『八本脚の蝶』
3月29日 二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を読み終えた。 冒頭では乙女パワー全開の彼女が、頁の終わりに向かうにつれて、追い詰められてゆく様が読んでいて、とても応える。 本書の文庫本を何度を読んだ。何度も読んだから、手垢と黄ばみで汚れてしまった。 本書を初めて読んだ頃は、彼女の言いたい事のほとんどを理解できなかった。解ったふりという傲慢な態度で、本書と対峙した。 前置きが長くなったが、本題にここから移る。 フェミニストを自認しつつも、マゾヒストを好むという矛盾に葛藤する姿。 女性が虐げられ、嬲られる物語を読む時は、「ああ、これは自分の事なんだな」と自分の身に引き受け、こうした物語を読んでいたようだ。…
2022/03/30 23:40