日』は俺の部屋で、昼間はいつものルーティンで、夜も肌を合わせて過ごした。いつになく穏やかで、いつの間にか一緒にいても泣かなくなった牧野は、それでも普段より昏々と寝ていた。前より寝ている気もするけれど、やはり『あの日』が過ぎる、春だからか。そして早咲きの桜の花が散り終わりそうな、...
It's all up to you. 2あれは牧野と司が別れて1年後。その年は桜が咲いているのに、雪が降った。いつものように牧野と一緒に布団に包まって寝ていた。ふとシーツの冷たさに目が覚めて、抱きしめていたはずの牧野がいないことに気が付く。時計を見れば、もうとっくに日付けが変わっていて、夜明けに近い時間だ。どこに行ったのかと起き上がり、ひとまずリビングに行ってみると、牧野はソファに膝を抱えて座って泣いていた。あの1年...
「ブログリーダー」を活用して、はらぺこ02さんをフォローしませんか?
いつも当ブログにお越しいただきありがとうございます。長い間更新出来ず、お話の続きを楽しみにお待ちいただいてる皆様には申し訳ないと思っています。私の体調に関しては、ご心配おかけしているのが心苦しいくらいに元気です。すこぶる元気です。すみません。なかなか更新できない理由はありますが、いろいろありすぎて言い訳にしかならないので控えます。本当に申し訳ございません。ただ、最近末っ子が幼稚園の三歳児クラスに入...
Re: notitle 58牧野つくしという女は、こんなに感情を表に出す女ではなかった。出会った頃から従順で、常に笑みを絶やさず、さり気ない気遣いが出来る女。初めはそれが何とも居心地が良かったが、一年経ちお互いの部屋を行き来するようになると段々それが当たり前になり、まるで空気のような存在になっていった。終わりの始まりは些細なことで、その穏やかな日常が次第に退屈になり、何か刺激が欲しいと思ったことがきっかけだった...
Re: notitle 57早くクシマに会いたい。そのことに嘘はない。なのに何であいつは俺と会う前だというのに、婚活パーティーになんか出てるんだ!クシマと会う約束をした土曜日は、いつもと同じように仕事へ行く支度をして、いつも通り西田が迎えに来た。行き先はメープルホテル東京。総支配人とホテル内の各責任者たちと話をして、あとは俺がオーナーをしているイタリアンレストラン「リチェロ」での婚活パーティーの様子を見るだけ。...
Re: notitle 56ここはメープルホテル東京の最上階。最上階から下三階分は吹き抜けになっていて、すぐ下の階はいくつかの宴会場とチャペルがあり、更にその下の階にはブライダルサロンとドレスショップ、あとは美容室に写真館がある。そして各階を、この吹き抜け部分で行き来が出来るようエスカレーターで繋がっていたはず。なぜ知っているのかと言えば、このメープルホテルには数ヶ月前に優紀とデザートビュッフェを食べに来たこと...
Re: notitle 55そして迎えた土曜日。11月に入って朝晩が冷え込むようになってきた今日この頃。公園やご近所さんの庭のモミジは紅く、街路樹のイチョウの葉も日の当たるところから黄色くなり始めていた。それでも今日は、まさに小春日和と言っても良いような陽気で、絵に描いたような青空が朝から広がっていた。メープルホテルに行く途中、一駅手前で電車を降りて大きな公園を通って行くことにしたあたし。茶色くなった芝生が一面に...
Re: notitle 54「絶対に嫌だ。ふざけんなクソが」「代表、口が悪過ぎます」「うるせぇ西田!土曜日は休みにしろって言っただろうが!俺は絶対に仕事なんてしねぇからな!」「そんな二週間前になって急に休みにしろと言われても無理だと申し上げたはずです。それでも休みたい理由は存じ上げておりますからね、無理矢理に何とかして午後のお約束の時間までにはと調整をしたではないですか。約束は午後からなんですから、その前の午前...
