暴力としての音 / 着せられた役割 ー オタール・イオセリアーニ『鋳鉄』
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1964年作『鋳鉄(Tudzhi)』について。 溶鉱場で働く人々の朝から次の朝までの24時間をドキュメンタリー的に撮った短編で、都市映画の形式を持っている。シチュエーションと構成だけ見れば『鉱』と非常に似ている。同じ時期のイオセリアーニの作品と同様に音がアフレコでつけられており、溶かされ白く光る鉄からは猛獣の鳴き声が発され、溶鉱場の内部には戦場のような爆発音が鳴り響く。溶鉱場内部が戦場であり暴力そのもののように映される。 溶鉱場の煙突から出る煙、溶鉱場に向かう道に整然と植えられた木は、他の作品で登場するジョージアの自然の風景と…
2023/03/16 13:29