オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1983年作『エウスカディ、1982年夏(Euzkadi été 1982)』について。 冒頭、バスク地方の言語がヨーロッパ最古の言語であること、住む人々が言語、伝統を維持し続けていることが語られる。前半はモノクロでバスク地方でのある一日が映される。トラクターなどが導入されつつも非常に伝統的な生活を続けているように見える。しかし、後半唯一の字幕付きのセリフとしてバスク地方の伝統や文化を次の世代に伝承することすら難しいこと、伝承のためにまず文化を愛してもらうこと、そしてその味を知ってもらうことが大切であると語られる。そして、カラ…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1982年作『ある映画作家の手紙。白黒映画のための七つの断片(Lettre d'un cineaste - Sept pieces pour cinema noir et blanc)』について。 一つ目の断片は何か パリの都市生活を映した映像に『四月』のようにアフレコで音が重ねられている。タイトルに7つの断片とあるが、6つの断章で構成されている。2つ目の断章から始まり、6つ目の後、1つめの始まりを示すショットで終わる。そして、提示された1という数字は横に傾けられ、−となっている。 内容としては当時のパリの都市生活を割と直接的…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1988年作『トスカーナの小さな修道院(Un petit monastère en Toscane)』について。 トスカーナの外れに修道院があり、5人の修道士がおそらく古くから伝承されてきただろう宗教儀式を毎日繰り返し、宗教画や書物の修復と維持を行っている。教会や修道院は街から孤立した場所にあり、教会の大きさに対して修道士の数、そこに通う人々の数は少なく見える。 修道院と同列に、狩猟、農耕、祭りなどトスカーナに住む人々の営みが撮られている。静かな雰囲気で統一されているために、狩猟に向かう背中や銃声、豚の解体が暴力的に映る。淡々…
マックス・オフュルス(Max Ophuls)による1948年作『忘れじの面影(Letter from an Unknown Woman)』について。 シュテファン・ツヴァイクの同名小説を原作とした映画。原作において、手紙を読む男は R. という名前で小説家という設定だが、この映画ではピアニストとなっていて、名前もシュテファンへと変えられている。シュテファン・ツヴァイクは、この映画のシュテファンと同じくウィーンを拠点としながら文化人としてヨーロッパの国々を転々とする生活を送っていて、『昨日の世界』という、幸福だった時代を描いた回想録を書き、1942年にヨーロッパの進む先に絶望し自殺したと言われて…
ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1946年作『浜辺の女(The Woman on the Beach)』について。 イメージと現実の狭間で 元海軍である主人公は魚雷で船を破壊される夢を見続けている。翻訳では省略されていたが、海沿いの町の警備隊員である主人公は自身のことをビーチカウボーイと自虐する。主人公は馬に乗り、その町の砂浜に打ち上げられた小さな難破船の元へと通い続けている。主人公は船を破壊され浜辺に打ち上げられてしまった海のカウボーイとして設定される。海軍にいた時の主人公にとっての馬は船であり、難破船は主人公と共に浜辺に打ち上げられたもののように見える。しかし、その夢が主…
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督による1964年作『奇跡の丘』について。キリストの誕生から復活までをネオレアリズモ、ドキュメンタリー的な方法で撮った映画。セリフは聖マタイのゴスペルからそのまま取ってきているらしく、それが原題 「The Gospel According to St. Matthew(聖マタイによって語られたゴスペル)」にそのまま反映されている。それらのそっけなく感じられる背景に加えて、映像がドキュメンタリー的で淡白なこともあり、キリストによる一連の出来事に対して距離をおいた上で、一つの事象として観測的・客観的に撮っているように思われる。そうだとすれば、この主題と方法を選んだ意図が重要なように感じられる。
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1983年作『エウスカディ、1982年夏(Euzkadi été 1982)』について。 冒頭、バスク地方の言語がヨーロッパ最古の言語であること、住む人々が言語、伝統を維持し続けていることが語られる。前半はモノクロでバスク地方でのある一日が映される。トラクターなどが導入されつつも非常に伝統的な生活を続けているように見える。しかし、後半唯一の字幕付きのセリフとしてバスク地方の伝統や文化を次の世代に伝承することすら難しいこと、伝承のためにまず文化を愛してもらうこと、そしてその味を知ってもらうことが大切であると語られる。そして、カラ…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1982年作『ある映画作家の手紙。白黒映画のための七つの断片(Lettre d'un cineaste - Sept pieces pour cinema noir et blanc)』について。 一つ目の断片は何か パリの都市生活を映した映像に『四月』のようにアフレコで音が重ねられている。タイトルに7つの断片とあるが、6つの断章で構成されている。2つ目の断章から始まり、6つ目の後、1つめの始まりを示すショットで終わる。そして、提示された1という数字は横に傾けられ、−となっている。 内容としては当時のパリの都市生活を割と直接的…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1988年作『トスカーナの小さな修道院(Un petit monastère en Toscane)』について。 トスカーナの外れに修道院があり、5人の修道士がおそらく古くから伝承されてきただろう宗教儀式を毎日繰り返し、宗教画や書物の修復と維持を行っている。教会や修道院は街から孤立した場所にあり、教会の大きさに対して修道士の数、そこに通う人々の数は少なく見える。 修道院と同列に、狩猟、農耕、祭りなどトスカーナに住む人々の営みが撮られている。静かな雰囲気で統一されているために、狩猟に向かう背中や銃声、豚の解体が暴力的に映る。淡々…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1983年作『エウスカディ、1982年夏(Euzkadi été 1982)』について。 冒頭、バスク地方の言語がヨーロッパ最古の言語であること、住む人々が言語、伝統を維持し続けていることが語られる。前半はモノクロでバスク地方でのある一日が映される。トラクターなどが導入されつつも非常に伝統的な生活を続けているように見える。しかし、後半唯一の字幕付きのセリフとしてバスク地方の伝統や文化を次の世代に伝承することすら難しいこと、伝承のためにまず文化を愛してもらうこと、そしてその味を知ってもらうことが大切であると語られる。そして、カラ…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1982年作『ある映画作家の手紙。白黒映画のための七つの断片(Lettre d'un cineaste - Sept pieces pour cinema noir et blanc)』について。 一つ目の断片は何か パリの都市生活を映した映像に『四月』のようにアフレコで音が重ねられている。タイトルに7つの断片とあるが、6つの断章で構成されている。2つ目の断章から始まり、6つ目の後、1つめの始まりを示すショットで終わる。そして、提示された1という数字は横に傾けられ、−となっている。 内容としては当時のパリの都市生活を割と直接的…
オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1988年作『トスカーナの小さな修道院(Un petit monastère en Toscane)』について。 トスカーナの外れに修道院があり、5人の修道士がおそらく古くから伝承されてきただろう宗教儀式を毎日繰り返し、宗教画や書物の修復と維持を行っている。教会や修道院は街から孤立した場所にあり、教会の大きさに対して修道士の数、そこに通う人々の数は少なく見える。 修道院と同列に、狩猟、農耕、祭りなどトスカーナに住む人々の営みが撮られている。静かな雰囲気で統一されているために、狩猟に向かう背中や銃声、豚の解体が暴力的に映る。淡々…