Re: notitle 53「絶っっっ対に嫌!だからね!」「姉ちゃん!頼む!俺を助けると思って!」いくら弟の頼みとはいえ、嫌なものは嫌。「い、や!」やっと決心してミドウさんにメールをした。彼も話があるから必ず約束の時間に喫茶店へ行く、と返事をもらった。まさかメールを送って数分後に来た返信にもびっくりしたけど。こんなに長い期間、会わないなんてことはなかったし、彼の友人とのことがあるまでは彼から会いたいとメールが来...
Re: notitle 52見守る。信頼があれば、出来ること。自分を信じてくれる人がいると、思えること。「彼はもう何も知らない、こわがるだけの子どもじゃないんです。大人で、責任を持って自分のことは自分で決めて実行出来るんです。親として、職場の上司としても心配するのは分かります。でも、その人が何歳であっても、自分のことは自分で決める権利があるんです。だからと言って、何でもかんでも一人で決めて良いわけでもないですけ...
Re: notitle 51「メープルホテル& DJリゾートグループ」代表取締役社長。これが、道明寺 司の肩書き。日本に限らず、世界各国で「メープルホテル」を経営し、そのリゾート開発については環境を第一に、開発に伴う環境破壊問題にも真摯に取り組んでおり、「環境共生型リゾート」を主軸とした開発を行っている。自然をそのまま出来る限り残し、地元に根付いた文化的特徴を大切に尊重しつつ、滞在を通してその土地に合った様々な...
Re: notitle 50手を繋ぐ。それは、性別に関わらず幼稚園児にだって簡単に出来るだろう接触。初めはそれすらも出来なかったミドウさん。「そ、れは、牧野さんから?それとも、司から……?」「前回お会いした時は彼からでしたけど……」こうして会いに来るからには、ある程度は、あたしのことを調べているだろうと思っていたけど、流石に会っている間のことを調べるなり何かしなかったのだろうか。あの喫茶店では、会うたびに手に触れる...
Re: notitle 49その料亭「楓」は門構えから凄かった。語彙力を失うほどに、圧倒的。この料亭はHPがあり、外観も内装も料理の一例もギャラリーで見ることは出来る。でも写真と実際に見るのとではこんなにも違う。夜の暗さと、それを照らす明かりが更に陰影を深く見せ、その荘厳とした佇まいに圧倒される。会長とお姉さんのあとに続いて、その門を潜って石畳の道を進んだその先にあったのは木造二階建て寄棟造りの建物。これは、築何...
Re: notitle 48ミドウさんは、道明寺 司。分かってた。あの素顔を見た時から、この人はあたしと違う世界を生きてきた人だと、だから、いつかの未来なんて夢を見たらいけないと。突然訪ねてきた、道明寺財閥の会長に用件を問えば。「あなたが、アプリを通じて会っていた男性のことで」こんな小物相手に神妙な顔で話し始めた会長だけど、やはり身構えてしまう。だって、大財閥の会長が一介の会社員に畏まって、わざわざ息子の話...
Re: notitle 47今日も一日、何事もなく恙無く。いやいやいや。なにごとがあったし、つつがないとか、ありえないでしょ。仕事だけはキチンと熟す。仕事とあたしのプライベートは関係ないし、それが自分の人生を揺るがしかねないようなことだったとしても、上司や同僚たちにはどうでもいい話。そう思ってたのに、今週は小さなミスの連続で。情けない。全然キチンとなんて出来やしない。ふとした瞬間にぼぅっとしてしまうことが増えた...
Re: notitle 46「……は?お前ら、いま何て言った?」「クシマ ツキノと、会って話をした。彼女は、お前の本当のことを知っていた。そう、言ったよ」彼女の部屋で過ごしたあの日から、ニヶ月は過ぎているのに一度も会えていない。今まで仕事だったり体調が悪かったりで一ヶ月会えないこともあった。でも今回は違う。明らかに避けられているような、そんな気がする。心当たりがないわけではない。あの日に彼女の住む部屋で、彼女...
Re: notitle 45部長には全てを話した。あたしのプライベートな話ではあったけど、やはり誰かに聞いてもらいたかった。出会ったきっかけから、進にも優紀にも話せなかったミドウさんの本当の姿を知ってから、あたしの部屋で一緒に過ごしたあの日のことまで。「はぁ~、なるほどね……」「本当に何でこんなことになったのか、私もまだ全部を受け入れられなくて。でもまさか部長まで巻き込むことになるとは思わなかったので、本当に迷惑...
