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  • 肢軸異常と屈腱拘縮

    馬の肢はみんながみんな真っすぐきれいに生まれてくるわけではない。硬かったり緩かったり曲がりすぎていたり。この馬は屈腱拘縮と腕節の外反があった。横から見ると球節はまっすぐ立っており、腕節もやや湾膝ぎみである。まずは生後3日目に屈腱拘縮の治療をした。腱を緩める薬を点滴し、放牧してもらう。屈腱拘縮の治療薬はX肢にとっては悪化させる方に働く事も忘れてはいけない。悩ましいところだ。だいぶ良化したので、次にX肢の矯正。Superfastを使用した。肢が外反するのを矯正したいので内側蹄に張り出しとやや高さをつける。腕節の矯正では、球節の角度にも注意しながら経過を見ていく必要がある。運動制限も併せて実施する。外れることも多いので、外れたら付け直す。これを繰り返しながら経過を見ていく。はたして。。。肢軸異常と屈腱拘縮

  • 眼の腫瘍

    馬の目は出来物が多いそうだ。今回はその中でも最も多い扁平上皮癌。この馬は右目の瞬膜に発生した。切除したが、一度再発して2回目の切除をもって完治となった。これが2017年のこと。今年、左目にも出てきてしまった。右目はあれ以来出てきてないので右目由来かはわからない。やることは同じで切除するのみ。妊娠後期に腫瘍ができはじめ、先週出産した。2発情目で種付予定なのでそれまでに処置したかった。本当は衛生的な診療所でやるといいのだろうが、いろんな都合上今回も現場で。立位鎮静化で、ブロック麻酔を3か所。眼窩上神経、耳介眼瞼神経、頬骨神経周囲あとはできるだけ残さないように切る。それなりに出血もするが、数日点眼すれば大丈夫。腫瘍の位置によっては立位ではできずに全身麻酔が必要となる。時間がたてば大きくなるし、転移もするので処置は早い...眼の腫瘍

  • 肉芽の処置 その2

    肉芽の切除自体は難しくない。立位鎮静化にて局所麻酔とブロック麻酔を併用して行った。かなりの出血があり驚かれるので、飼養者には事前にしっかり説明する必要がある。圧迫包帯を巻いていれば翌日には収まっている。出血量が多いので切除した翌日には巻き替えた方が良い。これは切除翌日の写真。この後のポイントは、肉芽の再増生防止と感染のコントロールだろう。圧迫包帯で、漿液が多いうちは2-3日で巻替える必要がある。自分は抗生剤軟膏を塗布している。巻物はこれ。輸入品になるが、非常に質が良く使い勝手が良い。巻替えを続けながら、12日目。皮膚がだいぶ寄ってきている。肉芽の増生も過度ではない。必要に応じて、壊死組織を溶かすブロメライン軟膏も使用している。感染がコントロールできていれば、巻替えのたびにガシガシ洗浄する必要はないと考えている。...肉芽の処置その2

  • 肉芽の処置

    地方競馬場から引退宣言されて牧場に帰ってきた競走馬。左後のケガが治らず、肉芽増生がひどくなり調教師はオーナーに引退を進めたそうだ。しかしオーナーとしてはあきらめきれず、相談をいただいた。見てみると、左後球節外側に肉芽増生しており球節の後ろまで腫れている。常歩では球節の沈下がひどく、関節周囲の靭帯等にも損傷がありそうだった。肉芽の処置自体は問題なさそうだが、あとは競馬レベルでの運動に球節が耐えられるかだろう。オーナーにも内容を伝えて、復帰に向けて治療を始めることになった。ここまでなった肉芽はまず切除しないとなかなか皮膚が再生できないので、とりあえず切除した。皮膚のレベル以下になるまでは切る。後はウェットドレッシングを意識して被覆材を使用していけば何とかなるだろう。今回は、排水孔ポリ袋、抗生剤軟膏、ブロメライン軟膏...肉芽の処置

  • 難産ですか?

    夜の9時の電話昼から疝痛を起こしてて、痛み止めと点滴を打ったがよくならないとのこと。車で約3時間、、遠いけど、連れてきてもらうことにした。・・・妊娠末期の繁殖牝馬。ついた時には見た目の痛みは治まっていた。心拍64、脱水はない、腸蠕動は少し弱いがある。腹部エコーでは怪しいところはわからない。腹底も大部分を子宮がしめている。胎子は生きているようだ。経鼻カテーテルでも異常は認められなかった。さて・・・直検しても子宮しか触れないだろうと思い、とりあえず点滴を始めた。すると、明らかに馬が痛がり始めた。こりゃいけない、すぐに点滴を中止した。開腹しなきゃいけない症例か??しかし、九州ではこんな時間から二次施設に運ぶというのは難しい・・・一旦考え直して、直検をした。すると・・・なんだこれ・・・!??直腸内の一番奥、指先で触れる...難産ですか?