Re: notitle 44白と黒の部屋に、あたしと花沢さんの会話だけが音だった。そして心臓と血液の流れるようなドクドクとした音は、動揺しているあたしの中だけで聞こえるものだと分かっていても、この状況に逃げ出したくて震えそうになる足にグッと力を入れて踏ん張った。例え部長がいたとしても、この人たちの目的が分からない以上、弱みは見せない。動揺も見せたらいけない。あたしは、ミドウさんの本当の名前も、何も知らない。大丈...
Re: notitle 43今日も一日、何事もなく恙無く。あれから、何かと理由を付けてミドウさんと会うことを断り続けている。仕事が忙しいとか、親戚の法事がとか、友達との約束がずらせなくてとかとかとか。でも、それもそろそろ、限界かもしれない。もう最後にあった日から、二ヶ月以上経っている。他愛無く送られてくるメールも少しずつ、さりげなく返信を遅らせて、内容も当たり障りないものへと変え、返信する回数も減らしていった。...
Re: notitle 42ピンポン、とオートロックのチャイムが鳴る。がんばれ、あたし。大丈夫。いつもと同じで、会う場所が違うだけ。そして、それが今日で終わるだけ。何でもないふりをして、何も知らないふりをして。がんばれ、あたし!そして、玄関のチャイムが鳴る。がんばれ。がんばれ、あたし。あたしは、何も知らない。今まで会って話していたミドウさんしか知らない。ミドウさんの本当の姿を知っていると、思わせたらいけない。大...
Re: notitle 41車に乗る前に見た、メガネを外したミドウさんの素顔。その顔を見た瞬間に、なんで今まで自分は気が付かなかったのか、馬鹿にも程があると思った。知っている名前だけでもと調べてみたら簡単だった。道明寺 司と花沢類。この二人でウェブ検索してみれば、まず出てきたのは「F4」という単語。そこから辿れば辿るほどに、容易く出てくる情報。SNSが発達した今、余程のことでない限り、ある程度は情報として出てく...
総つくです。 少し摺れちゃったつくしちゃんと、やや重めな総二郎のお話なので、純なつくしちゃんが好きな方は読むことをお勧めしません。 「春雷」「『月が綺麗ですね』も、『死んでもいいわ』も、今のあたしには、綺麗、すぎる……」 「……なに、突然」 「どういう恋愛したら、こういう言葉が、出てくるのかなっ、て。……この言葉たちは、愛の最中か、終わりの、どっちかな……」 「……さぁな、どっちだろうなぁ」 「西門さんはさ...
Re: notitle 45部長には全てを話した。あたしのプライベートな話ではあったけど、やはり誰かに聞いてもらいたかった。出会ったきっかけから、進にも優紀にも話せなかったミドウさんの本当の姿を知ってから、あたしの部屋で一緒に過ごしたあの日のことまで。「はぁ~、なるほどね……」「本当に何でこんなことになったのか、私もまだ全部を受け入れられなくて。でもまさか部長まで巻き込むことになるとは思わなかったので、本当に迷惑...
Re: notitle 44白と黒の部屋に、あたしと花沢さんの会話だけが音だった。そして心臓と血液の流れるようなドクドクとした音は、動揺しているあたしの中だけで聞こえるものだと分かっていても、この状況に逃げ出したくて震えそうになる足にグッと力を入れて踏ん張った。例え部長がいたとしても、この人たちの目的が分からない以上、弱みは見せない。動揺も見せたらいけない。あたしは、ミドウさんの本当の名前も、何も知らない。大丈...
Re: notitle 43今日も一日、何事もなく恙無く。あれから、何かと理由を付けてミドウさんと会うことを断り続けている。仕事が忙しいとか、親戚の法事がとか、友達との約束がずらせなくてとかとかとか。でも、それもそろそろ、限界かもしれない。もう最後にあった日から、二ヶ月以上経っている。他愛無く送られてくるメールも少しずつ、さりげなく返信を遅らせて、内容も当たり障りないものへと変え、返信する回数も減らしていった。...
Re: notitle 42ピンポン、とオートロックのチャイムが鳴る。がんばれ、あたし。大丈夫。いつもと同じで、会う場所が違うだけ。そして、それが今日で終わるだけ。何でもないふりをして、何も知らないふりをして。がんばれ、あたし!そして、玄関のチャイムが鳴る。がんばれ。がんばれ、あたし。あたしは、何も知らない。今まで会って話していたミドウさんしか知らない。ミドウさんの本当の姿を知っていると、思わせたらいけない。大...
Re: notitle 41車に乗る前に見た、メガネを外したミドウさんの素顔。その顔を見た瞬間に、なんで今まで自分は気が付かなかったのか、馬鹿にも程があると思った。知っている名前だけでもと調べてみたら簡単だった。道明寺 司と花沢類。この二人でウェブ検索してみれば、まず出てきたのは「F4」という単語。そこから辿れば辿るほどに、容易く出てくる情報。SNSが発達した今、余程のことでない限り、ある程度は情報として出てく...
総つくです。 少し摺れちゃったつくしちゃんと、やや重めな総二郎のお話なので、純なつくしちゃんが好きな方は読むことをお勧めしません。 「春雷」「『月が綺麗ですね』も、『死んでもいいわ』も、今のあたしには、綺麗、すぎる……」 「……なに、突然」 「どういう恋愛したら、こういう言葉が、出てくるのかなっ、て。……この言葉たちは、愛の最中か、終わりの、どっちかな……」 「……さぁな、どっちだろうなぁ」 「西門さんはさ...
Re: notitle 40テーブルに顔を突っ伏したまま、なかなか顔を上げない彼女の肩を揺すりながら話しかけた。「おい、まさかまた風邪がぶり返して熱があるんじゃないのか?大丈夫か?すげぇ顔が赤いぞ」すると彼女はガバッと顔を上げるから、肩に置いていた手も自然と離れた。風邪じゃないから大丈夫と、なんとも弱々しい声で話す彼女の顔は、まだ赤い。彼女はグラスに入ってるアイスカフェオレをストローで忙しなく動かして氷をカラカ...
Killed by your gaze. 後書き「Killed by your gaze.」をお読みいただきありがとうございました。クソ忙しい中、ぽわっと湧いて出たお話を書き殴っただけで、今回は特にテーマも何もないです。ただ、「君の視線に殺される」という言葉を使って、壁の中に二人きりというイメージで、R18が書きたい!で書きました。そして、最後の最後にぽろりと言うまで「好き」という言葉を使わないで表現できないかなぁなんて、またド素人が無謀な...
花より男子の二 次 小 説。つかつくメインのオールCPです。
Killed by your gaze. 2 (類つく)「それ」がいつからと問われれば、始まりは高校生の頃だったと言える。でも一度は諦めて、ただ幸せでいてくれるならと見守ることにした。だから付かず離れずの距離を保って接していたけど、そのことに一番に気が付いたのは俺だったと思う。二人がその結論を出した時、さして驚かなかったのは、それこそずっと見守っていたからに他ならない。そのことに一番に気付いた時、あいつが本当に彼女の手を...
Killed by your gaze. 1 (類つく)それは、ふとした時。高校生の頃から続いていたらしい「それ」に、あたしが気が付いたのは社会人になる前だったと思う。ジェットコースターのような恋は最後、緩やかにスピードを落として終わりを告げた。お互い特に遺恨があったわけでもなく納得の上で終わりにしたその恋は、高校生の頃から見ていた友人たちには、あまりにも呆気ない幕切れのように見えたらしく、それはもう多大に心配された。確...
Re: notitle 39カランカランと、いつもの喫茶店の扉を開くと鳴る音に、もう流石に手を離すだろうと思ったけど、ミドウさんはずっと手を繋いだままだった。いつもカウンターの向こうにいるマスターらしき年配の男性と、いつもの若いアルバイトの子が、ミドウさんとあたしと繋がれた手を見て、おや?と言うような顔をした。ですよね!いつもと違うパターンですよね!あたしもびっくりしてるんです!なんて言えるはずもなく、ミドウさ...