  • 九州の馬医療の現状 ~現場の力~

    九州では馬専門の獣医師は少なく、牧場も点在しているのですぐに駆け付けれないことも多い。片道2時間とかもざらだ。なので、牧場の人たちもそれに慣れていて、大概のことは自分たちでやっている。ある程度の緊急処置道具を置いているとこも多い。先日、胸前をざっくり切った馬がいて、電話がかかってきた。送られた写真を見て、3時間後に駆けつけると言ったが、もう待つより自分でやるとのこと。何回も目の前で獣医がやるのを見て、手順はわかったらしい。洗浄、糸、ステープラーなど電話で指示して縫ってもらうことにした。・・・いいじゃん!!九州の馬医療の現状~現場の力~

  • ミニチュアポニーの脛骨骨折

    「小屋から逃げ出してたポニーが、肢がつけなくなっている」という電話ぷらぷらしていて、触るとものすごく痛がるそうだ骨折か、もしくは脱臼か、、オーナーの話し方からも、その馬がかなり厳しい状況だというのが伝わってくる診てみると、右後肢の大腿部内側が腫れていて後膝の内側に擦り傷もある触ると、脛骨が完全に折れているのがわかるこれはだめか・・・柵に脚を挟んで暴れたのだろうか。。。なんでこんなことに、、聞けば、このポニーはこの牧場で生まれてずっといる子だそうだ現状を説明して、手術の可能性と予後の難しさから安楽殺の提案をして、考えてもらった答えは、「今すぐに安楽殺はしたくない、手術はできないが、現場でできることをしてほしい」ということだった圧迫包帯で経過を見ることにした倒して、足を伸ばしてもらい、ガムジーを巻いて、添え木を蹄よ...ミニチュアポニーの脛骨骨折

  • レポジトリ

    昨年から九州1歳市場でもレポジトリー撮影が始まった北海道に比べたら全然頭数は無いが、牧場の人も撮影者もまだ慣れていないので大仕事になるそれまでは九州2歳トレーニングセールのレントゲンのみで、それも提出率は2割程度だった今年からは1歳市場には内視鏡も導入され、レントゲンも後膝まで撮影している九州の馬に少しでも購買者が興味を持ってくれればと願う九州1歳市場2019年6月25日(火)JBBA九州種馬場ぜひお越し下さい!レポジトリ

  • 気管洗浄

    九州に来てからは、肺炎で長く治療した記憶がほとんどない北海道にいたころは、ロドコッカス肺炎、ローソニア腸炎、クロストリジウムなど、長期で治療を続ける症例は多かった・・九州は圧倒的に母数も少ないし、牧場同士が隣接していないので、感染症の蔓延は起きにくいと思われるそんな中、肺炎の治療を続けているがいまひとつ良くなってこない当歳馬元気食欲はあるが、微熱と早い呼吸が続いている聴診で肺音は荒いがラ音等は聞こえないロドコッカスは九州ではまだ自分は診ていないが、、、エコーをとったが、怪しいところは映らない気管洗浄もすることにした本当は抗生剤を使い始める前がいいのだろうが、現場ではなかなかその判断は難しい肺炎の馬がいて、治療前に採材を行うべきなのか?しばらく治療して改善しなければ行うのか今回はちょっと遅かったかもしれないが、や...気管洗浄

  • 九州の馬医療の現状

    アラブ全盛期、九州には多数の競走馬が存在した。鹿児島、宮崎は育成場も多くあり休養に帰る馬たちが多かった。生産頭数も何百頭単位だった。現在、九州ではサラブレッドが年間60頭前後生産されている。育成牧場も十数件ある。その他、乗用馬や功労馬、ポニー等の愛玩馬、肉用馬がいる。その馬たちをだれが診療しているかというと、鹿児島大学、佐賀競馬場、NOSAI、JBBA、開業獣医師などである。しかし、開業獣医師は若手はほとんどおらず、大学は授業の関係上常に往診は行えず、佐賀競馬場は繁殖関連は行っておらず、NOSAIは馬を専門で診られる先生が少ない。JBBAは種付業務と並行して診療を行っている。北海道の馬産地のように常に対応できる先生がいる、という状況とは程遠い環境である。おそらく本州の馬医療も似ているのだと思う。では、そこまで診...九州の馬医療の現状

  • ゴールデンウィーク

    ゴールデンウィークも半分を過ぎようとしている観光地はどこも人でいっぱいだろうが、九州の田舎で仕事しているものには無関係だ・・笑仕事もまさに”ゴールデンウィーク”馬の生産地の獣医さんはどこも大忙しだろう雨が降ろうと関係ない種付けはやってくるし、病気やケガもする子馬の処置にはロープスクイーズが大活躍眼瞼内反の処置にも膿瘍の処置にもゴールデンウィーク

  • 分娩時の膣裂孔と膀胱脱 その3

    その馬は、分娩から3日目の朝、斃死した。最後まで疝痛症状は出さず、仔馬に乳を与え続けていたそうだ。結局ボロが出なかったので通過障害によるものだろう。牧場でそのまま剖検をした。腹腔内には食渣があり、消化管破裂を起こしたのがわかる。胃破裂だった。盲腸も結腸も膨張している。小結腸を確認すると、腸間膜が大きく損傷しており、その支配領域が40cm程壊死していた。子宮は、子宮角や体部には破裂はなく、頸管の尾側背側から膣背側にかけて大きく裂けていた。縫合処置をした部位は間違ってはいなかったが、この状況ではたとえ助かって癒合したとしても外子宮口が正常に機能するのか疑問であった。、、、1頭の優秀な繁殖牝馬がダメになってしまった。裂孔の予後、腹膜炎の予後、消化管障害の予後等を考えて、手術しても見込みは低いだろうと判断をした。しかし...分娩時の膣裂孔と膀胱脱その3

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