Re: notitle 38待ち合わせはいつもの喫茶店。そう、いつも会って話をするのは初めて会った時に利用した喫茶店。約束の時間になると、どちらかが先に来ているパターンが定着していて、流石に半年間二週間置きに来るあたしたちを店員さんたちも認識し始めていた。ミドウさんが先に来ていれば、もう来てますよって言われるし、あたしが先に来た時はいつもの窓際の席に案内されるようになった。なのに、ミドウさんは今日は初めて会った...
Re: notitle 37「本当にさ、つくし何やってるの?」「分かってるから言わないで~!」「分かってない。分かってないから、そんな名前も素性も知らない男を好きになるんでしょ?」身も蓋もない言い方だけど、幼稚園からの幼馴染みである優紀の言う通りで、あたしの今までの恋愛事情を知っている彼女の言葉に何も言い返せない。今日はメープルホテルの中層階にあるガーデンレストランで期間限定開催のスイーツブュッフェを二人で楽し...
Re: notitle 36姉ちゃんを騙す。これが一番厄介な問題で、姉ちゃんを知ってるやつは皆、あの人を騙そうとするなんて無理だと言うだろう。特に弟の俺は姉ちゃんに絶対逆らえない。もう無意識レベルで逆らえないように刷り込まれていると言っても過言ではない。「分かってる。女と話すだけだったら仕事でも出来る。それじゃあ姉ちゃんを騙せないし、何の意味もない。だからクシマが知り合いから始めようって言ってくれたあと、姉ちゃ...
こんにちは。いつも当ブログにお越しいただきありがとうございます。しばらく更新出来ず、申し訳ありません。コロナに感染してから、熱はすぐに下がったし味覚も二週間ほどで戻ってきたんですが、夜な夜な激しい咳に襲われまして、さすがに二週間も続くとこれは何かおかしいと思って病院に行ったら、喘息でした。まさかこの歳で突然喘息になるとは思わず、びっくりしました。今は薬と吸引器が手放せない日々です。さらに義母が利き...
Re: notitle 35「もうマジで勘弁しろよ、お前ら」「そうだぞ。30過ぎて殴り合いの喧嘩なんてすんじゃねぇよ!ったく、久々すぎて司が凶暴なの忘れかけてたわ……」「ちょっと本気で殴り過ぎじゃない?司」俺と一番離れたソファに腰を下ろして、イテテと言いながら類は腹をさすっているが、肋骨を折るほど力は入れてないし、多少痣ができるくらいだろう。流石に顔は避けて、殴ったのは首から下だけにしてやったんだから感謝してほしい...
Re: notitle 34「おい、待てよ。類も司も何の話をしてるんだ?」「類?」あきらも総二郎も何の話をしているのか分からないということは、やはり類は誰にも彼女のことを話していないのだろう。「俺も初めはまさか司と彼女がマッチングして会ってたなんて知らなかったけどね。その話を聞いた時はびっくりした」「彼女から俺の話を聞いてるのか?」「聞いてる。だから俺は知ってるよ」「何を、知ってる?どこまで聞いた?」「お前の思...
Re: notitle 33『あなたの本当の名前は?』聞かれても話したくないことには話さなくて良い。そういう約束をした。もう彼女になら自分のことを話してもいいんじゃないかと思ったこともある。彼女には本当の自分を知ってもらいたい。でも自分が名乗ることで彼女の態度が変わってしまうことを恐れている。どうせいつかは終わる関係なんだから、そんなこと気にしなくて良いはずなのに、あきらや総二郎を見た時のような彼女の無表情で無...
Re: notitle 32「なんでお前らまでいるんだよ」「良いじゃねぇか、いても。今日は彼女と会ってたんだろ?」「今日はどんな話したの?」総二郎と類。なんでよりによって今日なんだ。こいつらの勘というか、タイミングには驚かされる。いや、それともあきらが何か言ったのか。そう思ってあきらを睨むと、「俺は何も言ってない!」と慌てて言うから、ソファで寛いでいた類と総二郎も何かあったのかと聞いてくる。「それがな、司のやつ...